最終回 またいつかどこかで
それから何日か立ち、ついに期限一日前となった。目標ポイントの500000には届いておらず、現在は465350ポイントだ。
明日のデイリーミッションをすることを前提にすると、残り4650ポイント。これは、朝の掃除で稼げるポイント量だ。つまり、明日で500000ポイントになる事に、僕は少しホッとしていた。
……が、そんな安心はデイリーミッションを見た瞬間に消し飛んだ。
「最終日、よりによってこれか」
その内容とは、水島北条相崎のいつもの三人に、愛の告白をしろというものだった。
普通の告白だったら、まだ誤魔化しが効くが、愛限定とは……。
もし、こんな事を川崎に言ったりしたら、確実に誤解されるだろうし……、一人でやるしかないのか。
明日で、最後だと思えば気持ち的には楽か……。
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「それで、話って?」
なんだろう、なんかデジャブを感じるな。まあ、同じような事を言って、同じ場所に呼び出すから、当たり前っていえば、当たり前なんだがな。
「ああ、ちょっとな。愛の告白的な?」
「ちょっと何言ってるか分からない」
僕は、少女漫画から得た知識を使い、壁ドンをする。
「え……なにやってるの? まさか、このまま押したおして、揉みしだくの⁉ エロ同人みたいに!」
「なんで、そうなるんだよ。てか、僕も少し恥ずかしいから、ちゃっちゃと終わらすぞ。僕はお前の事が……好きだ!」
まあ、いつも通り友達として……なんだけどな。
「そ……そんな、松山くん。嬉しい……ありがとう。でも、2週間前と同じ事を今ここでやるってのはいい度胸してるね。殴られたいの?」
「いやいやいや、僕はただ愛の告白をしろって言われたからしただけで……ヤベ」
「へー……、誰かな? そんな事言った人は?」
まずい、まずいぞ。ここはひとまず……
「罰ゲームで、川崎にやれって言われました。殴るなら、あいつを殴ってください」
「なるほど、川崎くんか……。じゃあ、私はちょっと用があるからこれで」
そう言い残し、足早に去って行く水島……。スマン、川崎よ。今度、そっとジュースでも奢ってやろう。
数分後、部室に北条が入ってきた。
「おーい、松山。話ってなに?」
「ああ、話ってのはな。ちょっとこっち来てくれ」
僕の手招きに従い北条は像僕の方に寄る。
「それでな……!?」
北条に対して、アゴクイというものをやってみた。
「僕はお前の事が……好きだ!」
そう叫んだ瞬間……
グキッ!!
という鈍い音がし、北条はその場で倒れ込む。
「北条、大丈夫か? 北条……北条!」
仕方ない……、保健室に連れて行くか。あれ、意外と重いな……。
「えっとね……結論から言うと、大丈夫だよ。ちょっと首を痛めただけだから」
「そうですか……、ありがとうございます。僕は行くところがあるのでこれで」
保健室の先生に預けてその場を去る……、ちなみにポイントは20000ポイントしっかりゲット出来ていた。
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「久しぶり……2週間ぶりくらいかな?」
「ああ、多分そのくらいだと思う」
案の定、僕はポイントを貯めるために、ここに来ていた。
「僕はお前の事が……好きだ!」
さっさと終わらせるために、そう言い放った……すると、
「好き……、ボクのことを⁉ やっと、ボクの気持ちが伝わったんだね! 早くベットに入って、脱いで!」
「なんで、いきなり脱いで別途に入らなきゃいけないんだ! それじゃあ、まるで変態だろ!」
「大丈夫、変態な松山くんも好きだから!」
「そういう話をしてるんじゃない!」
相沢は、平常運転だった……。元気そうで何よりだがな。
というか、朝の掃除を合わせれば、これでポイントが貯まったはずだし、今のうちに相沢の病気を直しておくか。
そう思い、ポイタメを開くと、所持ポイントが500000……でわなく492600となっていた。
そっか、北条の首を痛めさせたから、その分ポイントが引かれたのか……、てことはまたポイント集めに行かなきゃ行けないってことか、こうしちゃおれん、さっさと行かないと。
「相沢ごめん、僕用事を思い出したから、帰るは。じゃあな」
「うん、またね……うっ」
いきなり、相沢は胸を抑えて苦しみ始めた。
「どうした、相沢。待ってろ、今先生呼ぶからな!」
僕は、病室を飛び出し先生を呼びに行った。
