第十二幕 Wの悲劇から……



「楓ちゃん。一体、一週間前に何があったの?」

「それが、わからないんです……」

 私はちょっと用があって、『ベベルゥ=モード』に来ていました。

「乃白瑠君、出社して来ないのよ。どっちにせよアルバイトだから、来ても来なくても同じだけどね」

「そうですか……」

 私は目を伏せます。


「編集長。今日の依頼は?」

 小桜さんがツカツカと編集長のデスクに歩み寄ります。

「うん。アマチュア小説家の依頼だな。この名前、仏の僧侶か? この小説を出版していいかどうか判断して貰いたいそうだ」

「どういう小説ですか?」

 私は協力出来ることがあればと思って聞いてみました。

「うん。SF小説だな」

「ふ~ん」


「粗筋は……、主人公ノベルが想像国家で活躍する?!」

「何ですって!」

「これは作者に会ってみる必要が有りそうだ!」

「作者の名前は?!」


「……空雀」

 私達は再び、守谷に向かいました。







「態々お越し下さり有り難うございます。私は空雀の妻です」

「空雀は法名ですね」

「はい。夫を呼んで参りますので、少々お待ちを……」

 私達は出されたお茶を一口飲んで、空雀先生の事を待ちました。

 空雀さんの奥さんは昔モデルだったらしく、スレンダーな体型で高身長。ショートボブの髪型は、着物を着た姿でも似合う。

 モデル体型の彼女が着る着物姿を一枚写メした私。


 ここは守谷。


「やぁ……」


 その時、作務衣さむえ姿の男の人が応接間に現れました。


「空雀先生ですか?」

「そうです」

 物腰の柔らかな、スラリとした普通の長身の男性です。


「早速ですが、あなたはこの小説をどういう理由で書かれたのですか?」


「それよりあなたは乃白瑠さんとどういう関係ですか?!!!」 


「まぁ、楓さん。落ち着いて!」

「はい、でも……」


「はい。私は警告のつもりで書きました。私は迷っています。結末を書いていないこの小説を、どのように書いていけば良いのか」


 真っ白。結末は真っ白だった。空白。読者が自由自在に結末を書く為の空間。


「それで、我々編集専門会社ベベルゥ=モードに判断を仰ぎたいと?」


「そうです。だから自分の書いている小説の中に自分を登場させました」


「まず、編集者として言える事は、あなたは出版業界を改革しようとしている」

 空雀さんが顎を摩ります。


「小説家はある理論でそのコミュニティーの人生の導き手にもなりますが、人々の生き死にを操った悪魔として裁かれもするのです。人々が書物を読む時の電波で操られ、そのようにシナリオを実行しようとします。それが電磁波意識体の原理主義です」


「!」


 私が初めて聞く理論。


 誰かが深夜、皆が惰眠をむさぼる時に、自分の計画を電波で、短波FMで放送する悪魔的な新興宗教の存在。

 FM短波無線は免許制度だから、警察はその線であらってるのだそうです。


「この想像国家で私は想像主の一人になる筈ですが、その世界が善なのか悪なのか。それを皆さんに決めて貰いたいのです」


「うむぅ……」

 編集長が唸るのを見るのも初めてです。


「我々が注目しているのは、月がニュートリノ検知構造物という事です」


「太陽と月が日食で並ぶ時、太陽ニュートリノは月を突き抜け、日食観測地域で人々に同じニュートリノを放射します。その時、地域の人間は殆ど同調するのだそうです。個人的にだけではなく。2012年の春、日食は日本で観測されました」


「!」


「太陽磁力線の4極化。赤道付近に2つのS極。北極、南極でN極。科学者によれば事象平面自体が存在しないとまで言われる宇宙物理学で、絶縁体を挟んだ半導体が高速スイッチング出来る量子ビット半導体として使用される現在、その事象平面を絶縁体とする恒星が太陽なら、太陽光発電パネルが両面になっている事自体、太陽の意思が自宅の屋根に降りてくる可能性もある。量子ビットはファジーな存在だ。喜怒哀楽の感情を示す4つの可能性は、オン・オン。オン・オフ。オフ・オン。オフ・オフ。オン・オン。関数領域の4つは、微分係数として次元を下げる時、その微分係数を電磁波周波数としてシンクロさせる時、微分・積分計算が出来る量子ビットは、存在そのものを転送出来る装置に変化する……」

