生贄の瀧《たき》

吾妻栄子

生贄の瀧《たき》

「もう大丈夫よ」

 桃花の舞い散る瀧の下、白髪の老婆は紅い絹の花嫁衣裳を着た幼女を抱き締めた。

「こんな小さな子まで」

 他の女たちが張られた網と砕けた木舟の欠片を片付ける中、一人の若い娘が二人に近付く。

「お姉ちゃん!」

 姉は妹の頬を撫でた。

「生贄に瀧に落とされた女たちはここで暮らしてるの」





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生贄の瀧《たき》 吾妻栄子 @gaoqiao412

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