「この感じは、興奮しすぎて倒れただけたから、命には別状はない。ただ、これ以上君がいると、更に興奮するかもしれないから、今日のところは帰りなさい」
「分かりした……、あと先生に聞きたいんですが、相沢って死ぬんですか?」
僕の発言に対し、先生は目を丸くした。
「どえして、亡くなると思ったのかな?」
「この間、相沢が山場が近いって言っていたので、病気が進行しているのかな……と」
「それって、どのくらい前に言ってたのかな?」
「確か、みんな出来たときだから、3週間ほど前ですね」
そういうと、医師は高笑いをした。
「ハッハッハ」
「何がおかしいんですか?」
「いや、その3週間前は、確か相沢さんが、ゲームで夜ふかししてた時のことだよ。君達が帰ったあとに聞いたんだけど、眠くて眠くて仕方がなかって言ってたよ。多分、そのことじゃないかな?」
つまり、別に相沢は死ぬ訳ではない……じゃあ、例のモンスミッションに書いてあった命を救えってのは何だったのだろうか。
神が間違ってしまったのか、それとも……。
「そういうことだったんですか、僕はこれで失礼します」
そんな事を考えているより、今はポイント集めに専念しなくては……。
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取り敢えず、ごみ拾いをし始めたが、ほとんどゴミは落ちてなく、時間がどんどん過ぎ去っていってしまった。
「くそう……、このままじゃまずいな」
その時だった……。僕のスマホに川崎から一通のメールが来た。その内容は……『松山、俺の家に水島と北条が入ろうとしてくるんだ。早く、助けてくれ!』
そうか……、僕が適当に川崎にやれって言われたからやったって言ったから、こうなったのか……。でも、今はそれどころじゃ……待てよこれで、川崎を助けてもポイントはもらえるのではないだろうか?
僕はすぐさま、川崎の家へと向かう事にした。
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川崎の家の前には、ピンポンを連打する水島と、ドアを叩く北条の姿があった。
今更だが、北条には言ってないはずなんだが……てか、首は大丈夫なのか?
取り敢えず、話しかけてみるとするか……。
「おい、二人共川崎の家の前で何やってるんだ?」
「何って、罰ゲームかなんかで、こんな事させた、川崎くんへの復讐だけど?」
「そっ……そうか。じゃあ北条は?」
「私は水島さんに呼び出されて事情を説明されて、手伝ってるの」
僕が自分でやりました! みたいに言ったとしたら、確実にボコボコにされるな……、どうすればいいか。
そうだ、ポイントを使って助ければいいか。プラマイプラにすれば、言い訳だし。
僕は早速ポイントを使い説得(1000)に還元した、すると……口が勝手に動き説得し始めた。
「まあ、二人が出なくても大丈夫、あとの事は僕に任せておいて、帰りなよ。川崎はボコボコにしておくから。このままだと、川崎は絶対に出てこないしね」
「確かにそうかもしれない……」
「じゃあ、松山に任せるよ。じゃあね」
こんなんで、説得出来るのかと思ったが意外といけるもんだな……。
このままピンポンしても、川崎は出てこないだろうし、メールを送るか。
『取り敢えず、二人には帰ってもらったぞ』
僕がメールを送ると、すぐさま返信が反ってきた。
『ありがとう……。なんでいきなり俺の家に押しかけたんだろう、なんか知らないか?』
『知らない。僕は用があるからこれで行くは、じゃあな』
『ああ、また明日』
一連のメールのやり取りを終え、僕は自宅へと戻る。
ポイタメは500000ポイント貯まったので、モンスミッションのお題の相沢の病気を治すを成功させ、追加で100万ポイントが手に入った……。
***********************
「モンスミッション達成、おめでとうございます松山さん!」
「ああ、本当に大変だったんだからな!」
家に入ると同時にエルイから、そう言われた。100万ポイント……、僕はこのポイントが手に入った瞬間、何に使うかは決めてあった。
「なあ、エルイ。いきなりでなんだけど僕の質問に対して、全部答えてくれないか?」
「別にいいですけど、いきなりなんでですか?」
「大体の事がまとまったから、話がしたいと思ってな……。まず、このポイタメだが、神が作り神がモンスミッションやデイリーミッションを送ってきているのは間違いないんだよな?」
