第7話 近くの村へ行くニャよ

左手に数字が表れているからてっきり左目の呪いから解放されたと思っていたのだが・・・どうやら違ったようだ

右目で見ても何も見えないのに左目で見ると数字が見える・・・

リトリーが現れたことで表示が変わった、もしかして左目のレベルでも上がったのか、いやそもそもこの左目にレベルなんてものがあるのかも疑問だし、新たな何かが解放された可能性の方が高いのかな


「3日後か・・・・これって時間が表示されるだけなのかな~」

「どうかしたのシロ?」

「ううん、なんでもないんだけど左目がちょっと気になってね」

「ゴミでも入ったの、ちょっと左目見せて」


「リ、リトリーさん・・・、ち、近い・・・」

「リトリー様、気を付けるニャよ、シロ様は変態スキルの持ち主なのニャのよ」

「変態スキル?」

「お前は突然なにを言い出すんだ、一回この口を塞いでやろうか?ああ?」

アクアのほっぺを両方に引っ張るシロ

「ぐぬぬぬ ファイニョルにふかってふゃにをふるニャ!!、ガブッ」

アクアはシロの指に噛みついた

「や、やめろ・・・あいたたた」

「うふふ、2人共仲が良さそうでよかった」

「リトリーさま違うにゃよ、こいつはただの変態野郎ニャのだ」

「よーし、いいだろうアクアが望むならその変態スキルとやらを披露してやろうじゃないか」

シロは両手を広げ揉む仕草を行う

「いやー、リトリーさま!助けてー犯されるニャー」

リトリーの影に隠れるアクア

「シロもその辺りでやめてあげて、で、でないと少しうらやましいかも・・・」

「え?リトリー、今何を・・・」

「あああ、やっぱ今のは無し、無し、アクア!、この変態の性根を正すわよ」

「さすがリトリーさま、シロ!覚悟するにゃよ」

「てか、アクアまで呼び捨てかよ」


「み、みなさん、あれ?」

ひまりが指を示す

「けむり・・・ですね」

「ありゃ~、なんか村の方が燃えてるニャよ、これは困ったニャ」

「と、とりあえず、急いで村へ行くぞ」


村へ付くと1軒の2階建ての木造の家が燃えていた

「だれか、だれか助けて、2階にまだ娘がメアリー、メアリー!!!」

「この火の周り方では、中へ入るのは無理だ」

母親とみられる女性を引き留める村人たちの横を颯爽と大柄な体をしたメイド服を来たセワスが通り過ぎる


「メ、メイド?」

「お、おい、あんたいくらなんでも無茶だぞ」

村人たちの静止する声にも足を止めることなく燃え盛る炎に包まれた建物へと入っていく


その場に静寂で包まれる中、シロたちは村人たちの後ろで傍観していた


炎の中セワスは2階で倒れている子供を発見し、メイド服のスカートを引き裂き子供を包むと炎に包まれた2階の窓から一気に飛び出した


村人たちから歓声が沸き上がる


「やはりこういうのは映画のラストシーンで見た事あるような・・・」

シロは記憶を手繰る


「メアリー、メアリー、お助けいただきありがとうございます、ありがとうございます」

名前を呼びながら駆け寄る母親、しかしながら炎と煙の中で居た子供の容態はあまり良いとは言えず呼吸も苦しそうだ

ひまりの元へと子供を抱えながら歩いていくセワス

「少々火傷が酷いようですね、ひまり、この娘に薬を付けてやりなさい」


「は、はい、ひまり特製の薬です、こ、これでよくなると思います」

薬を飲ませた子供の容体が安定していく

「呼吸が少し楽になってきたようだね」

「ひまりはすごいな」


次の瞬間子供の体がうねり出す

「ぐぇぇ、グググェェ、グググッグ」

「お、おい、どうしたんだ?ひまりさん?子供の様子がなにか変じゃないか、急にホラーな展開になってきやがったぞ」

「あわわわ、お薬間違えたかな、こっちだったかな」

別の薬を子供に塗ると子供の唸り声は消えた

「今度は大丈夫なのか?」

「は、はい、たぶん大丈夫だったと」

「なんだか自信なさげだな・・・って、おい、今度はなんだか毛むくじゃらに」

「ぐるぐるるるるるる」

「あああああ、ごめんなさい、ごめんなさい、最後のこの薬が正解です」

最後の薬を塗ったことでやっと子供の容体が安定していった


「今度は大丈夫なようだな」


村人たちは今回の英雄でもあるセワスを囲んで話をしていた


「この度は助かりました、村を代表してお礼を述べさせていただきます、ありがとうございます」

「旅のお方と存じますが、お礼も致したいので、是非、当村でお休みいただければと思います。」

「もしよろしければお名前でもお教え願えないでしょうか?」

「セワスと申します」

「セワス様ですか、ありがとうございます、それにしても変わられた格好をされておりますね、たしか北方の方では男性もスカートを履くと聞いたことがあります、実際に見たのは初めてですがね」


メアリーの様子を見ているシロたち

「そういやひまりは変わった薬を持ってるね、薬師か何かなのか?」

リトリーを見ても私も知らないって感じで首を振っている


「あのね、ひまりね、人をモンスターに変える薬を持っているの」

突然の衝撃的な告発に驚くシロ


「ねぇ、村人をモンスターに変えちゃダメ?」


この子は唐突になにを言い出すのだ


「ダメダメ、絶対ダメ、リトリーもそう思うだろ?」

「う、うん、罪の無い人をいきなりモンスターに変えるってのはやっぱダメかな」

「そうだニャよ、アイドルとして活動できなくなるからアクアも反対ニャ」

「そ、そう、じゃあ人に使うのはやめておくね」

「っていうかこの子は大丈夫なのか?」

「うん、この子には傷を回復する薬を付けた・・・」

「おお、そうかそういう薬もやっぱ持ってるんだ」

「た、ただ、モンスター用だけどね・・・」

「おいおい、大丈夫なんだろうな」

「たぶん・・・人では試したことないけど、大丈夫だと思う・・・」

「まぁ、今となってはその方法でしかこの子を助ける方法が無かったわけだし、目が覚めるまで待つとしようか」

「じゃあこの子の事はひまりに任せるとして、少し村の様子も伺ってくるとしようか、リトリーも一緒に来るか?」

「うん」


やっと、やっとリトリーと2人きりになれそうだ

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