第54詩 閉じ込めて
いつもと変わらない日常
いつものように電車に乗る
目の前には 手を握り合ってうたた寝するカップルがいて
少し右を向くと 資格勉強中の学生がいた
奥様方は買い物帰りで サラリーマンが目を閉じて身を揺らす
ただ流れゆく それだけなのに
なんだか疲れたな ふとそんなことを思う
気付いたら五分経っていて 慌ててベンチから立ち上がった
駅のプラットホームには また電車が飛び込んで来る
何故か 泣きたくなって
何故か 立っているのが億劫になって
何故か 家には足が向かない
なんだか泣きたくなって 寝静まった夜中 ぬいぐるみに顔を
抱き締めてくれる誰かを待っても 誰もいないと知っているけれど
それでもと願いながら 同時に それでは駄目だと自分を殺す
自分だけが寂しいのではないから
自分だけが苦しいのではないから
もっと悲しい思いをしている人がいるから
もっと辛い気持ちでいる人もいるのだから
そうやって心に閉じ込めた気持ち
そうやって誰にも打ち明けない気持ち
パンドラの箱は鍵をかけたまま
明日も 笑えますように……
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