93th Chart:頑固者共の賛歌



 目の前を横切るように北へと舵を切った敵艦隊の艦上に、次々と紅蓮の縁取りが為された黒褐色の砲煙が盛り上がる。音はまだ遥か彼方だというのに、その光景を見る乗員たちはズシリと大気が震えた様な感覚に陥った。


「敵艦発砲!距離22000ヤード約20㎞!」

「提督、応射しますか?」


 皮肉気な笑みを浮かべた艦長に、ビーティーは首を横に振る。

 先ほどは射程外であることを承知で砲撃可能な全門を解き放ったが、それは自分たちの存在を敵に焼き付けるためだ。現状、ドレッドノート級とインフレキシブル級のみに搭載された五十五口径12インチ30.5㎝連装砲――対外的には五〇口径砲として公表――は最大22000ヤード先まで主砲弾を届けることが可能だが、集弾率は劣悪の一言に尽きた。

 他に類を見ない長大な砲身は目の覚めるような砲口初速を叩き出したが、僅かに強度が不足しており装薬を増せば増すほど砲身がブレてしまう欠陥を持っていたのだ。また、砲身の強度不足はそのまま砲身命数の減少にも直結していた。


「――――砲戦距離14000ヤード約13㎞。左砲戦用意」

「砲戦距離14000!左砲戦用意!」


 一瞬考えこんだビーティが決断を下す。想定決戦距離を12000ヤード約11㎞に設定したインフレキシブル級には少々遠い距離だが、そもそもこの艦は重装甲が施された戦艦を相手に真正面から殴り合う事を想定していない。

 バトルクルーザー、戦闘巡洋艦とその名が示すように、インフレキシブル級巡洋戦艦はあくまでも強力な火砲を備えた大型の巡洋艦だ。その装甲防御は格下の艦砲への防御を前提としたものにすぎない。

 また、腰を据えての砲撃戦ともなれば艦の動揺を抑えるために速力も減じなければならず、巡洋戦艦最大の利点である速力を殺すことに等しい。端的に言えば自殺行為だった。

 不意に前方の空に轟音が響き渡ったかと思うと、遥か彼方で白い水柱が吹き上がる。次々と吹き上がる水柱は10を優に超えていくが、全弾が突撃を続ける第1巡洋戦艦戦隊の遥か手前に、酷く散らばって落ちている。敵にとっても最大射程ギリギリの砲撃だ、まず辺りはしない。


「敵の速力は?」

「約18kt!針路0-0-0!」

「結構。――――艦長、喜ばしいことに奴らは我々と踊りたいらしい」

「どうせ躍るのであれば見目麗しいご婦人の方が良いですが、無碍にするのも紳士の名折れですな。――せいぜい引きずり回して差し上げましょう」


 かつて、リバプール級偵察巡洋艦『ブリストル』で辣腕を振るっていた艦長が凄みの有る笑みを見せる。

 軽快艦艇の長を歴任してきたこの男にとって、機動力を重視したインフレキシブル級は良く手になじんだ。

 以前、戦艦『サー・ルーカン』の二代目艦長として短期間だけ指揮を取ったことがあったが、あまりの鈍重さに愕然としたことがある。それが有って、空前の巨艦である『インヴィンシブル』艦長への就任も最初は渋ってしまったが、一度舵を握ってから彼はこの艦の虜となっていた。

 航空騎相手には肝を冷やしたが、相手が艦ならば問題はない。この艦よりもずっとちっぽけな艦で、戦艦を相手取ってきた経験が艦長の自信を支えていた。


「全艦、右逐次回頭。新針路3-5-0」

「面舵一杯!新針路3-5-0!」


 後部マストに色鮮やかな旗流信号がするすると昇り、後続艦へと指示を伝えていく。前時代的な方法ではあるが、その分実績もあり確実な通信方法だった。

 指揮官先頭を実践し、全速27.5ktで航行する『インヴィンシブル』は数十秒をそのまま直進し続けた後、思い出したように艦首を右へと振り始める。基準排水量19900トンの巨体が立ちふさがる波頭を我が物顔で押しつぶし、はじけ飛んだ白い飛沫が陽光を反射させながら艦首甲板へと降り注いでいく。

