転生者の管理はどうやら神の仕事らしい
七瀬 篠
第1話
ここは天界中央。あらゆる世界の最高神が強制召集される異例の事態が起こっていた。
「本日の議題は……」
本会議の進行役となったのはエジプトの最高神であり、太陽を司る神であるラー。
「転生についてだろうが。この鳥頭がァ」
「そうである! 転生! この余が、進行役としてやらせていただく。早速だが、現在状況を説明する」
最近はどこの神も輪廻転生というシステムを利用するようになった。生を全うして帰還してきた魂に新たな肉体を授けるというものである。
従来ならば、魂を無に帰して新たな魂と共に肉体を創っていた。もしくは天界へ天使として招き入れることも少なくはなかった。
しかし、科学技術の発展により神への信仰が薄れエネルギー不足が懸念されている現在。膨大なエネルギーの使用される従来の方法が見直され、省エネである輪廻転生が主流となった。
「余たちがすべき事は科学発展世界に天災などで不安を煽り信仰心を高めることである!そして1番の問題である転生者についての対処について……」
「おいおい、転生者の対処は俺たちには関係ないぜ。オリュンポスがやらかしたという報告は受けていないからなァ! 最高神が女であるどっかと違ってよォ」
ゼウスが嘲笑し、視線を向けた先には高天原を統括する
「転生者の件については
「おい、天照……それは喧嘩売ってるのかァ?」
「やめないか。この転生者の件は解決しなければならぬ最優先事項だ。ついては最も報告のあがっている天照に一任することにしよう。原因究明の手がかりが1番多い。各界の神は協力要請を受けたら、すぐに受諾すること。それ以外は本件に関して、天照に口出しすることは厳禁とする。会議は終わりだ」
「了解である! オーディンの旦那! ではこれより会議を終了する。解散!」
最高神の会議は北欧の最高神であるオーディンの鶴の一声によりまとまり、転生者の件は高天原が一任することとなった。
なんなんだゼウスのやつは。ヘラ殿に浮気している報告をしまくってやる。とはいえ、
どうしたものか。
「あれ? 姉上もうお帰りでしたか。どうでした? 会議の方」
「なんだ……
「具体的にどうするのですか? 問題がある転生者を1人残らず殲滅する……とか」
「地上界に多大な影響避けねば、国際神法に抵触する。そうなると、他の神からの追及は逃れられなくなる」
「最高神様というのは大変ですね」
「茶化すな。それにしても神に近いステータスを持ったやつを殺さずに対処できて、かつ手が空いている者となるとかなり限定されることになるな」
「それでしたら……」
月読に推薦されるまま1人の神を呼び寄せたのだった。その神の容姿は銀髪で少年のような顔立ちをしていた。それとは裏腹に血の海に沈んだような真紅の目を持っていた。
「お前か。月読の推薦するやつというのは」
「ん、言われて来た」
左手にお菓子の袋を抱え、ひたすらにお菓子を頬張っている。
「とりあえず、お菓子を食うのをやめないか。お前は今、最高神の前にいるのだぞ」
「ん、知ってる。月読の姉貴でしょ。んで、任務ってなに? お菓子食べれる?」
「貴様……まあ、良い。お前には地上界へ行って、転生者たちのステータス調整してもらおうか」
「殺せばいいの?」
そう言った刹那、天照は呼吸が止まった。体験したことのない死の感覚だ。息を飲んで少し微笑んだ。
なるほど、月読が推薦するわけだ。
「いや、殺しては困る。この特殊な刀で意識を奪うだけで良い。ステータスや記憶の処理に関してはこちらで行う」
刀と任務、更に地上界でのルールの説明を終えて彼を地上へ送り出す。
「お前1人では不安だからな、私の部下も念のために付けておこう。彼女は
「
「私は御影と申します。よろしくお願い致します。」
無表情の喰斗とは違い、責任感の強そうで口のうるさそうな女性が現れた。彼女を見るなり喰斗は多少面倒くさそうだなという表情を浮かべていた。
「では、先ほど説明したことは絶対に守れ。失敗は許されぬ。任務をきちんと遂行できるのであれば、地上界のお菓子を好きなだけ堪能しても構わぬ」
「ん、わかった」
「御影、頼んだぞ。ここだけの話だが、高天原にこの転生者の件と関わりがある者がいるという噂だ。用心してくれ」
「はい」
2人は天界にある高天原の門から地上界へ向かうのだった。
転生者の管理はどうやら神の仕事らしい 七瀬 篠 @choco7dra
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