プルーン
夢美瑠瑠
プルーン
掌編小説・『プルーン』
甘酸っぱいような匂いがして、少女は目を醒ましました。
いい匂いなんだけど、ちょっとクセが強いような匂い。
眠い目をこすりながら少女はぼんやり考えていました。
(これは・・・何の匂いだっけ?一度嗅いだら忘れられないような・・・
だけど何の匂いだったか思い出せないわ。)
ラベンダー?ううんラベンダーはもっと、何というか優しい感じの甘さ。
ラベンダーの匂いにはちょうどバナナみたいな明るさがある。
もちろんオレンジやメロンならもっと果実みたいな美味しそうな匂いになる。
シトラスなら少し薄荷っぽくなる。
本当のパフューム系は揮発するニュアンスがあって噎せる感じになるし・・・
ぶどう?そう・・・紫色の葡萄の匂いなら、かなり近い。
甘いけど、渋みのある感じの匂いなのだ。
・・・ふと見ると、枕元にはママが置いてくれたらしいプルーンの実が、
クリスタルガラスの器に盛られて、深い紫色に光っていた。
(あ、そうか!プルーンの匂いだったんだわ。
そう、有名なロックバンドの名前みたいな色をした瑞々しい果実ね)
一つ摘まんで食べてみると、たわわに実っている感じのプルーンは、
そのちょっと神秘的なニュアンスの甘酸っぱい匂いの素を、
蒸留してポプリにしたように香ばしくて、さらに濃い味わいがした。
「おいしい・・・目が覚めるくらいに酸っぱい!」
こうして少女のポエティックな一日、ロマンチックな夢物語のような日常、
が今日も始まりを告げるのでした・・・
<了>
プルーン 夢美瑠瑠 @joeyasushi
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