第一章 8話 ターダノは扉に飲み込まれた

魔王への誓いをし、部屋を移動した後、ターダノは本当に色々ありすぎたこともあり、疲れて気を失った。

そして、目が覚めると、母ターグリフに頭を撫でられながら、膝枕をして貰っていた。また、父ダノンゾルデもターダノの寝顔を見ながら微笑んでいた。


「あれ?ここ、どこかな?」


「ここは家よ、ターダノ。

眠っちゃったから魔王城から抱っこして連れて帰ったのよ〜」


(あ、やっぱりあれは夢じゃなかったんだ・・・)


そんな思いを抱きながら、ターダノは父ダノンゾルデに聞いた。


「僕、明日からどうしたら良いの?なんか、なんとか大隊の一員になったとか言ってた気がするんだけど」


「第三魔王大隊だな。

第三魔王大隊はお父さんが指導している大隊の一つで、将来の魔王四天王候補が一人ずつ配属される4つある大隊のうちの一つなんだよ。

ちなみに、第三魔王大隊はお父さんが一番手をかけた癖のあるけど素直な良い魔族たちが所属している大隊だから安心して良いぞ。

あと、明日からターダノはお父さんと一緒に魔王城に行ってその大隊の訓練に参加することになってるぞ」


「えっと、僕、まだ産まれてから2ヶ月なんだけど・・・」


「ははっ!安心しろターダノ!お父さんが優しく指導するから大丈夫だ!」


「いや、全然安心できないんだけど・・・でも、やるって魔王様に言っちゃったし、やるよ」


「まぁっ!なんて男らしいの〜かわいいわ〜」


「お母さん!男らしいとか褒めてるのにかわいいとか言わないで!恥ずかしくなっちゃうじゃん!」


「あらあら〜」


「まぁまぁ、ターダノ。お母さんを許してあげなさい。お母さんも嬉しいんだよ。

ターダノがしっかり者になってくれて。」


「それはそうだけど・・・まぁ、うん。お母さんを許してあげる。」


「ははっ!ありがとうな!ターダノ。

あ、そうだ、魔王四天王候補になったターダノにお父さんとお母さんからプレゼントがあるんだ!」


「え、プレゼント?何を貰えるの?」


「ふふ〜お母さんはお父さんと話し合ったんだけど、やっぱり今後もずっと使っていけるようなものがいいって思うの。

ただね、使い方を失敗すると危険なものが多いから、とりあえず明日からの訓練に必要なものがいいのかな〜って話になったのよ。」


「そうそう、だからな、ターダノには神器をあげようと思ったんだよ。

お父さんもお母さんも神器は持ってるしな!」


「そうなんだ!でも、神器ってどんなものなの?」


「それは、見て選んだ方が早いと思うから、見に行こう!」


父ダノンゾルデは文様が描かれている壁に手を押し当てると、何やら不思議な言語を発したと思った瞬間、壁が真っ白に光り、その先に真っ白な長い通路が現れた。

その長い通路の先には、明らかに神聖なものがあるのが確定しているかのうような扉があり、その扉まで歩くと、父ダノンゾルデはターダノに扉に手を触れるよう言った。

そして、その扉にターダノは恐る恐る触れると、その扉は管理者が現れたというように開き、ターダノを扉の中に飲み込んだ。


「え!ちょ!まっ!」


そして、その扉の中からは外に出るための扉が消えた。


「あっ!」


僕は何となく悲しい気持ちになった。


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