第45詩 道化者

 悲しい時こそ 笑っていよう

 涙を笑顔で覆ってしまえば

 それはなかったことになる


 悲しい時こそ 微笑みを浮かべよう

 寂しい心を隠してしまえば

 それは誰にも見付からない


 何処かで聞いた フレーズがよぎ

 でも わたしは首を傾げる

 悲しくても笑うのは 何のため?


 心配させたくなくて 誰かに悲しい思いをさせたくなくて

 自分を偽り キャラクターにしてしまう

 あなたの心は 泣いていないの?


 偽りも 続ければいつか本当になる

 笑っていれば いつか必ず悲しみは癒える

 そのいつかは いつ来るの?


 見えない未来 霧立ち込める 不確定な明日

 明るい未来は約束された それはただ わたしを欺く暴言だ


 悲しい時は「かなしい」と言いたい

 淋しい時は「さびしい」と言いたい

 素直な気持ちを 正直な気持ちを 言ってはいけませんか?


 人は 笑い 泣き 怒り そして笑う

 喜怒哀楽は人が人である証明

 それらを無くしてしまったら きっとわたしはお人形


 他人に当たり散らさない 他人の嫌がることはしない

 そんな 当たり前

 他人の為に空元気を出す それは当たり前のこと?


 わたしの涙は 虚空へ消えた

 誰も知らない わたしの秘密


 まるで ピエロ 歪んだピエロ

 化粧で笑って 心は泣いて それでも笑って前に出る

 わたしはピエロ 他人の為に笑う道化者


 ふと 涙が出そうになった                                                            

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