 そう言った後、空雀さんはお茶を飲み干しました。

「氷惑星だった月の内部の空洞に水が詰まっていた可能性は、昔、高橋 実と言う物理学者が指摘していました」


「ミステリー雑誌が出している本の中のガジェットですね」

 小桜さんが勤務していた大手出版社でもミステリー系雑誌は刊行してました。


「嘗て月の空洞の中の水製造プラントで製造した水でニュートリノを捕捉し、日食時に、全人類の心の声を聞いていた存在」


「……」


「ムーンコンピューターは人類の動きを先読みして、人類を救う為の巨大な天然の処理演算機だった。太陽の異変を察知する月の中の水は、日食の時に太陽ニュートリノをも自らの体内の水を透過させた時、ニュートリノを捕捉した水が電離化し、重水へ変化した。その重水は恐らく月の地表に堆積したヘリウム3とも関係あるんです。

重水は核融合の燃料ともなり、ヘリウム3も核融合の燃料となる。月の水が全方位を検索し恒星からのニュートリノを検知する、プラネットカミオカンデだった。ベテルギウス等の赤色巨星が発する異常な電磁波やニュートリノを観測し、地球へ異変を伝える天体……」


 私は文芸畑の人間で、SF理論は分からないのですが、小桜さんが話柄を変えました。


「この世の悲哀を語る『悲撃文庫』・・・・・・空雀さん。何の為に書かれるかは分かりますか?」


「試験の為ですね」


「そうですね。皆を泣かせる為に実際の事件を起こすより、フィクションの中で皆の心を成長させる」


「じゃぁ、殺人事件を扱う小説は皆を泣かせたいからですか?!」

 私の質問に空雀さんは、


「犯罪者がどんな心理で罪を犯すようになったか、その心理を理解して貰う為。裁判員制度。犯罪の経緯を読んで、その犯罪者が無罪か有罪か、判断する裁判員制度の予行練習として、法律に従って裁く正義の感情を育てる為の、教科書としての役割が、ミステリー小説にあると認識しているのです。僕は……」


「警察小説の中で、その犯人の量刑を読者が判断する時、刑法の罪の重さを我々が認識出来る。妥当な量刑……」

 ベルサトリ編集長がテンガロンハットを丸める。


「そうですね。現在では刑法上、殺人事件に時効は無い。15年経とうが殺人事件を警察は捜査しつづける事が出来ますね?」


 私の名前の楓の葉はカナダの国旗の図柄ですが、イチョウの葉が髪の毛の脱毛を防ぐ効果がある事と、認知症予防のイチョウの葉。紅葉で黄色に呈色する葉が持つ効果。

 葉緑素が赤い光に反応した時、緑色に赤を足すと黄色になります。教科書をそのまま問題集にするには、蛍光ペンで重要事項を塗って、そこに色つきの下敷きで覆うと、黒字の部分は問題文になって、問題となりやすい重要単語、知識の部分が隠れるので、教科書がそのまま問題集になるのです。

 私が小学校の先生に教わったテスト勉強のコツです。

 小説の中で、キャラクターの台詞で一番いいフレーズを自分で埋めるスペースがある本は、自分しか持っていない単行本になるのです。

 空雀先生は、

「過去の加害者を救う事によって被害者を救う。犯罪の二重阻止。加害者の怒りを抜く。だから勇気を持って加害者になりそうな人に話しかける為なのか、旧約聖書イザヤ書52章で語られるユダヤのメシアの名前、インマヌエルは、全ての咎人と会うように定められた存在だった……」


「だけど、その加害者予定者の怒りの原因に話しかけられたら、それは火に油を注ぐようなものです」

「楓さん。小説家は犯罪追求と犯罪擁護。小説に登場する犯罪者、つまり主人公の敵を、完全絶対的な敵とするのか、その犯罪に情状酌量を与えるのか。そのバランスが小説には求められます。大魔王を説得する言葉……。犯罪への理論的正当性を探る弁護の道こそ純文学! ハムレットでのイアーゴー。悪の論理の解明、ミステリー小説で描かれます」


「!」


「『悲撃文庫』では主人公が心の犯罪者となっているシナリオが多い。その感情移入としてありがちに皆が抱える心の闇を説き明かし、一筋の光明を見いだす解決方法が示されていれば、小説として成り立つだろう」

