特別開発チーム主任
「この度、開発部メイトギア課、特別開発チーム主任の任を拝命しました。千堂アリシアです。どうぞよろしくお願いします」
その日、
かっちりとした真新しいビジネススーツに身を包んだその女性の名は、自身が名乗ったように<
しかしその物腰は落ち着いていて、なるほど<未成年>ではないようにも思える。
が、そんな彼女を迎えた開発部メイトギア課の面々は、
「いらっしゃい!」
「待ってたよ!」
「こちらこそよろしくね♡」
などと口々に千堂アリシアを歓迎する様子を見せた。何しろ彼らにとって千堂アリシアは顔馴染みも顔馴染みなのだから。
「ところで、あれからどこか調子悪いところない? 何か不安があったらすぐに言ってね」
そう話しかけたのは、メイトギア課の課長、
「大丈夫ですぅ、課長ぉ。私と主任とで完璧に修理しましたからぁ~」
鼻にかかった、甘ったるいしゃべり方をするのは、メイトギア課技術副主任の
『あれから』というのは、千堂アリシアが遭遇し、火星全土を震撼させた<クイーン・オブ・マーズ号事件>以降ということだ。
あの事件により彼女には過大な負荷が掛かり、都市<
CSR-305のチェーンガンの斉射を浴びた際にできた痣のような傷も、過大な負荷が掛かったことによる間接部の僅かな歪みも、完璧に新品同様に修理されたはずにも関わらずである。
そのため、メイトギア課技術主任の
なお、ロボットは本来、夢など見ない。見る必要がないからだ。にも拘らず、千堂アリシアは夢を見ていた。
それは、彼女があの経験を受け止めるのに必要なプロセスだったのかもしれない。
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