第2話 恐眠症
来月までには次の仕事を決めないと。コーディネーターと相談して、有給を使って職探しをすることにした。ハローワークに通う日々、しかしうまくはいかない。食品会社を2社面接したがどちらもダメだった。
最近、悪夢を見る。ゾンビに喰い殺される夢だ。寝ようと不安が押し寄せて呼吸が乱れる。
メンタルクリニックに受診したら、恐眠症であることが分かった。眠ることに対する不合理で過剰な恐怖を抱く現象である。寝台恐怖症や睡眠恐怖症と呼ばれることもある。これは、眠ることでコントロールのできない状態になったり、悪夢を繰り返し見ることへの不安や、「寝る時間を作業に充てられたのではないか」「もっと遊べたのではないだろうか」という時間の損失に対する不安によるものであると考えられる。
恐眠症の原因となりうるものとして、睡眠に対して恐怖を抱いている人を見ることや、引き金となる出来事をテレビで見たり直接的に目撃することが挙げられる。
呼吸促迫のほかにも、息切れや口の渇きなどの症状がある。
20日の夜、コーディネーターの阿部一喜が夢の中に現れた。夢の中ではアベ・カズキと名乗っている。海岸近くに聳え立つ城に入ったカズキはゾンビに喰い殺されてしまう。
21日夕方、阿部が、帰宅途中に行方不明となる。翌朝、自宅から200mほど離れた市道で阿部の自転車、カバン、眼鏡などが散乱しているのが見つかる。何らかの事件に巻き込まれたと思われ、警察が捜査に動く。
24日、栗橋署の木村智充刑事は阿部を拉致監禁したとして、暴力団員の実行犯、高梨達男・東村涼・松坂行雄・萩尾政宏の4人を逮捕する。
また、犯行を依頼したとして食品会社社長、高梨可菜の逮捕状を取ったが、五霞にある自宅で首吊り自殺しているのが見つかった。25日、高梨可菜と深く関わっていたと思われる咲谷安則がN市の市役所の非常階段から自殺した。安則は陽菜の父だ。
実行犯4人は被害者を拉致した翌日、奥多摩の山中で殺害したと自供するものの、特捜隊の捜索でも遺体は発見できなかった。
本来は8月25日〜 東京にて第16回夏季パラリンピック(東京パラリンピック)開催を予定していたがこれも延期になった。
僕は陽菜の姉の咲谷直子と湘南に遊びに出かけた。彼女は大宮に住んでいる。駅ナカのパン屋で朝食、トーストセットを食べた。トイレに行こうとしたが超満員だった。列車に乗り横浜で降りた。駅のトイレには『ぎんが』や『ふじ』など個室に名前がついてる。桜木町駅で降り、直子と手を繋いでブラブラした。日本丸やコスモタワーを眺めた。列車に乗り、大船を経由して鎌倉に。スゴい人ゴミだ。滑川の海水浴場まで歩いたが肌寒く、足だけ入った。小魚が泳いでる。バンガロー風のショットバーがオシャレだ。大船に戻って、小田原へ。万葉の湯って高めの健康ランドに入った。屋上露天風呂からソーダー色の空が見えた。風呂から出ると黄昏に染まり、蜩が寂しげに鳴いていた。
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