5月15日 憂鬱の朝

 目覚ましを二度消す。そして布団でぼーっと過ごす。

 私は起きたくなかった。現実というつらいものと目を合わせるのが嫌で、ならば暖かい布団でずっと過ごしていたいと、母の呼びかける声も無視して。

 午前の授業は今日はない。布団の中でなるべく長く過ごしたかった。昨日の苦しい気持ちは幾分か減っていて、幸せを少し感じられた。布団の中でだけ幸せを感じることができた。

 現実から目を背けられる瞬間が長いほうが嬉しいじゃないか。

 だけど分かっていた。

 布団を出ようが出ないでいようが、新しい朝が来る。現実は待ってくれない。課題の提出期限が、伸びることもない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

朝々 坂町 小竹 @kotake_s

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