第55詩 プラスチックワールド

 硬質な世界で夜が明けたら

 降り続く雨も止むのだろうか

 プラスチックのように無機質で

 何の変哲もないぼくらの世界


 ひとたび雨が止んだなら

 七色の虹が空に架かるだろう

 そんな夢を見て

 今日もベッドに潜り込む


 明るい未来を夢想して

 現実の愚かさに望みを絶たれて

 『それでも』ときみは笑うだろうか

 瞳に映る意志の強さは何にも負けない


 硬質な世界は優しくはないけれど

 だからといって

 険しくしているのは

 ぼく自身かもしれないだろう?

 何も出来ないと絶望する前に

 きっと出来ることはあるはずだから


 生まれた場所は間違っても

 生きる場所はきみ次第だ

 過去の事実は変えられないけれど

 今は刻一刻と姿を変える


 過去を省みるなとは言わない

 過去があるからきみがいて

 きっとぼくらは出逢えたのだから


 偶然は必然で

 柔軟に色を変えていく

 きっと虹は

 無数の色を抱えているんだ


 無意味なことは何一つなくて

 世界を創る全ては

 命の全てが紡ぎ出す物語


 硬質な世界で夜が明けたら

 晴れ渡る空に太陽が昇る

 そんな未来のため

 きみに触れたい

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