第十一幕 昔応募した剣劇文庫小説大賞落選作からロゴスベクトルが変わった……

 

 楓さんの心の声を僕は知らない。

「断るなよ! 乃白瑠! こんな美人何処探したっていないぞ!」

 皆がやいのやいのうるさい。

「此処は二人に任せよう!」

「ほら、アンタも行くのよ!」

 麗ちゃんが、楓さんを外に連れ出す。

 一体、僕はどうしたらいいんだ。今、僕には想い人がいる。一人と半分。百合城小雪さんに、愛王楓さん。僕は断るべきだと思う。しかし……。


 僕達は隣にある守谷市高野小学校の校庭を見下ろせる高台で少し話をした。

 高野は昔平 将門公の出城だった今ん城があった場所だ。将門公はこの高野の地に海禅寺を開山し、守谷を信仰の中心地とした。

 将門公の家系が代々受け継ぐ相馬小次郎の名前。

 守谷市は北相馬郡守谷町として郡制度が敷かれていたが、2002年2月2日に市制に移行した。その2月2日とはソロモン神殿が建設された日にちでもある。ソロモン神殿があったエルサレムの山が、モリヤ山。実際に旧約聖書創世記で、アブラハムによりイサクが奉献されようとした山の名前だ。

 相馬小次郎。彼の息子で将国公は信太小太郎と言う。将門公が反逆し、その後討ち取られた時に、落ち延びた子供が平 将国公であって、逃げた先の信太郡は、現在の茨城県土浦市、桜川近辺だ。その土地が信太郡と言い、そこで彼は信太小太郎を名乗った。その信太小太郎の子孫である相馬師常公がその後、この守谷を奪還した。その師常公がこの守谷の土地を奪還するまで、この地は平 貞盛公の子孫が支配していた。

 貞盛公の子孫が伊勢平氏であって、天皇家を足元に置いた平 清盛公、織田信長公もこの伊勢平氏の家系だった。

 藤原道隆公の娘が中宮定子様で、清少納言は彼女の側だ。

 藤原道長公の娘が中宮彰子様で、紫式部が道長公側だった。

 道隆公の庶子が藤原道宗公であって、叔父の道長公に恐れられ、殺されそうだったその道宗公は、藤原家の家臣団と一緒に山に捨てられた。隠れ住んだその山のサンカ一族の棟梁として乱裁道宗公としてサンカ中興の祖となったが、道長公に仕えていた安倍晴明公とは敵対関係にあった。

 将門公が京都に在京していた時にもうけた山賊としての茨木童子の存在と、安倍晴明公が実は将門公の息子の将国公だったという説は実際にウイキペデイアで「平 将国」で検索すると出てくる説。

 茨城県中西部に安倍晴明記念館があるが、安倍晴明公の出自説の一つが常陸出生説として知られている。

 そして将国公が信太小太郎と呼ばれ、信太郡と言う土浦市、桜川近辺の土地で再起を図り、その後守谷を奪還した相馬師常公の祖先だった事。

 信太の森に棲んでいたとされる狐を母とする安倍晴明公と信太小太郎の存在。

 安倍晴明公が河原者を従者にしていた事とサンカ中興の祖であった乱裁道宗公が山賊、樵、林業従事者を従者にしていた事は、海上一族が利根川河口に海上郡として存在し、その千葉県銚子市を昔海上郡飯沼村と言っていた時代と、利根川を遡源すると群馬県帝釈山地に行きつく事。

 海上から川上、山上への河の源流をたどる時の帰巣本能は、鮭が回遊魚として成長する為に海へ出て、そして帰巣本能で川を遡る事。

 故郷回帰。原点回帰の為の源への流れは、大陸へその源流を求める事と同義だった。

 利根川の刀祢とは、賀茂神社の神官を意味する。徳川家が昔賀茂松平家だった事。賀茂の神官八咫烏の家系と、高賀茂、下賀茂、と賀茂家の家格があり、あの孔雀明王の咒を使った役小角は高賀茂一族だった。

 刀祢を遡る帝釈山地、帝釈天を祀る浅草柴又の浅草寺と、昔利根川が江戸湾に注ぎ、江戸時代初期に惣代官の一人伊奈忠次公が利根川を飯沼村へ注ぐ河川工事を行った。しかし現在の利根川の河流と昔の流れは別にあった。川幅もそれ程広く無かった故に、無理に渡ろうとしても別にどうという事もない川幅だった訳だ。

