声劇『インキュバスといっしょ』
木ノ下みなみ
声劇『インキュバスといっしょ』
[]=栗原のナレーション
栗)ぷっはぁああ!!(栄養ドリンクを飲む)
今日徹夜でやらんと確実に間に合わん!!!
やったらあああよおおおお!!!
[私、栗原はじめは「ぴこ丸」という名でBL同人漫画を描いている。
そして今まさに‼夏コミの締め切りに追われている真っ最中なのだ!!]
栗)トーン貼って、んー…ここはもう少し書き込みたいな…それから…
(コンコンコン)
栗)ん?窓をたたく音?
いや、ここは3階だ…まさか…ねえ…
(ガラガラ)
イ)よっ、ちょっと火、貸してくんね?
栗)えっ?
(ガラガラ)
イ)おい閉めんな、開けろよ!
栗)いやいやいや開けませんよ!!
あなたうちのベランダで何してるんですか!!??
イ)はあ…ったく面倒くせぇなあ…
これだから夢の中以外では会いたくないんだ…
俺は悪魔だ、インキュバスって知ってるか⁉
栗)インキュバス…
[そう、インキュバスとは…夢の中に現れ、あーんなことやこーんなことをするという男の淫魔のことである…ん、待てよ…これはもしかして…
千載一遇の大チャーーーーーンス!!!]
(ガラガラ)
栗)どうぞ
イ)お、おう、案外ものわかりのいいやつだな…
栗)まあまあ入って下さいな
(インキュバス部屋に引きずりこむ)
イ)え、ちょっまっ、何すんだよ、えーーー⁉
栗)私、インキュバスさんに聞きたいことが山ほどあるんですぅぅぅうう!!
イ)はぁあああ???
[そして私は小一時間、インキュバスを質問攻めにしたのだった]
イ)ふ~(タバコをふかす)
ったくお前が寝ねえから、俺の仕事ができねえじゃねえかよ!お前いつになったら寝るんだよ!
栗)仕方ないでしょ、今日これやんないと原稿落としちゃうんだもん!!
イ)ちょ、かしてみ
栗)え?手伝ってくれるの?
イ)お前に寝てもらわないと俺の仕事が進まないからな…
栗)あ、ありがとう…
イ)おい、手が止まってるぞ!
栗)あ、うん!ごめん、ごめん!!
でもさ…なんで私なの?別に他の人でも良かったんじゃない?
イ)俺だって獲物は選ぶさ、誰でもいいわけじゃない
栗)そ、そっか…(照)
イ)喋ってないで手動かせ、それとも俺様のキスで寝かしつけてやろうか?
栗)いやいやいやいや頑張りまっす!!
[この前代未聞の異常事態をも異常と思わないくらい切羽詰まっていた私は、インキュバスと共に初めての共同作業をすることとなる]
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(ポージングさせられるインキュバス)
イ)こ、こうか?
栗)もう少し足広げて!はいストップ!!
イ)これいつまでやればいいんだ…
腰イカれちまったら俺の仕事に支障が出るんだが…
栗)動くな!!
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イ)「やめて、なんて遠回しな言い方しないで、もっとして、ってちゃんと言えよ?」お前よくこんなセリフ思いつくよな…
栗)そこツッコまないでよー(恥)
イ)いや、関心してんだよ、今度このセリフ使お…
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栗)わああ!!原稿汚してしまったぁぁああ!!!
やり直しだああああ…(泣)
イ)まあまあ、これでも飲んで一息入れろよ
栗)コーヒー?え?それどっから持ってきたの?
イ)え?お隣さんから拝借した。だってお前ん家、水しかねえじゃん
栗)すみませんんんお隣さんんんん!!!
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栗)[そんなこんなでやっと原稿が仕上がった…]
栗)できた…
イ)おつかれさん
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栗)[私はそのまま眠りについた。その夜、私は夢を見た…
後ろから肩を抱かれ、そっと髪の毛にキスされた。ふんわりとやわらかな優しいキスだった…あれは…誰だったのだろう?]
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栗)ふぁああ(あくび)
ああもう朝か…なんかやけに生々しい夢だったけど、私欲求不満なのかな…
はっ!!原稿!!おう!私いつの間に仕上げてたのね~うん、完璧!!
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イ)ふー(タバコをふかす)
あいつあんな調子だけど、ああいう奴ほどベッドの上ではどうなるか…見ものだな…
よっし、夜までもう一休みするかな…あー腰痛い…
声劇『インキュバスといっしょ』 木ノ下みなみ @minami-one-san
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