第2話 起動 ③
アーク「あまりにも弱い。導かねばならぬというのに…」
縛られたレンは身を捩りながら抜け出そうと抵抗を続けるが、アークはそれに全く動じない。ブツブツと呟きながら、呆れたように肩を落とす。
レン「まだだ…もっと…!」
魔力を更に解放し、自分でも訳が分からないままに無茶苦茶な力を振るう。
無理やりに鎖を引っ張り、引きちぎろうとする。
アーク「記録にない型だが…そうか、お前も選ばれたんだな。」
不思議そうに、しかし満足そうにアークは笑を零す。レンを取り巻く光はいっそう強くなり、鎖は軋む。
アーク「いかに強大な力であっても制御出来なくては意味が無い。所詮お前もエデンと同じか。」
杖を軽く一振、アークを中心に光の波が現れる。
レンはそれに触れると電池が切れたように気を失い、それと同時に鎖が解かれ、地面に倒れ伏す。
慌ててリリが駆け寄り、声をかける。
リリ「レン、目を覚まして!!」
アーク「無駄だ。死んではいないがしばらくは目を覚まさんよ。」
リリ「あなたは何が目的なの!?どうしてこんな事を!」
アークを睨み、立て続けに問いかける。
アーク「別に、塔との繋がりが欲しかっただけさ。」
困惑するリリを気にもしないで、杖を地面に突き立てる。
アーク「
魔力を込めたその言葉を発すると、杖からシオンに細く糸のような魔力の筋が伸び、シオンからは同じ糸が一瞬にして塔まで伸びる。
その瞬間、アーク、シオン、リリ、そしてレンはその場から消え去った。
転移した先は屋内で、広い講堂のような場所だ。
灯りはついていないが窓から差し込む陽だけで十分な明るさで、ひんやりとした空気が漂っている。
??? 「まさか本当に来るとは…」
しんとした空気を破るように部屋の大きな木製の扉がギィ、と音を立て開く。
そこから現れた男は、透き通るほどに白い髪が耳を覆い隠し、膝下まである長いローブは白と黒のシンプルなデザインながらも豪華さとその者がどんな地位にいるのかを示していた。
蒼白とも言える真っ白な肌に、優しい目付きをした目だが、その右目の瞳は黒いが左目は白く、見えていないのか、それとも見透かされているのか不思議な感覚に陥る。
??? 「私の部下が世話になったようだね、来訪者殿。」
理想の果てのニルバーナ 白鳥飴 @Mot0
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。理想の果てのニルバーナの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます