第17話 タイムオーバー

洞穴の入口で門番をしているデススライム

狼と蝙蝠はデススライムの殺されゾンビとして生まれ変わっていた


シロとアンズの左目はゼロを迎える

「いよいよ始まるな」

「ああ、そうだな」

2人の左目がゼロを迎えた瞬間


天井からの光が太い線となり地面に集約された


「さぁ、追跡者のお出ましか?」

「シロ、気付いたか?」

「10分か、どうやら時間制限があるようだな」

「そのようだな、この10分にどういう意味があるのか考察する必要がありそうだな」

「10分経てば助かるって設定ならありがたいんだけどね」

「そうだな、そろそろ姿を現すぞ」


暗闇の中、アンズ達不死の者にはすでに見えていた

シロは松明の明かりをその方向へと照らす

森から現れたのは

レベル1 スケルトン が追跡者の頭上に表示されているのが見える


「ふむ、あれが追跡者か?」

「そのようだな・・・」

「1体だけか・・・、この世界でのレベル1がどの程度の強さなのか試してみるとしようか、いけ、デスナイト!!」


片手にそれぞれ剣と盾を持ち鎧を装備したデスナイトが向かっていく

スケルトンはデスナイトを全く視界にいれようとせず、シロとアンズを見つめながら向かってくる


まったく無防備なスケルトンにデスナイトの剣の一撃でスケルトンが吹き飛んだ


「これは想像以上に・・・弱いな・・・」

「そ、そうだな、これなら10分は耐えれそうだな」


スケルトンが立ち上がろうとしたところをデスナイトがつかさず追撃を行う

相手が反撃する暇も無く剣で骨を粉砕していく


「30秒か・・・これで終わりか?早かったな、デスナイトよもうよいだろう」

アンズの言葉に振り下ろす剣を止める高笑いをしているデスナイト


「ま、待てなにか変だぞ?」


デスナイトの猛撃で見落としてしまっていた・・・

デスナイトはすでにスケルトンを6回も倒してしまっていたのだ


「おい、あいつ、レベル7まで上がっているぞ?」

「倒すのはリスクが大きいな、デスナイトよ!スケルトンを倒すのではなく拘束するのだ」


剣と盾を地面に投げつけスケルトンを殴りつける

スケルトンもデスナイトに反撃をするが、まだデスナイトの方が強さが上の様だ


「ふむ、デスナイトの強さはレベル10程度と考えてよさそうだな」

「比較対象が居ることで考察できるのはありがたいな」

「この世界にレベルと言う概念が今まで存在してこなかったのなら、これで一定の基準ができたと言うことになるな」

「なるほど、レベル1だと子供くらいと仮定すれば成人男性でレベル5未満くらいになるか」

「シロ殿だと、そうだな・・・、レベル3-4くらいが良い線かもしれんな」

「そうか?ならアンズは俺の見立てではレベル6-7くらいか?」

「はははは、なにを言うか私はレベル100だよ、100」

「口先だけはレベル100のようだな」

「なかなか云うじゃないか、口先だけならシロ殿も負けてないように思えるな」


力だけでスケルトンを押さえつけるデスナイト


「一応はこれで終わったな」


アンズが油断した次の瞬間、押さえつけていたスケルトンの口の中から小さな口が現れ、アンズの左目を噛みちぎり飲み込んだ


松明の明かりの中、シロが気付くのが一瞬遅れた

アンズはよろついた


「少々油断してしまったようだ」

「大丈夫かアンズ?」

「ああ、私自身、特に問題はなさそうだ、これもスケルトン化のおかげで独立した精神を構築できたおかげかもしれんな」

「そうだな、これで人型なら血が噴き出ていたかもしてないな」


アンズの左目を回収したスケルトンは光の筋となり姿を消していった


「それにしても追跡者の狙いはこの左目を回収することだったのか・・・」

「あまり良い結果とは言えない状況だな」

「ところでシロ殿、時間の方はどうなっている?」

「光の筋もろとも綺麗さっぱり消えてるよ、それより本当に大丈夫なのか?」

「心配してくれてありがとう、左目からの呪縛が無くなったようでなんだかスッキリした感じがする、俺は真の自由を手に入れたのか」

「これで、元の世界へ戻れなくなったんじゃないのか?」

「ああ、その事か、それなら特に問題はなさそうだ」


「シロー!!」


遠からリトリーの声と同時に明かりに照らされた4人姿が確認できた


「おいおい、お前ら村で待っていてくれって頼んだじゃないか」

「シロ様申し訳ございません、しかしながらリトリー様がどうしてもとおっしゃいまして」

「そうだニャ1人で出かけようとするから、全員で来たニャよ」

「うん、アンズも元気そうでなにより」

「お前ら・・・、心配かけたなもう大丈夫だ、一応は終わったよ」

「はぁ~、もう本当に心配したんだからね」


「お、そういや、アンズにとってひまりが居ると真の自由とやらは手に入らないっじゃないのか?」

「いやいや、それは冗談だろう、それは俺にとって最上のご褒美だよ」

「そ、そうか、それならいいんだけど」


「ん、にゃんだこのブヨブヨしたのは?」


アクアがデススライムを棒でツンツンするとデススライムがアクアに纏わり付くと

アクアの着ている服を溶かしながら絡みついていく


「あああ、ふにゃ~、あぁ、そこはダメなんだにゃぁ~・・・」


「そうかアクアはこういう時の為に存在していたのか、なかなか良い眺めだぞアクア」


「シロは見ちゃダメ」


リトリーはシロの目を両手で塞いだ


「ああ、真っ暗闇が俺を襲う・・・」


「ああ、シ、シロの変態!、ああ、ぬゃぁ~、ち、ちからが抜けるふにゃぁ・・・」


「あ、あ、あ、アクアちゃん、いい、すごくいい、こ、ここ、これを目に焼き付けて、創作意欲が・・・・」


ひまりはデススライムがアクアに絡みつく姿に目がくぎ付けになっていた


「ははははは、実に愉快だ、仲間とは良いものだなシロ殿」

「お前も、もう俺たちの仲間みたいなもんだよ」

「そうか、そうだな、なら俺はこの世界で仲間たちの為に生きようではないか、地下大墳墓も良いが、ギルドを作るのもよいな」

「まぁ、そこまでする必要は無いと言いたいところだけど、どうせ人のいう事なんか聴かないだろうしな」

「いつかシロに恩返しができる時が来ればよいのだがな・・・では、皆の者、戻るとしようか、諸君また会おう」


アンズ達は洞穴へと戻っていった

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