 丈高い三脚楼を左へ傾けながら右回頭する『インヴィンシブル』に、『インフレキシブル』、『インドミタブル』、『インディファディガブル』が続いていく。4隻の巡洋戦艦は教本に乗せたくなるような見事な逐次回頭を見せ、4基搭載した長砲身12インチ砲を旋回させて黒光りする砲身を次々と振り上げる。

 対する7隻のケーニヒ級は依然として砲撃を続ける。1隻あたり連装5基10門備えた主砲を掲げ、黒褐色の入道雲を生み出し続けては居たものの、相変わらず精度はよろしくない。

 ビーティー率いる遊撃隊が白い航跡を引きずり旋回を完了させる前に、遂に一発の至近弾すら与えることはできなかった。


「針路3-5-0!宜候!」

「敵1番艦との距離、16000ヤード約14.6㎞!」

「本艦及び『インフレキシブル』目標、敵1番艦。『インドミタブル』及び『インディファディガブル』目標、敵2番艦」

「目標、敵1番艦。左砲戦、主砲交互打ち方用意」


 ビーティーが矢継ぎ早に発した指示が艦隊に伝わり、それを受けた艦長の命令によってマストトップに据えられた射撃指揮所が俄かに慌ただしくなる。ドレッドノート級と同じく、インフレキシブル級の主砲は主砲射撃指揮所による統一射撃を前提としている。艦長から指揮を委任された砲術長は巨大な双眼鏡に噛り付きつつ、測距儀を始めとする各種観測機器から得られた数十のパラメーターを元に射撃諸元をはじき出す。彼の指示は遅れることなく艦の4か所に配置された主砲へと伝達され、鈍色の大樹の様な砲身が微かに俯仰した。

 彼我の隊列は徐々に同航戦へと移りつつある。

 ビーティーは敵の先頭を進む2隻に砲火を集中する事を決定した。残りの5隻にフリーハンドを与えることになるが、そもそも1隻当たりの門数で劣っている。4隻の砲火を先頭の2隻に集中し可及的速やかに撃破。頭を潰した後は速力に物を言わせてT字戦に持ち込む算段だった。


「距離15000ヤード!」


 緊張を孕み始めた見張り員の報告に、それぞれがそれぞれの方法で意識を切り替えていく。

 総舵手は身の丈ほどもある舵輪の取ってを親指で軽く撫で、航海長は一瞬だけ羅針儀上の祖国の方角へと視線を落とす。主砲塔内では砲台長が打ち出される時を待っている12インチ砲弾を軽くたたき、機関長は蒸気圧計の表面を拭う。艦橋のジェラルド・キース参謀長は簡単に胸の前で十字を切り、艦体の主――リチャード・ビーティーは周囲に纏わりついた邪気を払うかのように軽く息を吐いた。


「距離14000ヤード!」

撃ち方始めShoot


 見張り員の叩き付けるような絶叫とは対照的に、聖職者の祝詞の様な命令が全艦を駆け巡る。

 刹那、『インヴィンシブル』の4門の砲身から閃光が迸ったかと思うと19900トンの巨体に衝撃が走り抜け微かに右に傾いだ。ほぼ同時に左舷側で黒褐色の大輪の華が膨れ上がり、視界を暫し覆いつくす。艦橋の防弾ガラスの上を不気味に蠢く発砲煙が後方へと滑っていった。


「『インフレキシブル』、打ち方始めました」

「『インドミタブル』、打ち方始めました」

「『インディファディガブル』、打ち方始めました」


 旗艦の号砲に続けとばかりに、後続する3隻も相次いで筒先から黒煙を吐き出す。全ての艦が教本通りの交互射撃を実施し、386㎏の対艦徹甲弾16発が大気を引き裂き放物線を描いて飛翔する。

