境界線がわからなくなる美しい物語

メタフィクションとフィクションの狭間、という文章を見て、まずメタフィクションとは何だ?と調べてきました。恥ずかしながらその意味を知らなかったのです。すると書いてあったのは“フィクションをフィクションとして扱うこと”……どういうことだ。

読み初めてなるほど、と思いました。このお話は“雰囲気だけで小説を書きたい”と思った少女が現在進行形で紡いでいるお話。とても自由な世界。

少女の紡いでいく世界はとても綺麗です。知らないこと・必要のないものは無くして、大切なこと・欲しいものだけを繋ぎ合わせる。たまにスパイスもきかせて深みを出して。だからこの物語はとても美しいのです。

美しすぎて、こんな世界があるのではないかと思ってしまいます。情景が浮かんで思わず心が入り込んでしまいます。でもすぐに引き戻されます。

これは“雰囲気だけで小説を書きたい”と思った少女が現在進行形で紡いでいるお話。

だけどどうにも美しくて。儚くも切なくも思えます。やっぱりこの世界はあるのでは。少女も最後には分からなくなってしまったくらいだし。

と、思ったところでまた引き戻されます。そう、これは“雰囲気だけで小説を書きたい”と思った少女が現在進行形で紡いでいるお話。

そして最後の文章を読んだとき、私はいよいよ分からなくなってしまいました。わからないまま、でもあの綺麗な世界は心の中に残っていて。

これも少女の思うつぼでしょうか。とても雰囲気のある、美しい物語でした。