ロボット主任、アリシアの細腕奮戦記
人間によって使われる道具
ただ、現在ではアンドロイドという呼び方は廃れている。極めて多種多様なロボットが、自動車のごとく大量に製造されるようになり、果たしてどこまでをアンドロイドと定義し、どこからそれ以外と定義するかが曖昧になってしまったこともあって、結果として、
『AIによって制御される、自律型および半自律型機械はすべてロボットと称する』
という概念が一般的になり、それが定着した。なので、人型もそれ以外も<ロボット>で統一され、その中で、ヘルパー機能をメインとし人間に似た外見を有し人間の<
これ以外にも多種多様なロボットが存在するが、それらについては適宜紹介するとして、千堂アリシアは、<メイトギア>と称されるロボットだった。
しかし彼女は、分類上ではあくまでメイトギアではあるものの、その実態はこれまでの常識には当てはまらない、もしかするとまったく新しい<ロボット>かもしれなかった。
何しろ彼女には、<心>としか思えないものがあるのだから。
ロボット、と言うか、ロボットを制御するAIには、これまで、<心>があるとはされてこなかった。何度かそれを再現しようと試みは行われたもののそのいずれもが有意な結果を得られず、しかも、AIに人間のような心を持たせては、人間に対して反感を覚え、それはやがてAIによる人間への反乱を招くのではないかという懸念を持たれるにいたり、AIに<心>を再現することは禁忌とされ、あくまで、
『AIとそれによって制御されるロボットは<人間によって使われる道具>である』
という大原則が確立された。
にも拘らず、千堂アリシアには<心としか思えないもの>があるのだ。
これは非常に重大なことではあったものの、彼女に芽生えたらしい<心>ないし<心のようなもの>は、彼女以外の機体においては再現されることがなく、AIやロボットが心を持つようになるという懸念は否定されることになった。
ゆえに、現時点では唯一無二の存在である<千堂アリシア>は、非常に貴重な被検体として厳重な管理の下、さまざまな研究が行われることになったのである。
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