 負けじと放たれた70発の12インチ砲弾と空中ですれ違い、ほぼ同時に水柱が海面の2か所に屹立した。

『インヴィンシブル』の左舷側に10本の水柱が立て続けに膨れ上がり、特に艦首側の2本は50mも離れていない。丈高いマストを優に超える巨木が太陽を遮り、仰角を目いっぱいかけた主砲が鎮座する前部甲板に影を落とす。

 艦の前進により左舷側を後方へと流れていく海の大樹の隙間から、暗い色の海神の向こう側に水柱が4本吹き上がったのが微かに見えた。『インヴィンシブル』の第1射は全てが遠弾となり、敵を飛び越してしまったようだ。

 砲術士官として最高の結果ともいえる初弾命中を逃してしまったが、歯噛みしている暇などない。つきあがった水柱の位置から射撃諸元を修正し、間髪入れずに各砲塔の2番砲が砲声を上げる。その間に、第1射を放った各砲塔の1番砲は仰角を下げ、次弾装填に取り掛かっている。

 第2射が着弾すると、今度は海神を押し隠すように手前に4本の柱が現れる。今度は全てが近弾となり手前に落ちたようだ。


「やはり、一筋縄ではいかんな」


 ビーティーの苦笑交じりのボヤキを押しつぶすように第3射の閃光が艦橋を漂白し、水平線上にも発砲の閃光と黒煙が盛り上がる。互いに連装砲であること、敵は既に斉射に移っていることを考えれば、速射性能は似通っていると言えるだろう。

 第4射、第5射と続くが、砲弾はばらけて敵の周囲に落ちるだけで至近弾すら出すことはできなかった。

 代わりに敵の砲撃は徐々に精度を増しており、第4斉射において遂に『インヴィンシブル』の両舷に勝ち誇ったかのような水柱が高々と天を突いた。

 ビーティーは乗員に激を飛ばすべきか一瞬迷うが、艦隊指揮官が個艦の戦闘に口を出すわけにはいかないと思いなおす。そして何より


 ――戦場で手を抜く船乗りなど、王立海軍には一人もおらん


 古強者の確信と共に、『インヴィンシブル』が各砲塔から8射目を打ち放つ。長大な砲身から音速の2倍に迫る速度で放り出された4発の砲弾は、なだらかな放物線を描きつつ14000ヤードの距離を飛び越え、我が物顔で海を進む1番艦へと降り注いだ。

 3本の水柱が屹立する寸前、敵1番艦の艦上に黒っぽい塵と共に閃光が走ったのを、見張り員と砲術長は見逃さなかった。


「命中!命中です!」

「こちら砲術長、次より斉射」


 艦橋に歓声が沸き起こり、居心地の悪さを感じていた砲術参謀と艦長が大きく息を吐いた。双眼鏡を左舷側へと向ければ、周りを取り囲んだ白い檻を突き崩しながら敵1番艦が姿を現した瞬間を目にすることができた。

 敵は艦の中央部から黒々とした煙を棚引かせている。尤も装甲の分厚い箇所ではあるが、其れゆえに重要構造物も多い。中枢炉にダメージを与えられていれば、速力を低下させ脱落させることができるが、それは望みすぎだろう。

 ようやく叩き出した命中弾がどれほどの効果を与えたのかを確認する前に、敵1番艦が再び水柱の檻にとらわれる。

 後続する『インフレキシブル』の第9射だ。命中弾は無かったが、着弾地点は手前に1、奥に3で挟夾している。次からは自分たちと同じく斉射に移るだろう。

 全ての砲身に主砲弾を装填するため、しばらく沈黙していた『インヴィンシブル』の4基の主砲が遂に動きを見せる。事前に得られた砲撃諸元を元に、8本の砲身が俯仰し彼方の神に向けられた。