 編集長の言葉をメモする私。


「主人公への怒り。主人公への悲しみ。主人公の悩み。主人公の失敗は、敵の喜びにはなるけど、主人公を応援する側には、共通の敵になる訳ですよね?」


「楓君。だから犯罪強唆とは、罪を犯す方向に仕向ける罪の事だが、ただの意地悪ばあさんと同じだな……」


 沈黙が流れる……。


「カントの純粋理性批判を読破した事はあるかい?」


 私は、


「レポート課題で読まされた事はあります」


「理解できたかな?」


「う~ん……」


「私が思うにはな、感情から理性を分離する事。~しなければならないという理性が自分に与える法則によって法律に制御される。理論的理性能力としての道理こそ、倫理的な道。物事の法則的調和を乱さない常識と言う社会に共通な暗黙的な規範。社会の事象からのインプットに対する自我の感情のアウトプットと、それを覆う事で社会的な常識的反応で対応する社会適応能力があるから、社会的事象がスムーズに流れる。だから共通項を探せと言う事なんだよ。世界憲法を作るのなら、それは各宗教の最大公約数である共通の基本法を制定するという事だ。後はその国家による自由というのが真の自由主義だ。非経験性から生まれる理性はただの自分のエゴの押し付けにしか過ぎない。自分が法律だとする人類の原罪はアダムにあった。親の教えを無視して、自分達夫婦を唆した存在を信じてしまった男女。よく新興宗教にはまる人間に多いパターンだ」


「空雀さん。あなたは元ファンタジー小説家。負けている方に肩入れするのだったら、反逆を誘発する事になります。悪魔、大魔王側と言う事はデビルサイダーであって、昔の漫画ではないですが、ゴッドサイダーではないですよ? 何故、悲撃文庫を庇うんです」

 

 空雀さんは無言で立ち上がり、席を外しました。私達が十数分待った時、奥様が包んだ菓子折りを持ってきます。

 彼女がファッションモデルとして出ていた雑誌は、小桜さんが担当していた雑誌だった事を後で知らされました。

 そして畳の間で指を付き、私達へ挨拶をし、玄関までお見送りして下さいました。

 空雀さんがその後、3日間家を空け、家の裏手の神社の御神体としての山の頂上で座禅を組んでいた事を、奥様からの手紙で知りました。

 昔鏡を使って、山頂で鏡で太陽光を反射させた光通信を、狼煙よりも速く日本全国を駆け抜ける通信手段にしていた説が、空雀さんの小説を読んだ時に理解出来ました。

 昔、国生み神話は決して島が造山運動や火山運動で海底から隆起したという事ではなく、船で日本の沿岸を調査し、この国が大陸と陸続きではない完全な島国だと確認した時に、大陸から逃げ延びた方々が安息の地。平安の地であるエル・シャロームとしたなら、西回り航路、東周り航路と、嘗て卑弥呼が東海姫氏と言う大陸の周王朝の末裔だったとする歴史の説があるが、東からか、西からか、日本沿岸を周回し、島国として認識した国生み神話だっただけで、神話を常識で解釈した時に得られるセオリーな答えと、オカルト的な発想とは違うんだという事を、宗教学の泰斗と呼ばれるには、まだ若い49歳の空雀さんの神話解釈は、バチカンからの使者だと自嘲して笑うエンガロンハットおじさんのベルサトリ・ウイズダム編集長が興味を持って、空雀さんに接触した事をな私達に納得させるに十分な答えでした。


 解釈の違い・・・・・。


 お互いの想像力の結果の理論の争い・・・・・・。




 『象魔大戦』


 しょうまたいせんは、


 ソーマの大戦なら、

 

 生きた体のソーマと、


 死んだ体のプトーマは、


 プトーマをソーマで返すとしたイエスの復活劇。


 ソーマはインドでは神の酒。


 酒を気付け薬にして呼び起こした意識。


 鼻の呼吸で刺激臭が意識の本源を戻すなら、鼠の鼻の嗅覚細胞のフルートレス遺伝子を麻痺させた時、鼠は同性愛行動を起こし、また自分の天敵を敵と思わず、自己と非自己を認識出来ない=自分と異質な存在を同化しようとする事で、非自己を追い出す免疫機能が不全になるのだと空雀さんは言います。

 フルートレス遺伝子が壊れた嗅覚細胞を幹細胞として万能化させたものを、脊髄損傷した猿の脊髄神経に移植した動物実験で、その脊髄神経の再生が見られたと、東京六大学の一つの名門私立大学の医学部付属病院の研究で分かったそうですが、自己と非自己を認識した時の免疫機能と、自己と非自己を分離出来ない時、敵を敵と思わない=恐怖心を持たない事は、免疫を不全にし、同性同士の敵対関係から生まれる異性の取り合いを失くす事で、男性同士が戦争を止め、美女の取り合いからの世界戦争にならなくても、同性のハンサム同士での求愛は、やはり性別は違えど、モデルやバレリーナ、水泳選手、バレーボール選手や、俳優さんにも多い同性愛関係でのモラル破綻を生むのでしょうが、美への執着は性別は別にして同じなのでしょう。

