第16話 追跡者の存在

赤い文字で表示された数字は明らかに減ってきている

それに村の中央に表示された赤い線が空の彼方まで続いている


このまま数字がゼロになれば村で昨日の悪夢が現実となるということなのだろう、村を離れなければ・・・

この場合、人の多い場所は避けな変えれば、そう考えるとゼロには頼れないし、時間もないだろう

そうなると、アンズの所か・・・

いや、待てよ、アンズに示された時間があの時は7日後だったな

はっきりとは覚えていないが、俺の数字がゼロになると、どうやら関係がありそうだな、となるとアンズにも責任の一端はありと見ていいな

やはり、アンズの所へ行かなければいけないな


村長に大鳥を借りるシロ

「リトリー、少しアンズの所へ出かけてくるから留守番を頼む」

「シロ1人で大丈夫?」

「ああ、ちょっと気になる事があるんでな、アンズに聞いたらすぐに帰って来るよ」

「この前みたいな、盗賊もいるし、狼だっていつ出てくるかも分からないんだよ」

「大丈夫だって、いざとなったらこの大鳥さんにがんばってもらうから、こいつの足に追いつける奴は恐らく居ないと思うし」

「それでも、傍にいてくれないと不安で・・・」

「大丈夫だって、みんなもリトリーの事頼む」

「畏まりました」

「リトリー様の事は任せとくニャよ」

「シロ・・心配・・」

シロはひまりの頭に手を置いた


「じゃあ行ってくる」


アンズの元へ走るシロ、予想通り天に突き上がる赤い光の線もシロに付いてきていた


「ビンゴだな、急ごう」


日の沈みかけた頃、アンズの元に到着するシロ

「アンズが地下大墳墓を作ると言ってまだ数日しか立っていないのにかなり掘り進んでいるな・・・」

「入口の水溜まりと思っていたのは、デススライムか・・・こいつには言葉が通じるのか?」

デススライムに話しかける

「言葉が分かれば良いのだが、悪いけどアンズを呼んできてくれないか?」


デススライムはその体をうねりながらお越し、小さなスライムを吐き出した


「なんかちょっと気持ち悪い吐きだし方だけど、一応、言葉は通じるみたいだな」


しばらくすると洞窟の奥からスライムに先導され、大きなつるはしを担ぎながらアンズが姿を現す


「やあシロ、ずいぶんご無沙汰ではないか、元気だったかね」

「いやあれから5日しか経ってないし」

「そうだったか・・・、睡眠も飲食も取らずにこの中でずっといると時が過ぎているのが分からなくてね」

「真っ暗な1日中居るとそうなるだろうな」

「うむ、ところで私に何か用かね?」


いきなり現れて、協力してくれ、危険が迫っているなど言えるはずも無く


「お前の左目になにか変わった事は無いか?」

「そうだな、左目の数字はあと2時間でゼロになるくらいか」

「正確には?」

「2時間34分と言ったところか」

「やはり、そうか?」

「ん、どうかしたか?」

「お前の左目の時間と俺の左目の時間が同じだ」

「ほほう、それは興味深いな」

「ちょっと外に出ていいか?」

「ああ、いいだろう」


洞穴の入口に立つシロとアンズ


「お前にはあの赤い線は見えるか?」

「ふむ、洞穴に居た時には気付かなかったが、なんだあの赤い線は?」

「やはり、お前にも見えていたか・・・」

「アンズは今まで左目の数字がゼロになったことはあるのか?」

「ああ、何度かあるが、ほぼ、この場所に来ては引き籠っていたし、元の世界に戻るだけで特に気にしたことはなかったな」

「俺も何度かゼロになった経験があるが、この線はヤバイ」


シロにとっても初めてだが協力を仰ぐためにあえて嘘をつく


「ほほう、詳しく教えてもらおうか?」

「ゼロになった瞬間、あの線の示す場所に化け物が現れる、そして俺たちを狩りに来る」

「なるほど、ゲームに置き換えるとタイムオアーバーになれば追跡者が現れる、あれのような存在と言う訳か」

「流石、年上なだけあって理解が早くて助かるよ」

「と、なると逃げるか、戦うかの2択しかないな」

「アンズならどうする?」

「俺は不死の体を手に入れた身、死は恐れない」

「つまり、戦うって事か?」

「そうだな、しかし、相手が相手だけに逃げることも考慮して慎重に戦わなければならない、我々にはデスナイトもいる、彼らをぶつけて様子を見てみようじゃないか」

「それでダメなら?」

「シロ、お前だけでも逃げろ」

「そういう訳にもいかないだろう?」

「いいや、お前は不死ではない、しかもリトリーやひまり殿の召喚主だ、お前がこの世界で死ねば彼女たちに影響が無いとも言い切れない」

「そんときゃ、その時よ」

「なにか策でもあるのか?」

「そんなのねぇよ」


シロにはあの時見た光景の化け物相手に勝てるとも、逃げることもできないと感じていた、酷い奴だと思われるかもしれないが心の中ではアンズに謝っていた


「まだ、少し時間はあるな、準備するとしようか」

「ああ、俺はここで見張っているよ」

「なにかあればすぐに呼んでくれ」


アンズは洞穴の奥へと消えていった

洞穴の入口で腰を下ろし時を待つシロ


「わかっちゃいるけど、なんか緊張するな、それにしても訳がわからない、今までこんな線見たことないぞ、上はいったいどこまで続いているんだ?」


線を眺めながらいくら記憶を手繰っても想像ばかりで現実的な答えにたどり着くことはないまま時が過ぎる


「シロ、待たせたな」

「おお!!!これは一体どうしたんだ?」

「ははは、どうだシロ、我が自慢の不死の軍団だ!!」


デスナイト4体 デススライム1体 ゾンビ狼20体 ゾンビ蝙蝠100体

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