 主砲発射を告げるブザーが鳴り終わった瞬間、『インヴィンシブル』をこれまでに倍する衝撃が襲う。艦上の誰もが腹の底に響く物理的な轟音を実感し、19900トンの艦体がよろめく様に揺れ動いた。『ドレッドノート』よりも全長が長いため高速を発揮しやすいが、その分横揺れに対する耐性は落ちている。全速航行中の主砲斉射は、その特徴を容赦なく理解させた。


「『インフレキシブル』、斉射に移ります!」

「敵2番艦挟夾!『インドミタブル』のようです!」


 双眼鏡を向ければ、海底へ引きずり込もうとする巨神の白い指を振り払うかのように、敵2番艦が姿を現す。特に損傷は見られないが、『インドミタブル』の牙が喉元に迫っている事実には変わりはない。

「まもなく弾着」の声に敵1番艦に双眼鏡を戻す。直後、ケーニヒ級の巨体を覆いつくすように水柱が次々と立ち上り、その間から閃光と共に黒っぽい破片が上空へと吹き上がった。行く手を阻む海水の柱の間をすり抜けようとした直後、『インフレキシブル』の斉射弾が降り注ぎ、その姿を隠した。

 乗員が固唾をのんで見守る中、2艦合計16発の12インチ砲弾の豪雨を乗り切った海神が現れる。


「敵艦炎上!中央部から後部にかけて火災煙を確認!」


 今度こそ、艦橋で歓声が爆発した。

 無数の砲弾が降り注ぐ中、精神を削るように修正射を続けた後の斉射。はからずも僚艦との同時攻撃となった砲撃は、見事に敵を捕らえることに成功した。ドレッドノート級から採用された長砲身12インチ連装砲は、新型海神の装甲に対抗できることを最高の形で示したのだった。

 歓声が終息する前に再び発射ブザーが鳴り響き、第2斉射を解き放つ。同時に、敵1番艦も報復の砲火を放つが、その閃光と黒煙は先ほどの者よりも心持ち小さいように見えた。

 無論、敵も大人しくやられているわけではない。空を圧する轟音が接近した瞬間、ビーティーは無意識のうちに奥歯を食いしばった。命中弾を出すことはできたが、やはりと言うべきか簡単に勝てる戦ではないと内心で自嘲する。

 主砲発射とは異なる衝撃が艦体を貫き、艦の後半部分で鋼鉄が粉砕される音が2度響く。『インヴィンシブル』が己の身を引き裂く砲弾の直撃に苦悶の声を上げ、装甲板が戦慄き甲板が震える。


「後部甲板および第3砲塔付近に命中弾!」

「右舷第7区画で火災発生!」


『インヴィンシブル』を襲ったのは2発。1発は4番砲塔よりも艦尾側甲板に命中し、甲板直下の兵員室で炸裂した。艦としての性格上、気休め以下の防御性能しかない後部区画は唯の1撃で大きく粉砕され、板材やねじ曲がった鋼材の堆積するクレーターが形作られる。

 もう1発は、中心線よりも左舷側に寄せて据えられた第3砲塔の直上に据えられた速射砲をなぎ倒しつつ掠め、右舷側の端艇置き場を直撃した。木製の端艇はデリッククレーンごと瞬時に爆砕され、めくれ上がった装甲板の火口から黒煙が噴出し後ろへと棚引き始める。


「大丈夫か、艦長」

「伊達に戦闘巡洋艦バトルクルーザーとは名乗っておりませんよ、提督」


 ビーティーの言葉に、わき腹をさする艦長がお道化た笑みを浮かべる。とはいえ安心はできない。敵の主砲は13インチクラスの巨砲であることがこれまでの戦いで分かっている。ただでさえ防御力の低いインフレキシブル級がそう何度も受けていいパンチではない。


「見張りより艦橋。ただ今の斉射、命中弾1ないし2を確認」


 そして『インヴィンシブル』の第2斉射も、敵に同等以上の損害を与えていた。

 1番艦の後部に網をかける様に降り注いだ『インヴィンシブル』の砲弾は5発は海面を爆砕させるにとどまり、1発は中央の主要装甲帯に弾き返されてしまうが、2発が有効弾となった。