 特に双子の間の感情は複雑でしょう。

 姉の流花と私、楓。

 鼻のフルートレス遺伝子を麻痺させず、その鼻の嗅覚細胞を活性化する時に、お酒を気付け薬として、布にしみこませた酒の匂いを嗅がせる事は、昔からの常套手段です。

 アルコールを解毒する肝臓。過ぎ越しの祭りで無酵母パンを使うヘブライ、ユダヤと、酵母パンとして、パン酵母=イースト菌により発酵させた生きたパンは、内部で二酸化炭素の気泡で膨らみ、アルコールを副産物として代謝するのですが、その酒のワインのアルコールとパンだけを食する事で、肝臓の中のミトコンドリア・イブを起こす事は、母系遺伝のミトコンドリアの変異を受け継ぐ人類が、母系家族として母親がユダヤ人でなければユダヤ人と言わない一族を遡源する事で、人類最初のイブにたどり着く事を熟知していた存在が、太古、昔に母親系統の家族を母系社会としてヘbライ、ユダヤに残した時、ユダヤ人の女性が奪われ、そしてその生命の樹を奪われかけたかもしれない事は、歴史の闇に存在するのでしょう。

 私達は東京へ戻りました。

 翌日のブレインストーミングの議題に対するレジュメが、私のタブレットのドキュメントにあります。

 電磁波結界。昔有線でネット構築していたマンションの部屋のネット通信を、無線WiFiでの防御。自分の周囲の保護ドームとして考えた時、その電波がお互い干渉する境界にいなければいいだけで、その保護シールドの中心にいる事で防御されるなら、その無線ルーターの指向性電磁波の向きさえ考えれば、自分に対しての右方向か、左方向か、自分の敵が左にいる場合、自分の味方は右にいて貰う事で、自分からの指向性を反対側にしない事は、ルーターの右側でもう一つの受信側を作る事で、その流れは制御出来るのだと空雀さんから菓子折りと一緒に入っていた手紙に書かれていました。

 電磁波干渉する境界線上で作られる事象の捉え方を言語的な誤解で作る世界を夢の中でアウトプットする映像が、意味不明な世界であった時、文書作成ソフトで入力した時の文字に対する漢字変換表記の違いを直し、送信する事で、共通なネット世界の誤解を防ぐ事の重要性は、空雀さんの名前の中で、空の雀。スパローである雀と、ジャック・スパローと言う海賊主人公のカリブ海のキューバが、西インド諸島で、インドと誤解された西の島。西へ目指した時のインド。東へ目指した時のインド。

 ネイテイブ・アメリカンであって、インデイアンではない人々と、バック・トウ・ザ・フューチャーで、地球が自転する方向が東で、地球の自転速度よりも速く周回する衛星の高度を維持する為の地球からの距離を衛星軌道とした時に、地球の自転スピードを作るエネルギーに対して、その大気圏外で、地球と月の間で、地球の自転スピードを凌駕するようにして周回する衛星が静止衛星として軌道と位置を制御出来るなら、その衛星は時間を超えて、未来を観測出来る衛星になるのかもしれません。

 その未来と回線が通じる静止衛星がベツレヘムの星としてプラズマ化した動く星なら、ホピ族の青く光るムービングスターが、波長が短い高エネルギーの電子軌道を持つ時に輝く時、地球と月の距離38万キロメートルを相対的に持つ直線座標で、地球から離れ、月から地球への距離の中、何対何で分けられた距離なのか?

 プラズマ蛍が周回する光景が、運用されていない壊れた衛星の残骸としてのスペースダストなのか、それともプラズマ生命体(動く存在だから生きた星なのか……)。

 ベツレヘムの星を、ギザのピラミッドから伸びるスターシャフトの角度とした時、シリウスと言う青く輝く星の輝きがベツレヘムの方角の角度と同じである事は、直線状のサイン波が作る角度を持つ三角形。電磁波を形成する磁場と電場の逆転現象を生み出す周波数……。 

 その分母と分子が1対38なのか、1+38=39。ガウスの法則でそのシグマは、39×19=741。741Hzの周波数がKであろうと、Mであろうと、Gであろうと、3×13×19。3×247。13×57。19×39。