これが、本当じゃなかったから、推察は全部パアになってしまうから、一応の確認だ。
「はい、前にもいいましたが、あってます。これは、神様が作り神様がミッションを送っています」
「2つ目だ、神様はミッションを送っている、暇だから変なミッションを送るとか言っていたが、本当にそうなのか?」
「どういう意味ですか?」
「つまり、僕が言いたいのは、このポイタメというアプリはそもそも、天国に行けるようにするのではなく、恋愛をサポートする為に作ったものなんじゃないか?」
「さっぱり意味が分かりません。そもそも、なんで人を好きにさせるようにするものを作らなきゃいけないんですか? 神様が暇だから、送ってるだけですよ」
「エルイの言った通り暇だがらだとしたら、普通に考えて今回のモンスミッションの相沢の命を救えなんて送ってくるか?」
「さあ、神様の考えなんて私には分かりませんから」
「そして、最後に一つの質問だ。未来の事に関して、神様は間違える事があるのか?」
「無いですよ、当たり前じゃないですか神様ですもの。力を使えばすぐ先の未来なんて簡単に見えますよ」
「そうか、じゃあなんで相沢の命を救えなんてミッションがきたんだろうな?」
「どういう意味ですか?」
まあ、そうなるだろうな……。
「僕が相沢の命を救おうとしなかったから、モンスミッションとして慌てて出したんだろ? つまり、このポイタメを作り、ミッション類を出してるのはエルイお前だろ?」
「そんな訳ないじゃないですか」
「僕は本当の事を答えろって言ったぞ? これにポイントを使ってもいいんだからな」
「はぁ……、分かりましたよ。正直に話しますよ」
やっと観念したか……、まあ病院の先生のおかげでこの推察が出来たんだがな。
「このポイタメは松山さんが言った、恋愛をサポートする為……ではなく、松山さんの為だけに作りました」
僕の為だけ? つまりどういう事だ?
「松山さんとりろさん、あなた達二人は昔姉に暴力を振われましたね、その時の様子を私は見ていのです」
あの、忌々しい記憶か……。エルイが言った通り、僕とりろは姉に暴力を振るわれた。たまたま、お酒入りのチョコを食べてしまい、妹に僕は私のもの何だとか言いながら暴力を振るった。
しかも、服を脱がし身を守る物を無くした状態でだ。
それに対して、僕がやめろと抑制したら、今度は僕に暴力を振るってきた。
妹は、身体中に一生残るアザが出来てしまった。
次の日の朝になると、姉はすっかり忘れており、妹はそれ以来女の人の前で傷を見られるのを嫌がるようになり、更に前以上に僕に対してべったりになった。
「あの時は本当に偶然でした、新界から人を眺めていると、暴力を振るわれている二人の子供……。そして、妹と兄……つまりりろちゃんと松山さんの二人に強いトラウマが出来てしまった事が分かりました」
「ちょっと待てよ、りろはともかく僕には別にトラウマとかは無いぞ?」
確かに、それ以来少し姉とは距離を置いているが、別に本気で嫌悪してるわけでは無いし。
「それは、松山さん。貴方が気づいていないだけです。そして、あなたのトラウマは……、女の子です」
は? どういうことだ? 別に僕は女の子が嫌いじゃないぞ。むしろ普通の男子より好きなくらいだ。てか、そうじゃなかったら、覗きなんてしないだろ。
「意味が分からないって顔をしてますね。正確にいうとですね、松山さんは無意識の内に女の子からの好意をシャットアウトしています。だから、あなたは水島さんや北条さんの好意に大して、全く反応しなかった……いいえ、出来なかったのです」
好意、どういうことだ? 何を言ってるのかさっぱり分からん。
「少しの間だけですが、そのトラウマを解いてあげましょう……」
そう言って、エルイは指でパチンと鳴らした。
その瞬間、僕は頭の中に水島と北条、この二人が僕に対して好きだと言ったシーンが流れてきた。
顔を赤らめ、恥ずかしげに好きと……そうか、あれは友達としてではなく、異性として好意を寄せているという意味だったのか。
「エルイ、お前が言ったことは分かった。そういうことだったのか……、確かに僕はいままで女の子が好きだった、上も下も。ただ、その女の子自体を好きになる事は一度もなかった……。そういうことだったのか」
「それだけ聞くと、ただのゲス野郎ですが、まあそういえ事です。ですが今みたいに、この世界の人に直接関与する事は基本的には禁止されています。つまり、直接は関与せず松山さんとリロちゃんを救うために作ったのがこのポイタメという訳です」
