第15話 絵師 ひまり

「ゴロゴロゴロー」

寝ぼけながらお互いをスリスリしているリトリーとアクア

「ゴロゴロゴロー」


村の木陰の木製のベンチで昼寝をしているリトリーとアクア


「みんな見たか?」

「はい、しっかりと脳裏に焼け付きました」

「アクア様、最高!」

「いやいやリトリーさまの天使の様な寝顔に昇天しそうです」

「もう今ここで死んで神になって2人を天から見守りたい・・・」


どこの世界の男も変わらないなとシロは思いつつも向こうの世界から持ってきたアイテムを取り出す


「じゃじゃーん、これに取り出したる魔法のアイテム、このアイテムを使えば過去の時間をここに保存することができる、みんな見てろよ」


シロはスマホを取り出し撮影し、一緒に居る村の青年たちに見せる


「おお、これはすごい」

「これは魔法という物なのか?」

「すごいだろ?」

「これを元にひまりが描いた絵がこちら!」


シロは懐からひまりが2人を書いた絵を取り出した


「おお!これは・・・・」

「一体、いくらでお譲りいただけるのですか?」

「現在予約受付中!今回ご予約特別価格、100エリンでどうだ?」


100エリンとはこの村での青年男性1か月分のお給料と同程度だ


「おお、ちょ、ちょっと高いか?」

「うーん、1か月分か・・・」


"あれ、ちょっと高かったか・・・しかし、仕込みは万端"


「買います、僕は買います!」

「お、スナメ、毎度あり」

「みなさん、ひまりさんの絵ですよ、それにこんなに上手な絵は帝国の首都でさえ見かけた事ありませんよ」

「うーむ、たしかにな、絵としての価値を考えても・・・」

「俺は買うぜ!」

「よし、俺も決めた、ひまりちゃんを応援するためにも買わせてもらうぜ」


「み、みんなありがとう!」


その場にいる全員から予約を受けることができた


「でも、こんなことしなくても売れていたような気がしますけどね」

「そうか?」

「はい、村の人はあまり分からないのかもしれませんが、ひまりさんの絵の能力はこの世界でもとびぬけていると思います」

「たしかにそういわれればそうだな」


ひまりの設定を考えた人に感謝だな、妹キャラでの趣味設定がこんなところで役に立つとは


「はい、うまくすればそれだけで一財産築けるかもしれません」

「なるほど、それはよい案だな」

「僕にも是非協力させてください」

「天才美少女絵描きか・・・」

「それいいですね」

「問題はひまりをどう説得するかだな」

「そこはたしかに難しい問題ですね」


その夜・・・・


「ひまりさまお願い致します、なにとぞ、なにとぞ」

「いやだ、いやだ、いやだ、ひまり、リトリー様以外描きたくない」

「じゃ、じゃあせめてこれと同じ絵を10枚ほどお願いします、その代わりなんでも言うことを聞きますから」

「ほんと!、ほんとうに!」

「このシロに嘘偽りはありません」

「わーい、やったー、じゃ、じゃあ新しい薬の実験お願いしていい?」


薄い紫色と濃い緑のドロドロした液体を差し出す


「こ、これって、まさか・・・」

「ひまりね、触手系を描いてみたいのだからね、リアルでうねうねしているの見てみたくて」


触手でリトリーに嫌らしい事をさせたいのか・・・・やばい、想像しただけで興奮してきた


「やっぱ、やめた」

「え?」

「シロの顔をみていたら、いやらしい事を考えてるのすぐわかったから」

「いやらしい事?いやらしい事とはどんなことだ、具体的な事を言葉ではなく体で表現してみてくれ!」

「むむむむむぅ」

「まさかそこにスライムも追加しないよな、ドロドロぬるぬるした触手を体に絡ませリトリーにあんなことやこんなことを・・・ああ、いやぁ、やめて!そこは・・・そこだけは・・・」

「うむむむむむぅ・・・・のあーーー・・・・・プシュー」


真っ赤な顔をしたひまりの頭から湯気がでて、呆けた顔になっている


「あ、壊れた・・・、ちょっと刺激が強すぎたかな・・・」


トントン、扉をノックする音がし、扉を開けるシロ

扉からは天井を一点に見つめボーっとしているひまりの姿が見える


「シロ?ひまりの叫び声が聞こえたと思ったけどなにかあったの?」

「いやいや、リトリー、なんでもない、なんでもない、ちょっと絵の構想を考えていて想像が膨らみすぎたようだ」

「絵の構想?」

「うん、少し疲れたみたいだからひまりを1人にしておいてあげよう」


シロはひまり部屋から出て、扉を閉めた

部屋から真っ暗な外を眺めるリトリー


「リトリー、どうかした?」

「ううん、夜の外は本当に真っ暗ね」

「月が無いからな、やっぱ月が無いと寂しいよな」

「うん・・・・、そうね」


シロの意識が急に不安定になる


「お、立ち眩みか・・・」

壁に手を付くシロに心配そうに駆け寄るリトリー

「どうしたの、シロ大丈夫?」


シロのボーっとした意識の中、脳内に薄っすらとした映像が流れ込んでくる

胴を引き裂かれる村人達の悲鳴

村の中央で大きな化け物と対峙するリトリーの姿が周囲の火によって暗闇に映し出される

"だ、ダメだレトリー、逃げろ・・・・”


「な、なんだこれは・・・」

「シ、シロ左目から血が・・・」

シロの左目のカウントが始まった


残り23:59

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