第2話 街からの脱出

「うわぁぁぁああん」

茂みから泣きながら現れたのは5歳くらいの女の子だ


2人はその姿を見て安心した

「こんな場所に子供?なにかのイベント発生か・・・?」

「イベント?ただの迷子に見えるけど」


「お嬢ちゃんどうしたの?」

警戒心もなくサクラは近寄り声を掛ける

「お母さんが・・・お母さんが・・・お医者さんを探してたら・・・」


「お母さんが大変なのね、シロごめん、この子放っておけないよ」

自分の身が危険にさらされているってのに、他人の心配なんてなかなかできる事じゃない、サクラはやさしい子なんだな

「ったく、しょうがないよな、でもそう思う気持ち嫌いじゃぁない」

「お嬢ちゃん、とりあえずどっちから来たかわかるか?」

「うん、あっち」

女の子は来た方向に指を示す


「じゃあ、お姉ちゃんが付いて行ってあげるから、安心してね」

サクラはポケットにあった飴を女の子に渡す

「これなに?」

「甘くておいしいよ」

女の子は飴の封を開け舐めだすと満面の笑みで

「お姉ちゃんこれおいしい」

「うん」

「お姉ちゃん名前はなんていうの?」

「私はサクラ、お嬢ちゃんお名前は?」

「リア!」

「リアちゃんって言うんだいい名前ね」

「うん!、お母さんが付けてくれたんだよ」


シロはこの光景を見て思い出した

自分が小さい時に隣町のスーパーで迷子になり泣いていると女の子が近づいてきて

「これあげるから泣いちゃだめだよ」

と言いながらお菓子を渡してきたことを・・・

その女の子はその当時から眼帯をしていた

なんで今の今まで忘れていたのだろう

君のこころはあの頃と変わってないんだな

シロはその光景に安堵する


「シロ?ぼーっとしてどうしたの?」

「いいや、大丈夫少し大事なことを思い出しただけだから」

「それより行こう、この子のお母さんが心配だ」

「うん」


シロたちは女の子の案内で母親の場所を突き止め、代わりに医者を呼んできて、医者と薬代くらいにはなるだろうのお金も置いてきた

「お姉ちゃんありがとう、お菓子美味しかったよ!!」

自分たちの姿が見えななくなるまで女の子は見送ってくれた


さっきの場所へ戻るのも大変なんで、門の近くまで移動してた

「明日は朝一で街を離れるから少し寝といたほうがいいぞ」

「うん、わかった、でも、仮眠している時に変な事しないでよ」

「あぁん、何考えてるんだよ、そんな事しねーよ」

「たまにこっちを見てボーっとしているから、そういう時って変な事考えてるのかな・・・と思って、しかも異世界だし」

「なんだそういうことか、安心しろ、何もしねーっつうの、だから安心して休んでくれ」

初恋の相手が今も変わらず心優しい子になっているっていうのにそんな事を考える・・・はずがない、無事元の世界へ帰る手伝いをしてやるよ


いつの間にか2人で寝ていたようだ

鳥のさえずりと、門が開く鐘の音で起こされた

「サクラ行こうか」

「うん」

2人は緊張しながら門を通り過ぎていく


「お仕事ご苦労さん」

「おぼうず、えらい朝早くから感心だな」

自分たちが思っていたより簡単に通り抜けることができた


「おい、あれ例の少女じゃないのか?いいのか簡単に通して」

「なーに、例の少女だとしてもこの街から去ってくれるのを止める理由はないだろう」

「それもそうだな」


2人は街を無事出ることができた

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