古式ゆかしいスペオペが現代に蘇った、ど真ん中の娯楽作品

 主人公は、独立戦争の生き残りにして今は運び屋のケント・マツオカ。違法AIのノエルと封鎖突破船フランベルジュを相棒に、今日もトラブルに巻き込まれる、古式ゆかしいスペオペ作品。
 次々に襲い掛かる艱難辛苦を日常茶飯事とばかりにスイーッと泳ぎきるケント。そこに、嫉妬深いが超有能なポンコツAI、ノエルの組み合わせが楽しい。手堅く纏まった各エピソードに、色とりどりのヒロイン役と、これはもう王道ってやつじゃありませんか?設定にも手を抜かず、主人公たちが活躍するのがかつて太陽系からの独立を目指して敗北したケンタウリ星系という舞台設定は、あとになるほどピリリと辛味が効いてきます。それでいて、娯楽作品としてのエッセンスがギュギュッと詰まったエピソードはどれを取っても痛快! 旧ケンタウリ星系軍の秘密兵器を取り戻すために危険な橋を渡る「ケンタウルスの亡霊」から、ケントの過去を語る「最後の六隻」まで、全4章の物語。一流のスペオペ・エンターテイメントをいますぐ読みましょう!