第3話 別離

 2016年5月11日には英紙『ガーディアン』が、東京五輪決定前後にあたる2013年7月と10月の2回に分け、招致委員会がシンガポールに拠点を置くスコーピオン社の口座に総額130万ユーロ(約1億6000万円)を送金していたと報道した。 2016年5月12日には仏検察当局が東京五輪招致委員会とスコーピオン社との間に280万シンガポールドル(約2億2000万円)の金銭授受があったことを確認したと発表した。


 2018年12月、フランス捜査当局は東京五輪招致をめぐる贈収賄容疑でJOC会長の宇城博己を容疑者とする捜査の開始を決定した。2019年3月、これを受けて「会長辞任は避けられない見通し」と報じられている。3月19日宇城がJOCの理事会にて、会長職を6月をもって退任することを表明した。


 8月29日未明、陽菜は不気味な夢を見た。

 ウジョウ・ヒロキが覆面をかぶった男に背後からナイフで刺されて死ぬのだ。

 宇城は娘をある組織に拉致され、菓子に毒を入れることを命令されていた。JOCの会長だった宇城が派遣に落ちぶれたのはそれが原因だ。


 俺が陽菜と会ったのは7月31日の隅田川花火大会だ。俺は栗橋の食品工場に派遣されている。宇城を監視することが目的だ。北千住で降り、PRONTOってバーでビア+おつまみ600円セットを頼んだ。橋の上から花火を見た。🎆🎆、スカイツリーとのグラデーションがキレイだった。陽菜は浴衣姿だった。

「父は悪意に塗れて苦しんでる、解放してあげて」

 陽菜から頼まれた。

 

 8月30日

 俺は横浜にやって来た。石川町駅で降りて、暗黒街で彷徨く宇城を見つけたのでサイレンサーを装着したオートマチック拳銃で脇腹を撃って始末した。それにしても刑務所ってのは息苦しいところだった。

 俺は何食わぬ顔で中華街に行き、880円のセットを食べた。麻婆、唐揚げ、ワンタン、杏仁豆腐……メニューが豊富だ。水族館の前で陽菜と待ち合わせてる。

「あっ、萩尾さん」

 彼女をモノにするには宇城が邪魔だ。彼を殺したのはそれが理由だ。クマノミにギンポ、オジサン……どれもユニークだった。オオグソクムシって死肉に群がるカブトムシの幼虫を巨大化したのを見たとき、俺は自分と重ね合わせた。水族館を出るとスコールが降ってきた。俺たちはラブホに入り肌を重ねた。ホテルから出ると虹が出ていた。鎌倉に向かい、由比ヶ浜を眺めた。トビが悠々と舞っていた。

「ちょっとお金下ろしてくるね」陽菜はコンビニに入った。

 風が涼しい、もう秋だ。

 スマホでテトリスをやった。それにしても遅いな?コンビニに入ると陽菜の姿はなかった。彼女は何者だったんだ?


 


 

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インソムニアキル〜真夏編〜 4000以下 鷹山トシキ @1982

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