「やはり、僕の予想は大体当たってたってことだな」
「まあ、そうですね。松山さんに自分からトラウマを克服してもらうために、そして好意に気づいてもらうためにデイリーミッション、そしてモンスミッションという制度を作りましたが……、まさかそのモンスミッションが仇となるとは」
「命を救えみたいなものを出すからろ……」
あれのおかげでわかった訳だしな。
「あの時は本当に焦ったんですよ。松山さんが相沢さんを助けようとしないし、仕方なくあの場でモンスミッションの内容を変えて出したんですから」
「本当は何にする予定だったんだ?」
「本当は……、50万ポイントを集めてトラウマを乗り越えろです」
確かに、それを達成出来たらエルイの目的も到達出来たからか。
「てか、今100万ポイントある訳だから、別にトラウマを乗り越えれるんじゃないのか?」
「まあ、そうですね」
その時だった……、エルイの体がいきなり発光し始めた。
「なんだ、何が起こってるんだ?」
「これは、私がこの世界の人にに関与した事がバレてしまったようですね……。あと数分で私は天界へと強制的に戻されるでしょう。私がこの世界にいる内に早くポイタメを使って願いを叶えてください」
いきなり、そんな事言われたって……、僕のトラウマを乗り越える以外に特に考えて無いのに……。
「そうだ、エルイをこの世に残らせるってのは?」
「それは、無理です。何故なら、そのポイタメは私の力で叶えられているので、私の力が及ばないものは願えられません」
「そうか……、じゃあ僕の願いは……………………」
「本当に、その3つでいいんですか?」
「ああ、僕が今やって欲しいトップ3だしな」
「なんだかんだ言っても、松山さんってやっぱり優しいんですね」
「うるさいよ。これで、最後になるのか、エルイ約2ヶ月だけど楽しかったよ。ありがとうな」
「松山さんから、お礼言われるのって、新鮮ですね」
「そうか? 言ってたと思うが」
最後くらい、喧嘩ばかりではなく、ちゃんと笑顔で送らなきゃな。
「それじゃあ、またいつか会えたら!」
「ああ、またな!」
次会えたら、今度は水島北条川崎相沢りろみさ、そして僕とエルイ、この8人で旅行にでも行こうな。
***********************
僕達は今日から修学旅行。そして今は新幹線で京都に向かっている途中だ。
「いやあ、まさかボクの病気が修学旅行前日に完治してそのまま行けるようになるとは思わなかったよ」
「最後の最後まで諦め無かったからだよ。本当に……死ななくてよかった」
「ごめんね、みんなに誤解させるような事を言って」
「まあ、別に良かっただろ? 何はともあれ病気は完治したんだし」
「そうなんだけどね……これで、エーちゃんも行けたら良かったのに」
「仕方ない、エルイさんは今日転校する事が決まったんだから……。というか相沢さん、いつの間にエーちゃんって呼ぶ間からになってたの?」
僕の、エルイに対して最後の3つの願い、1つ目は相沢が今日修学旅行に来れるように……、2つ目はりろの体の傷を直して貰えるように、そして3つ目で、僕はりろのトラウマをきれいさっぱり忘れさせる事にした。
僕がトラウマを乗り越えるより、りろの方がトラウマを乗り越える方が大変そうだし……。
窓を見ながら黄昏ている僕に、隣に座っている川崎が耳打ちをしてきた。
「松山、ハーレム要因が一人減って残念だったな。でも、この修学旅行はお前のいうラブコメ的にいいんじゃないか? 珍しく、俺から作戦を立ててきてやったぞ」
「僕はハーレムとかを目指すのはもうやめたんだ。ちゃんと、ひとりひとりの気持ちに答えよう、僕は思う。前の僕なら無関心だったろうけど、今なら少しは分かった気がするから、水島と北条の気持ちが」
「いきなり、どうしたんだよ。そんな大人びたセリフ言っちゃって」
ポイタメのおかげで、りろはトラウマを無くすことができ、相沢は体を治して修学旅行に行くことができた。
ありがとう、エルイ。お前のおかげで、このメンバーが揃うことが出来た。
またいつか、何処かで本当に会えたらいいな。
さて、これで僕達の約2ヶ月の話は終わりだ。この後、松山と〇〇が付き合ったりするが、それはまた別のお話……。
完
道端で倒れていた天使を助けたらポイントを使ってなんでも願いが叶えられるアプリを貰ったんでこれを使って俺の理想の学園ラブコメを完成させてやる ちょこふ @tyokohu
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