会計詩

世界はゴッホを放っておかない

ゴッホさん、何でもいいから描いてください。

豚でもカラスでも農夫でも木でも。

あなたが描いたものなら数億円で売れるんですよ。

なんなら落書きにサインをしただけでも、

ふざけるな？

いやそうなんですよ。

あなたの後ですが、ピカソっていう画家の時代からそんな風になったんです。

ピカソが望んだか知らないけど、彼は金にはうるさかったみたいですよ。

僕だって数億の価値の絵があるなんて信じていません。

そんなのが必要な人間はいない。

でも今や絵は投機対象でステータスで、、、はあ？

世間は生前俺を認めなかったのに？

あなたまで自分の伝記や映画の影響を受けたんですか？

死ぬ前の印象派の展覧会では好評だったでしょう。

評論家はあなたを絶賛した。

絵を描き始めて10年でそうなるなんて、遅いとは言えませんよ。

死んだ年にはブレイクの兆しが見えてたくせに。

それに対してあなたは「自分はそんな大した絵描きじゃない」なんて評論家に手紙を書いたでしょう。

どんだけひねくれてるんですか。

いいですか、あなたは精神病院で山ほど絵を描いたでしょ。それ、けっこう散逸して行方不明なんです。だから今描いてくれれば、それが見つかったことにしてですね、え？堕落って何ですか。別に詐欺をやるわけじゃないですよ。あなたが描くんだし。

もう名声はあるんですから、あとはお金です。うまいもの食って、いい女抱いて面白おかしく暮らしましょう。

いや僕は悪魔じゃないですよ。十字架を投げないで。あなたは聖職者やめたでしょ。いまさらもどる？自殺したくせに。

バン

あーまた自分を撃っちゃった。

ほんと面倒くさいなーこの人。