 帯分数として掛け算と足し算を分離するか、しないかは、それを小数にした時の境界が1.6を境にして、数学最大の問題とされたABC理論の解明に繋がる事。

 乃白瑠さんが、その数学の大問題解明の発表があった後で自分で考えた事を私に放してくれたのも、大江戸ノベルズ学院生だった時だった。

 電子軌道内の保有出来る電子数がキャパ一杯だった時、その軌道殻の前の軌道が帯分数としてとらえた時、帯分数の1と分数は、その元素の電子数全体が仮分数として負のエネルギー量を持つとした時、その最外殻の電子数と、電子数全部が元素数である元素。酸素の最外殻の電子6と、炭素の電子数6個。酸化と炭素は化合するけど、老廃物や毒性のある炭酸ガスである事。

 エネルギーは質を問わず、その方向性を転化する。

 言葉の発音、スペルを数値化した時の数字が周波数へ転化された時、数字が同じである事と発音が同じである事が、意味が違う言葉を同じ発音で繋げる言語が氾濫する多国籍国家、多国籍都市で、バビロンの大娼婦が言葉の違いで生み出される夢の中で苦しむハーフを誕生させる時、その心、世界の闇を晴らす為に、ロゴスの神が、言葉の誤解を解くのでしょうか……。

 同じ発音だけど意味が違う単語の誤解を解く方法……。

 ユダヤのカバラの中でパロノマイアと言う方法……。


 私と流花姉さんの父親・・・・・・。

 セント・エルザ・クルセイザーズと言う昔の小説の中で、天草四郎の末裔とされたか、北斗七星をギリシャ語では「ヘ アマクサ」と言うそうです。

 北斗の反乱が九州で。

 そして大陸へ琉球拳法が琉球唐手なら、世界で初めて武器を捨てた平和国家だった琉球王朝が、武器を使わず、素手で戦った時、その骨法の形が見えてきます。

 拳を鍛え、その拳骨で衝撃を相手の骨に与えた時、その部分の骨の有機物は炭素14と化し、その放射線ガンマ線が5730年を経過しないと半減しない事は、炭素14が集まる癌の部分の半永久のエネルギーとして、世界と個人の肉体に残存する因縁となって、腐れ縁を未来に作るのだそうです。

 空雀さんの苦しみ。そして対応する誰かの苦しみ。

 天の空で舞う雲雀ひばりの囀りを大地で聞く時、私達は……。

 ネットのクラウドの先の舞台で歌う方を手元に引き寄せる個人の端末の中、私達はどう、存在同士の関係を偶像として見つめるのでしょうか?

 個人の生活のパーソナルとソーシャルが一体化した現在、お互いがネットでテレワークする形だけが継続するようになった時、人間関係の穴倉はお互いを認め合わないのでしょう。

 自分より綺麗な存在を認めない方々。自分より能力ある人間を認めない方々や、アフリカで金メダルランナーより速く100mを走る方が多く存在するだろう事を考えないと、世の中の驚異の凡才は発見出来ないのでしょう。

 臥竜と鳳雛。


 龍は機会を伺い、雛は大事に守られる……。


 甲乙龍之介こうおつりゅうのすけ…。


 明王乃白瑠あきおのべる……。






【最終幕へのステップ1】


 小説同士の合体。小説が『想像国家』として存在しているというシナリオの小説。《ベベルゥ=モード》は、空雀さんと専属契約を結ぶ事で合意した。それを出版する会社として、ある大手の出版社に出資して貰い、新会社を発足。ファンタジー文庫シリーズとして出版する事を決めた。それは作家さんに許諾を求めて、救われなかった登場人物を救う別視点の物語を書く事。

 外伝、つまりある作品のサイドストーリーとして、悲劇の登場人物を救う出版社が賞を募集。その小説を読んだ読者に広く書いて貰うというスタンスだ。

 事務所の中で僕達は会議を開いていた。


「運を操るのも魂の成長だと思うようにもなりました! 天国に入る為のね! 例えば貧乏神」

「金持ちになり贅沢を味わって天国に入れなくなるより、貧乏神に取りつかれて、苦しみを味わったからこそ天国に入れるという救い方です。キリスト教の天国は貧民のものだからね」

