会計詩

ジョン・デンバー

ジョン・デンバーというカントリーの歌手がいた。

今じゃあジョン・デンバーどころかカントリーの棚がレコード店に無いけど。

いや、レコード店がないのか。

とにかく昔は売れてたんだ。

「故郷に帰りたい」は大ヒットした。

「カントリーロード」ってタイトルの方が有名かもしれない。

その頃たくさんヒット曲を出したけど、数年すると売れなくなった。

「美しいけど刺激がない歌」なんて評価された。

確かにそうだ。

でもこの人のすごいところは売れなくなってからだった。

やがて彼は歌い方を変えた。

若い頃みたいに高音が出なくなったんだと思う。

目の前の人に語り掛けるような歌い方になった。

そして昔のヒット曲をもう一度録音した。

「unplugged」っていうCDだ。

それは素晴らしかった。

今になって昔のヒットソングを聞くと高い声でキイキイ歌ってるだけみたいだ。

最初からこう歌うべきだったのに、経験が足りなかったんだと思えた。

それでも再ブレイクってことにはならなかった。

最後は自家用飛行機の事故で亡くなった。

今でもたまに映画やCMで歌が使われるけど、それは人気絶頂期のバージョン。

ベスト版もキイキイ高い歌声。

もっといいバージョンがあるんだけどな。

でもキイキイのほうが馴染みがあるからみんなそっちを望むんだね。

人気がなくなっても黙々と腕を磨き続ける人ってすごいよ。

僕はそんな職人になりたい。