第零話臨界


「ねぇ、何か面白い話をしてよ」


彼女友達が、そういって笑ってる

二人とも、檻に入れられーー手錠と足枷あしかせをつけられたままで

楽しく談笑している

「そうだね、まぁ、何がいいかな、っていうかそっちからは何か面白い話とかないの?」

「いや、あるわけないじゃん、私みたいな平凡な女が、それよりさーここから出たら何したい」

「それはーーー」

ーー二人とも、横溝先生の獄門島よこみぞ先生のごくもんとうが好きだった

二人とも「八つ墓村やつはかむら」が好きだった

話が合う時は会って、会わないときもあって

「ねぇ、いつかこの地獄から抜け出したいね」

「臨界に行きたいよ


――臨海またのなを、「隠れ里」、、、この世とは時間が違う世界

何もかも違う可能性があるかもしれない世界

「なんで、、、そう思うの」

「--なんとなく、私ここから出られない気がしてるんだ、、、後は頼むね

、、、、お母さんには迷惑をかけた、、、友達はこのことを知らない、、戦友で

ずっと一緒にいたよしみだ、、、あのこたちの面倒を、、、同か、、、見てやってくれ、、、頼む、、、助けてやってくれ、、、あんたなら、出来る、、、あんたしかできないんだ」

頭が水になっていくーー肌が溶けていく、その中爆弾おもちゃを手渡した


「はっ」跳ね起きるーー心臓が高鳴る

「なんだ、夢かーーーはっ」

夢の中で、最後に握った手が、、、爆弾おもちゃを握っている

ーー現状を認識する

またあの夢かーー三年前、2017年7月17日から繰り返し見る悪夢


隣からスース―と寝息が聞こえる、起こさないようにそっとたつと、

顔を洗い、朝ご飯の用意をする

ーー電気調理器に、電気を入れ

昨日作っておいた、お味噌汁を温める、その間に4人分のお茶碗を出す


(臨界、か、、、、、)

確かに、小説の売り上げだけで生活できているこの家にとって

他に仕事をする必要はない

だが、それでもだが

(臨界に行きたいよ)

「うん、いこうね臨界」


いよいよ、心配だーー子供たち3人が、臨海に行くという

まだ、長男は小さいから無理だが

二人は、特待生のやつをとれば、いけるだろう

ご飯を握りーー仏壇にそなえる

「どうか、どうか、子供たちを守ってやってください

お願いします――お願いします」

彼女から頼まれたことあの子たちをよろしくね


特待生になっても、危険な仕事場へはいけないであろうから

会うこともないし、ただ、それも比較的安全というだけであって

それでも、心配はつきまとう


だから、願わずにはいられない、「私は、死を通り越しても解けない

呪いを止めに行くから「」


ーー生き残る、か滅ぶかのゲームをクリアーしてやるそう思った

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和風異世界交通ー梅渋奇譚●旧●新問わず 暇の三 @13222uygu

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