人魚型メイトギア、という存在
これは、<人魚型>という有り得ない形状で設計しようとすると、それを制御するためのアルゴリズムの開発にコストがかさみすぎ、およそ現実的でない金額になってしまうからというのもあった。だから人間の演者と同じように、演技をする時には『人魚スーツを着る』ということになる。
なお、獣型だった
一方、<人魚型メイトギア>というものについては市場も見込めない特殊な仕様な上に、
『人間の上半身に魚(ないし水棲哺乳類)の下半身』
などという生物が存在しないため、データを集めようがないのだ。人間の上半身についてはデータも豊富だが、魚(ないし水棲哺乳類)のデータを集めるのも難しくはないが、それらを有機的に、
『生物として意味のある形で融合させる』
ということが、それこそもう、
『何もないところからすべて手作業で作り上げる』
のに等しく、到底そこまでやっていられないのである。
なにしろ、新たにダンススイマーから収集したデータがあるとはいえ、それをアルゴリズムに反映させるには、最終的には人間自身の手で膨大な項目を処理していくのが必要なので、やはり作業は大変なのだ。
『こういうのこそAIに任せるべきでは?』という意見もあるだろう。しかしAIに対する潜在的な不信感は根強く、全てをAIに任せてしまうことは法律で禁止されており、全ての項目を人間の目で確認することが義務付けられているのである。
<AIの反逆>に対する人間の恐れがそこに現れているのだろう。確実に人間の制御下に置かれることが徹底されているのだ。
ちなみにこれは、<AI排斥主義者><ロボット排斥主義者>らに対して、
『AIもロボットも完全に人間の制御下にある』
とアピールするためのアリバイ作りという一面もある。
『ここまでやっているのにテロ行為に走るなど言語道断』
と断罪する根拠にもなる。
いずれにせよ、そのおかげもあって、AIによる人間への反逆など、今では気配すら見えないのも事実ではある。
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