恋呪い(こいまじない)

@waca

私は恋の始まりを知りたい

 何時いつだって同じ欲望の中にしか私は呼ばれない。


 焦がれた恋情れんじょうを叶わぬ物と見出せば、何処で覚えたまじないに一心にすがる彼女達は、幾億の夜が過ぎようとも変わらない。


 その度に呼ばれては彼女達の熱い想いに寄り添うけれど、実る恋、冷める恋、形は違えどそれはいずれ終わってゆく。


 彼女達は何を思い、かつての恋に燃え上がったのだろう。


 私が呼ばれる時は何時いつだって恋の途中。


 私が知るのは何時いつだって恋の終わり。


 まじないにすがるほど身を焦がし燃え盛った筈のその一瞬、どれほどの想いが身体中をめぐあふれるのだろう。


 ああ、私は恋の始まりを知りたい。

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