「なるほど。一切の私有財産を廃し、共有財産を用いるエッセネ派のクムラン教団。死海文書の教団ですね? イエス・キリストの支持母体ともされる……」 

「だけど福祉活動をすれば、その貧民を救う救世主になれると思う」

「確かに……。楓さんの言う通りだ」

「エッセネ派のクムラン教団が秘匿していた死海文書。エッセネ派と同系のエビアン派と言う戒律集団。彼らの名前エビアンはエビオンとも言い、地中海のパトモス島やサントリーニ島付近の火山島。地中海の洪水神話とアトランテイス崩壊を記したプラトンの書。プラトンが師事したソクラテスは、無知の人だった。最初分からない事象について自分より高位の学者に答えを求めたが、その後自分で学び、その学者を超える知識を得たソクラテス。だが、ダイモーンと言う存在に悩まされ、市中を徘徊する夢遊病者として独り言を呟く彼を密告した市民により、死刑となってしまったソクラテスの弟子だったのが、プラトンだった」


「アトランテイス大陸崩壊のサントリーニ島の伝説と、地中海の火山島のパトモス島やエウボイア島……。そのエウボイア島の別名がエビアンだった……」


「!」


 編集長がバチカンから来た使者だと言った人がいた。


「エウボイア島に大洪水後に入植したヘラクレスの子孫のドーリア人とイオニア人がアルファベットを考案したとされている言語学の通説と、そのエウボイア、エビアンをアルファヴェット4文字で真の発音を隠したイオニア人、ドーリア人」


「エウボイア、エビアン……。Y H W H のテトラグラマトンの真の発音だって言うの……?」

 小桜さんの言葉。

「ヘラクレスがアトラスと仕事を交換した時、アトラスが背中で背負っていた地球をヘラクレスがサントリーニ島付近へ地軸が移った事で、仕事を交換したと考えると、南極としてのアトランテイス大陸説が元々あって、その南極から地中海のギリシャ付近へ地軸がシフトした時に大洪水が起きたと考えられる……」


「編集長、そのエウボイア島がエビアン島で、ユダヤの戒律派のエビアン派?」


「フランス語でエビは水。アンは天。天の水の物語はシュメール神話でエヌマ・エリシュと言う言葉。シュメール神話で最も神聖な言葉がそのエヌマ・エリシュだったそうだ。エヌマ・エリシュは天の水。天から降ってきた大洪水。天の神。アヌ=アンが降り立ったというなら、地球と月の引力関係が、月の自転を停止させた時、地球の自転も停止した。その時、月の異常接近がロッシュの限界を超えた時、月の半壊し、内部の水が地球へ降ってきたとする光景は、まるで松本零士先生のSFアニメの宇宙戦艦ヤマトのラストエピソード映画だった1980年代のストーリーで、アクエリアスから地球へ流れ出す水の奔流のようだったろう……」


「……」


「我々はYHWHの発音の別の捉え方を主張するだけで、言い争いをするつもりはないが、もしこの発音の解釈の仕方に問題があるとされるなら世界的な問題になる事は事実だ。だが、こちらの主張を通すだけで、敵対するようにあちらに対する誤発音などとする攻撃など掛けない方がいい。相手次第だ」


「そうですね……」


 僕は俯く。


「母音は日本語では5つ。半母音を含めた時、発音を聞き取りにくくするのは事実だが、実際にエビアン島、エウボイア島が存在し、そこでアトランテイス神話のモデルとされたサントリーニ島がある事実。黙示録を示したパトモス島のヨハネが知った神の発音が、パトモス島付近のエウボイア島の歴史から理解出来たとも考えられるのね……」

 小桜さんの目線は上を向く。鼻の下にボールペンを挟んでふくれっ面をするような表情を見せた。

「YとIとJ」

「釣り針ですか? Jの文字……」

 僕は下手の横好きでルアーフィッシングをするが、テンガロンハットのベルサトリ編集長はフライフィッシングをする。

 小桜さんは面倒臭がり屋なので、大きな金槌持って、川の中の岩をぶったたき、衝撃波で魚を浮かす。

 びっくりしたなあ、もう・・・・・・。

 誰も言わないが、小桜さんなら当たり前の行動だったからだ。

 性格から予想される行動。

 予想外の行動。行き当たりバッタリ。

 一番怖い想定外の特異点。

 4つの物理学の法則が生じる前に、全部が収縮した卵の世界。

 特異点がオウガストにあるなら、オウギュストであって、アウグストウスであった8月の皇帝と、7月の皇帝=ジュリアス・シーザーが、ジュライである7月の皇家として天地を逆さにしても、僕のスカンピンの財布からは何も出てこない。

 編集会社の給料も雀の涙なんだから……・ 

 寒いんだからさ・・・・・・・・

 ふところ・・・・・・。



第十二幕 了 





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