懐いてる?

 最近出来た高校の友達。

 クラスでひとりぼっちの子が居たら声を掛けてみるという教えを未だに律儀に守っている私は高校でもついつい声を掛けてしまったのだ。


 最初はちょっぴりしか話さなかったのに仲が良くなるにつれて毎回の休み時間は私の元に来るようになった。

 気になるのは友達の言葉だ。

 ”佐藤さんって仲が良いっていうより懐いてるってカンジだよね”

 そんな犬みたいな表現は佐藤さんだって怒ると思うから伝えていないけど。


 今日も部活で遅くなる私を佐藤さんはずっと待っていた。日が落ちてきて汗が冷えて寒い。隣を見ると薄手のニットの佐藤さんが気になる。

「佐藤さん、寒くない?」

「大丈夫、わたし体温高いから」

 手を握って体温を確かめようとすると驚いたのか大きく飛び上がった。ぶかぶかのニットから細い腕が露出する。

「あ、ごめん急に触って」

「私こそ、貧相な腕見せてごめんね」

 急いで袖を直そうとする佐藤さん。

「女の子らしくて私は好きだけどな〜」

 佐藤さんの顔が真っ赤に染まる。

 もしかしてまたおかしなコトを言ってしまったのか?

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百合短編集 ふたりの少女 おじん @ozin

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