 1発は後部にそびえるマスト状構造体の基部を爆砕し、隣接する後部煙突もろともに黒煙の只中へ突き落す。

 続く1発は前後の艦橋に挟まれた3番砲塔に真面に食らいついた。45口径13.5インチ連装砲塔が衝撃に身震いし、重厚な砲身が鉈を振るわれた竹の如く根元から断ち切られ、第1斉射の命中弾を辛くもはじき返した装甲が割けてまくれ上がる。業火のサイクロンが通り過ぎた後、1番艦の中央部では黒焦げの生体金属の瓦礫が山となって火炎に燻され始めていた。

 1番艦の受難は終わらない。残った前後の4基の砲塔で第6斉射を打ち放とうとした瞬間、『インフレキシブル』の第2斉射が突きつけられた。艦上の2か所で相次いで火花と爆炎が踊り、吹き飛ばされた鋼材の破片が紙吹雪の様に空を汚す。この被弾により番砲塔が沈黙し、3番砲塔から後部艦橋にかけての領域が完全な廃墟と化して黒煙に包まれる。

 それでも、海神は残った3基の砲塔を振りかざし第6斉射を敢行した。背甲上は後ろ半分が見るも無残なありさまとなっているが、洋上を航行する艦としての性能は全く持って支障をきたしていない。直接的な速度低下を引き起こす喫水線付近への命中弾は、舷側の装甲帯に行く手を阻まれてしまう。

 王立海軍の秘密兵器である長砲身12インチ砲は確かに有用であるが、後にタートルバック式と一部から呼称されるようになる傾斜式装甲板を、真正面から相手にするのは分が悪かった。

 右舷側に吹き上がった衝撃波が黒煙を一瞬払い、『インヴィンシブル』の艦橋にその姿をさらす。発砲の閃光は減じられているが、行き脚が止まりそうな気配はまだない。


「ダメージは与えているようですが、存外にしぶといですな」

「流石は新型だな。だが、そろそろ終わりだろう」


 事実、1番艦のみを対象とするならば戦力差はますます開いている。全16門の主砲火力全てを保全している『インヴィンシブル』と『インフレキシブル』に対し、敵艦は既に火力の4割を失った。艦上はほぼ全面に黒煙が纏わりつき、海に浮かぶ地獄の様相を呈している。

 空を押し包む異音が響き、『インヴィンシブル』の周囲に弾着の水柱が林立する。両舷を挟むように至近弾が艦体を揺るがし、海中で炸裂した砲弾が艦底越しに機関部へ衝撃を与え浸水を発生させる。つきあがった白柱を艦首が突き崩し、粉砕された海水が甲板へと降り注ぎ戦場の汚れを洗い流していく。


『副長より艦長。至近弾は有れど、命中弾無し。機関部にて小規模な浸水有れど、全速発揮に支障なし』


 後部艦橋の報告に、艦長が鷹揚に頷いた瞬間。腹の底に響く爆音が海面を渡って艦橋を包み込んだ。防弾ガラスが激しく振動し、空間そのものが力任せに揺さぶられるような轟音。戦艦乗りとして最も聞きたい――もしくは最も聞きたくない――戦場音楽の一つ。


 弾薬庫誘爆による轟沈の音色だ。


 砲術参謀が祈る様な面持ちで双眼鏡を構えるが、丸い世界の中には相変わらず黒煙を噴き上げつつも引き下がる気配が見えない敵1番艦の姿。2番艦にもレンズを向けるが、こちらも数条の黒煙を棚引かせるだけで健在だ。3番艦以下はそもそも攻撃を行っていないため、考えるに値しない。

 最悪の現実が消去法で浮き彫りになり思わず呻き声を上げた瞬間、悲鳴のような報告が艦橋を揺るがした。



『後部見張りより艦橋!『インディファティガブル』にて大爆発!急速に沈降します!――『インディファティガブル』轟沈しました!轟沈です!』



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