第46詩 強く~リンver.~

 強くなりたい

 強くなりたい

 もう二度と 大切なものを失わずに済むように

 きみの手を 離さず進めるように


 あの 図書館の本の合間

 ふと気付いたさざ波のような声

 ここは静かにすべき場所 そんな言葉が口から出た

 きみは 素直に頷いて いなくなってしまったんだ

 それがあの始まりなどと 誰が予想などしただろう


 暗く 重い夜空の中で

 翼が空気を打つ音が聞こえた

 それだけのはずだったのに あの声を耳が捉えた


 幾つもの危機と 命の境界

 自分の命さえ危ういのに 何故

 きみはこちらに手を伸ばす? その意味がわからないんだ


 強くなりたい

 二度と手を離さない

 強くなりたい

 失いたくないから

 そんな幼稚な理由でも 充分だと笑ってくれよ


 強くありたい

 強くありたい

 大切な人たちと共に 日常を歩んでいたいから

 いつまでも 共にいられるように


 あの 眩しい日の光の中

 目の前に現れた きみの姿

 思わず声を失った そこにいるきみは誰かと

 きみは 目を合わせずに 恥ずかしそうに俯いた

 それが結末からの始まりだと 誰が予言しただろう


 明るく 白い光の中で

 灰色の髪が ふわりと揺れた

 それだけのはずだったのに あの声に囚われる


 幾つもの惨劇と 生きる意味の迷い

 迷路の出口を探す きみは

 俺の手を引く もう迷わないと


 強くありたい

 共に歩む未来を

 強くありたい

 この手に掴み取るために

 きみが傍にいてくれること それが幸せなんだ





 ―――――

『銀の華』の主人公・リンをベースにした詩です。

 同じ名前で晶穂バージョンも作ろうと思っています。

 自作キャラをイメージして作るのは楽しいですね(*^^*)

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