羽衣石ゐお

第1話

「どうして君はそんなに外見にばかりお金と時間と労力を費やすんだい」

「どうしてって、そりゃあ、可愛くありたいからよ」

「可愛く、ねえ。それで、可愛くなって、ちやほやされたいの?」

「うん、そうね、あと自信がつくじゃない」

「成程。確かに良い服を着たり、女の子を侍らせると気分が良いもんね」

「そう。それに、やっぱり、男は可愛い娘が好きなのよ。いくら中身がからっきしでも、結局のところ、可愛いかどうかなのかよ」

「否めないね。でも、愛嬌もなくて、いいのかい」

「あら、わたしが愛嬌の無いような女に見える?」

「見えるさ。君はいっつも僕のためにと言って、頑張って化粧をするし、服も選ぶけど、それが独り歩きして、僕のことなんてちっとも思っちゃくれない」

「嫌だわ、本当に貴方のためよ」

「じゃあ、もっと時間を内面に費やしなよ。君の頭は時代遅れだよ」

「時代遅れなんて……みんな、こうやって頑張っているのよ。ねえ、貴方好きでしょ? こんな感じのふわふわしたワンピースとか、明るい髪色とか……」

「僕はね、女の子が口をそろえて『男は外見ばっかり』って言ってるのを否定したいから、君の内面を見ようというんだ。そうして、大変さ。君は、時代の流れに逆らわなければならないんだから」

「貴方、馬鹿よ」

「どうしてそんなことを言うんだい」


「だって、貴方って嘘を吐くのが下手なんだもの。目でバレバレなのよ」

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羽衣石ゐお @tomoyo1567

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