貴方と行きたい場所・・・・・・・。
「すごく気持ちいい風ですね!」直美が両手を開いて屋上に風を受け止める。
「そうですね」岬樹は目を細めて、直美の姿を見つめている。彼女の綺麗な髪が風にたなびいていて、いつまで見ていても飽きないと岬樹は思った。
「いやーん!」いきなり下から激しい風が吹き、直美のスカートが翻る。直美は慌ててスカートの裾を押さえた。
「・・・・・・・」岬樹は無言で下を向いていた。 その顔は赤く染まり、なんだかニヤけた顔をしていた。
「・・・・・・見ましたね・・・・・・」直美が頬を少し膨らませて詰め寄る。
「いいえ・・・・・・見ていません・・・・・・・」岬樹は俯いたまま、返答する。
「本当ですか・・・・・・」なおも、追求は続く。
「本当です・・・・・・」俯いたまま、返答を繰り返す。
「あぁ、こんな事なら、もっと可愛いいのを履いてくれば良かったかな・・・・・・」直美は少し恥ずかしそうに呟いた。
「いえ、十分に可愛いですよ! ピンクの・・・・・・」そこまで言って、岬樹は直美のトラップに嵌った事に気が付いた。
「もう、エッチね!」直美は子悪魔のように微笑んだ。
「すいません・・・・・・」岬樹はペコリと頭を下げた。
「ところで・・・・・・」岬樹はまるでごまかすように言葉を続けた。
「狩屋刑事の怪我は大丈夫なんですか?」先日の出来事で、狩屋は暫らく入院することになったそうだ。
「大丈夫だそうですよ、怪我は大したことないそうですし……、でも、狩屋さんの事はおぼえているのですか?」直美は不思議そうに聞いた。
「あっ、それはそうとして、直美さんは、どうして西高に転校して来たのですか? それもワザワザ一年留年する形で・・・・・・・」直美は今、岬樹とクラスメイトであった。 覇王女学院を退学して、西高への編入試験を受けた。 そしてなぜか、一学年下に編入してきた。 もちろん、彼女の学力が劣っている訳では無い。 西高と覇王女学院の学力差は、少年野球と、プロ野球位の差がある。 もちろん西高が少年野球である。
「そうですね・・・・・・もう、誰にも負けたくなかったからかな・・・・・・」直美は岬樹の質問に答える。 が、岬樹にはその答えが意としている事が、良く解らなかった。
「天気が良いですね・・・・・・・一緒に、ツーリングでも行きたいですね」直美が屋上の金網を手で掴み呟いた。
「俺は、直美さんの後ろはもう二度と御免ですよ・・・・・・・」岬樹が小さな声で返答した。
「えっ・・・・・・・、何の話ですか?」直美は怪訝そうな顔をして聞き返した。
「ううん、こちらの話です。 行きましょう!」言うと岬樹は直美の手を握りしめた。
「えっ!」積極的な岬樹の行動に直美は驚いたが、頼もしくも感じていた。
「何処に、行くんですか?」直美は岬樹に聞いた。
「直美さんと一緒に行きたい場所があるんです!」
「え、私と行きたい場所・・・・・・・、それは何処なの?」直美は考えたが解らなかった。
「それはですね・・・・・・・」岬樹は少年らしい顔をして答えた。
「秘密です!」
( おわり)
バーニング・エンジェルズ・アライヴ 上条 樹 @kamijyoitsuki
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