第四章 再発明

 人々は彼を倒すべく団結する。人々はSNSを消去し、遺伝子の売買からなる記録追跡を避けるべく、自然の生殖を試みる。

 そう、アレである。

 人々はアレを再びし始めた。それは危険因子とみなされる行為だ。

「K」は自己への抵抗だと気づいたが、なぜか放置した。

 社会は普通に恋をし、アレをし、結婚し、出産する社会に戻っていく。

SNSはかつては政権を牛耳るほど、そして身分制度を構築するほどの力を有していたが、もはや子供の交換日記程度のものになっていった。

アレは再発明された。

 やがて「K」の姿は社会から消えてしまった。


 彼もやはり、アレがしたかったのだろう。

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アレがない 雲田和夫 @spiderbutterdog

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