敷島班、トライエンドエラーを繰り返す
そして敷島達が急いで
しかしどこにも浸水した形跡がない。しかも、浸水を検知したセンサーも、水から上がった途端に異常がないことを告げている。
つまり、センサーの誤作動だったのだ。
「浸水を警戒するあまり、感度を上げすぎたか」
敷島はそう推測した。
くだらないといえば実にくだらないトラブルだったものの、こういうことを一つ一つ潰していくのが今の<ロボットの開発>なので、トラブルはむしろ早々に出てもらえた方がいいとも言える。
「センサーのセッティングはそれこそトライアンドエラーだからね」
敷島が言うように、実際に防水が大きく破れて大量に水が浸入してきてからでは警告も何もないので、わずかに滲んできただけの時点で感知しなければいけない。そのために感度を上げていたわけだが、どの程度の水圧が掛かればどの程度の電位差が生じるかというのは、機体形状や装備により変わってくるので、機種ごとに当たりを出すしかないのだ。
こうして取り敢えずセンサー感度を調整。再度、
「浸水警報ありません」
スタッフとして敷島らと一緒に見守っている<千堂アリシア>が状況を告げる。
それを受けて、
「よし、それじゃ泳いでみようか」
との指示に、
「はい」
<千堂アリシア>が応え、<
本来は水に浮かず泳げないアリシアだが、
しかし、五分ほど泳いだところで、
「アラート! 浸水警報」
<千堂アリシア>が声を上げると同時に
「ああ、耐水皮膜が規定値に達していなかったのか」
今度は実際に機体内部に浸水していた。しかも、すでに内部の機構が、一部、水に濡れている。このままだと漏電の危険性があるので、関連する部位と共に全交換となった。
そのため、今日の水槽での運用はこれで終わりである。
「それではアリシアさんは、アルゴリズム班の手伝いをお願いします」
「分かりました」
敷島にそう告げられ、アリシアはメイトギア課第三ラボのオフィスへと戻っていったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます