第一章13話 もう一人の僕っ子魔王四天王候補

次の日、正直に始まる前に気絶した事を父と母に伝えると、


「あぁ・・・やっぱり・・・」


「そうよね、ターダノならなんとなくそうなる気がしてたわ〜」


と言われた。


(いきなりあんな意識が遠くなるようなのをされたらしょうがないよね)


とは思いながらも、少し解せないとは思った。

ただ、魔王に使える四天王になるための成長をさせてくれるという父と母の気持ちはとても嬉しいとは思っていたので、否定はせず、別の提案をしてみた。


「あのさ、いきなりお父さんとデミさんとの試合を観るのはちょっと早い感じがしたから、第三魔王大隊のメンバーの訓練を観る練習から始めてみたいと思うんだけど、どうかな?」


「そうだな、ターダノはまずそこから始めるのが良いかもしれないな!

お父さん、せっかく四天王だから子供には良い環境で成長して欲しいと思ったから、なんか焦っちゃってたみたいだ。

ごめんな、ターダノ」


「いや、お父さんに謝ってもらうよりは、ぼくが謝らなきゃいけないから。

頑張れなくてごめん。」


「な、なんてターダノはなんて良い子なんだ!

お母さん、ターダノに合った成長の方法を考えてあげよう!」


「そうね、それが良いかもしれないわね。私も焦っちゃってたわ〜

ごめんなさい、ターダノ」


「お母さんも謝らなくて良いよ!」


「ターダノは優しいのね〜さすがお母さんの子だわ〜」


「おいおい、私の子でもあるんだぞ。」


「ふふふ、そうね〜、お父さんとお母さんの子ね〜」


なんとなく、気まずい雰囲気がとても柔らかい雰囲気になってきたところで、ターダノは父に言った。


「そろそろ訓練見にいきたい!」


「良いぞ!じゃあ、まずは魔王城へ行って、それから訓練場に行こう!」


「え、直接訓練場へ行かないの?」


「あー、ターダノは知らないよな。魔王城は特別な結界で守られていて、外部から直接玉座の間への転移をできないようになっているんだ。

お父さんとお母さんみたいに四天王の称号を持っているものであれば、魔王城内へ直接転移できるが、称号を持っていないものは、魔王城の手前までしかいけないんだ。

だから、私たちはまずは魔王城へ入り、そこから訓練場へ向かうのが最短なんだぞ」


「へー、そうなんだ!知らなかったなぁ〜」


「ふふふ、ターダノは産まれたまれたばかりなんだから、知らないのも当然よ〜

たくさんのことを学んで大きくなりなさいね〜」


「うん!分かった。」


「では、魔王城へ行こう。」


ダノンゾルデは右手を突き出し、周囲を黒く染めた。そして、それがひび割れたと思ったら、魔王城内へたどり着いた。

すると、いつもと違う光景があった。

目の前に、僕と同い年ぐらいに見える、両手両足を青い鱗のようなもので覆っている魔族がいた。

また、その隣に体格の良いというか、太いといっても過言ではないとても大きな魔族がいた。


「おー、グルーテン、久しいな!」


「お、ダノンゾルデにターグリフではないか!相変わらず仲睦まじい姿を見せてくれるわ!

おっと、その真ん中におる小さいのはそなたらの息子か?」


「ふふふ、そうなのよ〜私たちの息子のターダノよ〜

先日魔王に四天王候補認定されたばかりなのよ〜

ターダノ挨拶なさい。」


「初めまして、グルーテンさん、ターダノです。よろしくお願いします。」


「よろしくな、坊主!」


「ところで、その子は誰なの〜?」


「この子は昨日四天王候補認定を受けた、水龍神の子グラーツィエと言うのだ。

わしがこの子の推薦をしたんじゃよ!」


「おー、水龍神の子か!あいつらが番を作ったのは知っていたが、もう子供ができているとは知らなかったな」


「そうじゃろそうじゃろ!

わしは水龍神の夫婦と仲が良いからの!

産まれてからすぐに合わせてもらったわい。

あ、そうじゃ、グラーツィエ、現四天王のダノンゾルデと同じく現四天王のターグリフじゃ、挨拶するように!」


「えっと、えっと、ダノンゾルデ様とターグリフ様、で良かったかな?グルーテンおじちゃん。」


「それで合っとるぞ〜」


「良かった!ダノンゾルデ様、ターグリフ様、よろしくお願いします!あと、えっと・・・」


「僕はターダノだよ。よろしくね!グラーツィエくん。」


「あっ・・・」


「あら、ターダノ、その子は女の子よ〜」


「え!?ご、ごめん!グラーツィエちゃん」


「い、良いんだよ。僕、こんな見た目だし・・・」


「ふふふ、ターダノはちゃんとそう言うところから学んでいかないとよね〜」


「そーだな、ははは!」


これが、もう一人の四天王候補グラーツィエとの出会いであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る