* 7 *

 チュンチュンと鳴く小鳥が飛び交う爽やかな朝。

 そんな朝だが、今日は忙しい。


幸葉ゆきは! 起きなさい、幼稚園だよ!」


 愛を誓い合った日から、数年後。

 私と泉貴の間に一人娘ができた。名前を付けるとき、可愛くてホンワカした名前がいいなと思ったとき、あの時女の子がくれたクローバーを思い出して。

 クローバーは、"幸せの葉"。それを基につけた名前。


 幸葉。幸せの葉と書いて、"ゆきは"と名付けた。

 そんな幸葉も、もう幼稚園に入って年中さんになった。


「ママ、おはよう」

「おはよう」

「じゃあ、ママ。幸葉。いってきます」


 仕事に行く泉貴を、幸葉と一緒に送る。


「パパ、いってらっしゃい!」

「帰ってきたら、いつものお願いね」

「おう。了解」


 扉が閉まった音が玄関に響き渡り、ほら急ぐよ! と、こちらもせっせと準備をする。


「幸葉、大丈夫?」

「うん! 」

「はい。よくできました!」


 貴重品と家の鍵を持って、玄関に駆け出す。


「お靴履けた?」

「はけたよ! ママ、早く!」

「はーいよ」


 自分も靴を履いて、外に出る。


「はい。それでは、幸葉。今日も生きてて偉いね。それじゃあ、頑張ろう!」

「おー!」


 我が家は、今日も一生懸命に頑張ります!

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幸せと大切なモノ 櫻葉ゆう @arayu_0123

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