第4話

遅い・・・遅すぎる

オーディションって、こんなに時間がかかるものなのか?


すぐに終わると思っていたので、暇つぶしの道具は持ってきていない。

まあ、持ってきていても、迷惑になるので出来ないが・・・

せめて、本でも持ってきとけば、よかったな。


そうこうしているうちに、ドアが開いた。


オーデションを受けた人たち(当たり前だが、女の子)のなかから、祥子さんもいた。


声を変える前に、祥子さんはブイサインをした。

通過したと言う事か・・・


「君のおかげだよ。真一くん」

「僕は、何もしてないよ」

「ううん。このオーディションの本当の目的は、君の忍耐をためすため」

「忍耐?」

祥子さんは、うなずいた。


「付き添いの人、つまり、君が待ってくれているかどうか、

もし待っていてくれるのなら、その人、つまり私は信用されているという事だから・・・」

「うん」

「それが、大事な事だと、教わるためなの」


そんなものなのか・・

当たり前だと、思うが・・・


「私を信用してくれて、ありがとう。真一くん」

笑顔で言うが、何もしていない。


「じゃあ。東京の最終審査もよろしくね」

「付き添わせる気が?」

「うん。ジャングルは、ひとりじゃ心細い」


まあ、面白い。

最後まで付き合って見届けよう。


彼女の生きざまを。


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ジャングル 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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