友達 ~美しい彼女はできますか?~

 少々取り乱してしまったようだ。

 まだ男子は半数ほどしか教室にいないようだ。全員がイケメンであるなんて絶望する必要はないだろう。

 おっと、残りの男子も教室に入ってくるようだ。

 さあ、俺の仲間はいるのだろうか。

 一人目……イケメン。二人目……イケメン。三人目……イケメン。四人目……(以下省略)



 もうお分かりいただけただろう。

 俺は夢を見ているのだろうか。

 ハーレムもののラブコメを読みすぎたせいでイケメンのハーレムができてしまったのか。

 もしそうだとしたらラブコメの神様よ。とんだ勘違いである。

 確かにラブコメのような恋愛をしたいとは言ったが、こんなハーレムは求めていないのだが。

 もしかしたら俺はBLの神様にお願いをしてしまったのだろうか。

 俺の彼女をつくるという目標が百里くらい遠のいた気がする。

 絶望感しかない。格付けチェックで入った部屋にだれもいなかったくらいの絶望感だ(まあ想像でしかないが)。

 


 だが、落ち込んでなんかいられない!

 まずは友達作りから始める必要がある。

 友達はやっぱり近くの席の人からだろう。

 だが、生憎俺は一番前の席だ。

 これは自分から話しかける必要がありそうだ。

 後ろの席は……いかにも陽キャラって感じのイケメン野郎だ。

 


 「や、やあ。俺、大河内拓三っていうんだけど……」


 「俺は武居泰晴(たいせい)。えっと、大河内クン?よろしくね~」



 俺のイケメン図鑑の記念すべき一人目は武居泰晴か。


  〇武居泰晴(タケイタイセイ)

   ・顔面……上の中

   ・性格……チャラい


 まあ特に書くこともなかったが、「君」が「クン」になる時点でチャラいのは確かだろう。

 友達作りも上手そうだし、あまり仲良くなるメリットもなさそうだ。

 話せそうな男子が見つかったところで、次は女子だ。

 やっぱり彼女にするなら同じクラスの女子の方がいいだろう。というか、他クラスの女子との接点がなさそうだ。

 ああ。俺にもかわいい義理の妹でもいたらな……

 流石にラブコメの読みすぎか。十五年生きてきて義理の兄弟がいるヤツなんて見たことも聞いたこともない(まあシスコンの人はいたが……)。

 女子チェックの前に、一つの仮説を思いついた。聞いてくれ。

 このクラスはありがたいことに、男子と女子の人数が同じである。

 男子はみんなイケメンだった。ということは、女子も全員美女である可能性もあるだろう。

 このクラスのイケメン野郎と美女たちが全員結ばれたとする。そうすると、美女が一人余る。イケメンでない俺も余っている。

 つまり!俺と美女が結ばる確率もゼロではないということだ。

 なんかテンションが上がってきたな。

 早速女子を見ていこう!



 一人目……美女。二人目……美女。三人目……美女。

 ヤバい。興奮してきた。

 もっとスピードを上げて見ていこう。

 


 美、美、美、美、美、美、美、美、美、美、美、美、美、美、微、美、美、美、美。



 俺の予想通り、全員美女じゃないかぁぁ!!!

 なんかメッチャテンション上がるんですけどーー!

 まさか、本当に全員美女だとは!

 まさか、本当に全員美女だとは……

 まさか、本当に全員「美」……

 ん??気のせいだろうか。違う「ビ」がいる気がするのだが……

 漢字の変換ミスだろうか。いや、きっとそうだ。もう一度見てみよう。

 まさか「微」なわけ……



 「一人だけ微妙なやつがいるじゃぁねえぇぇかあああぁぁぁ!!!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

イケメンじゃなくても恋愛はできますか? @sitaro1705

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