第44詩 何者でもない

 わたしには何もない

 才能ともてはやされるものもなければ 自信をもってこれだと言える特技もない

 “あなたの特技は何ですか?” その問いの答えられるあなたが羨ましい


 わたしには何もない

 嫌いなものがない代わりに 好きだと胸を張れるものもない

 好き嫌いがないのは美徳? いいえ、ただの無でしかないのです


 それでも好きなことはあって それでもやりたいことはあって

 ただそれだけでも幸せなんだと 特徴的な人が笑う


 素直に受け止められるほど わたしは大人ではないのです

 だけど信じても良いですか わたしはわたしであるのだと

 他の誰でもない わたしだけの“なにか”を持って生きているのだと


 得意になりたい好きなこと 現実にしたいやりたいこと

 どうしたら良いか 正攻法はわからない


 それでも


 邪道でも良いから 進んで行きたい

 いつか自分を好きだと言える自分になれるよう

 あなたに愛してもらえる自分になれるよう


 いつか 自分を許せるように


 わたしには何もない 何者でもない

 だから きっと何にもならない


 わたしは ただわたしでしかないのだから

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