和風異世界交通ー梅渋奇譚●旧●新問わず

暇の三

前座ーそれぞれのプロローグ

第1話前座ーー「天罰」


ーー古来「昔の人は」それをが当たる、と呼んだ


「いやぁ、おじさんーーおじさん」

父の職場の人間の手が、水になっていく、どろりと溶け落ちていく

「あ、ああ、、、、、、」

ーー罰が当たったんだ、罰が当たったんだ

タイル張りの天井、白衣を着た集団

様々な紙が、束になりーーもう茶けているのもいる

その横で、それらと格闘する集団が実にうるさい

周囲がやかましい

「うるさい、静かにしろーーおい、源助げんすけげんすけ大丈夫か」

「--慎二しんじか、おい、お前を信じてこうなったぞどうしてくれる」

その男は、慎二のぎらつく瞳をにらみ返す

「ふっ」



ーー冷堂慎二れいどうしんじは、不敵に笑う、、、いや、冷酷に笑う

「--悪いな、死んでくれ」


慎二はあるいは、ブラックホールのような男ともいえる

背中とおなかに、「1」と書かれた、服を着るそいつは、嗤う

ーー鋼鉄の肉体を着たそいつは笑う

見た目は、ちびた中年男性のように見えるだろう、あるいは眼鏡をかけた禿げ頭の

おじさんかもしれない

「でも、いい夢を見れただろ、、、それにそうなったのは。お前のせいじゃないか

ーーお前がやるなってことをするからそうなる、自業自得だな、哀れだな

間抜け」


「お前、、、呪っ手、、、やる、、、必ず、、、お前を、、お前だけを

、、、かなら、ず、、、、」(ばた)

手からゆっくりと水になり、恨み言を言うと水に還った

「くくく、ばかな男だーーあれだけ「しちゃいけない」といってたのにな」


傍観者をゆっくりと見渡す

「おい、何をぼうっとしてるんだ、仕事に戻れ」

「ひ、人殺しだ」「はぁ?」

「人殺しーー」


忘れもしない、2017年の7月17日ーーこの日、父の友人であり「仕事仲間であった入井源助いるいげんすけは死亡したのだ

「くだらない」

父はそういっていたけれども、周りの人間が父への嫌悪を募らせていたことを

私はまだ知らない



ーーその日、父は大天才の看板を下ろされた

     それから「教官」となった、

ーー俗に、鬼「教官」といわれる、血も涙もないと呼ばれる「怪物」に


舞台は、3年後ーー九州のとある街からスタートする

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