ペスカトーレを作ることにした
娘がはずかしめを受けたあとも生きながらえ、その姿をさらして、悲しみを日々新たにさせてはなるまい。
~街の夫婦の会話~
バルトはヴァンダル達と別れて帰路についた。ギルドから頂いた報酬と分けてもらった海竜の切身、帰りがけに買ったトマトソースとパスタや海産物を持ちかえった。バルニバービが待っている家に。
「久しぶり。帰ってきたよ。バルニバービ。」
「おかえりなさい。バルト。今日は何処ぞの女たちとは飲み歩かなくって良いの?」
車イスに腰掛けたバルニバービは笑いながらバルトに問いかけた。
「今日は酒の気分じゃないよ。良ければ夕食に付き合って頂けますか、お嬢様。」
「ご相伴に預かります。バルト様。」
バルトは夕食の準備に取りかかった。
釜に火をつける。フライパンを熱してからオリーブ油を入れる。潰したニンニクを入れて油に味をつける。そして、唐辛子を入れる。
「今日は海竜の切身があるんだ。」
「海竜なんて珍しい。雪でも降るのかしら。」
海竜の切身と買ってきた海産物をフライパンに入れる。ニンニクと唐辛子の香りがついたらトマトソースを入れる。充分煮込んだら釜からフライパンを外して鍋を置く。鍋にパスタが浸かるぐらい水を入れる。
「バルニバービ、夕食の後は祭りでも行くか?」
「別にいいよ。それよりいつも通り旅の土産話をして。」
沸騰した鍋に塩とパスタを入れる。
「そういや、バシネイアスで新しい料理を教えてもらった。今作ってるやつ。」
「それ、ありきたりな料理じゃないの?」
茹であがったパスタをフライパンへ入れる。ソースとパスタをよく混ぜて完成だ。
「料理の名前はペスカトーレ。召し上がれ。」
皿に分けたペスカトーレをバルニバービへ差し出した。彼女はフォークでパスタを巻いて口に運んだ。
「あ、美味しい。」
バルニバービの口元が赤く染まっていく。バルトもそれを見て食べ始めた。
「もしかして、わたしって毒味役?」
夜がふけていく。街の喧騒は騒がしくなっていく。
異世界グルメハンターズ あきかん @Gomibako
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