 帝釈山地を源とする利根川と賀茂神社の神官を意味する刀祢(刀禰)。アイヌ語で長いという意味のトネが利根川の語源となった説と、野毛崎の毛は毛沼王国のケヌであって、神武天皇の兄の名前のミケヌにちなむ毛野(毛沼)王国があった場所がこの関東地方だった。昔霞ヶ浦近辺は内海と呼ばれる場所で沼沢が多い場所。その干拓で現在の土地があるのだが、干拓された沼地を新田開発した時に、その良いコメが出来るのは至極当然の結果だ。

 だから干拓された沼地後、全国で飯沼と呼ぶ土地名になっている事も苗字の由来である。

 昔、平 頼綱公が長崎頼綱公として北条時宗公に仕え、そしてあの景教徒アキバが元の使者として来日した時に、時宗公の面前に切り捨ててしまっている。

 蒙古来襲とその北条時宗公の時代の長崎頼綱公。その内管領だった頼綱公の次男の名前が飯沼助宗公を将軍にしようとしたとして謀反を問われて滅亡した頼綱一族。

 その当時の日蓮上人は浄土宗と敵対した。西方浄土を求める大陸への帰巣本能と大陸からの侵略者を撃退する為に、西を崇める浄土信仰を排斥したのが日蓮上人だった。

 東方浄瑠璃世界の薬師如来を本尊とする天台宗の根本経典である法華経と、阿弥陀信仰の西方浄土。西と東へそれぞれ向かうベクトルはその南北への争いから逆転し、南朝と北朝で争う町はそこで世界を逆転させる火種を孕む場所になってしまうんだ。

 西から太陽が昇り、東へ太陽が沈む。

 沖縄、琉球ではニシの言葉で北を示す。ニシと言う発音が北を意味するのだ。

 だから琉球語の発音でニシと言って指さす方向が北だった事。首里城の向きが大陸へ向いている事。沖縄から西を向いていた城と、大陸の中華の首都が北になった時、中華が戦乱で西の方角に中華があったり、北へ中央が移った時、その琉球語が変遷した経緯と琉球文明の発祥の時期も少し特定出来る要素ではある。

鹿島神宮の拝殿の向きと出雲大社の拝殿の向き。日本を四方で囲む神社が、神道信者として公称9000万人いる方々が、四方から頭を下げる事で防御する日本を守る結界は、その大きな社の鳥居を潜る事から始まる。鳥居の高さで参拝客の頭上の回線が同じ高さで整えられた後で、そして東西南北へ二礼二拍手一礼の基本的な礼拝の形を取る。

 西方浄土信仰の芝増上寺を菩提寺にする徳川家と天台宗東叡山寛永寺は東方浄瑠璃世界の教主である薬師如来を東照大権現として祀る。

 家康公を東を照らす太陽としながら、浄土宗の西方浄土を信じる都市江戸で、東西が分離した時に、イギリス側とフランス側へ日本が別れた幕末。維新軍のイギリスと幕府側のフランス。

 フランスが東へ向かわない原因を作ったアンゴルモア。蒙古の遊牧民タタール人が中世フランスまで来襲した歴史。フランスは西へ向かい新大陸への援軍を出した。アメリカの盟友フランスと、アメリカはイギリスから独立をした国である事は、イギリスが東向きへの航路をイエズス会と同じように、インド、フィリピンと東南アジアへ進出した。ビルマの宗主国だったイギリス。ビルマはミャンマーであって、あのビルマの竪琴と言う映画が実話であって、その水島と言う苗字の兵は復員兵として日本へ帰国した後群馬県北部の寺の住職になっていた。

 ビルマとベトナムの緩衝国だった仏教国タイランド。ベトナムの宗主国はフランスだった。北部ベトナムがソ連、中国、第五共和制社会主義国のフランス側で、南部ベトナムがアメリカ、イギリスの資本陣営側だった。

 東西の争いが南北を分離させての内紛。

 ベクトルが逆転した時に垂線として垂直に交わる軸も逆転する……。


 平 将門公を神田大明神として江戸の守護神にした徳川家康公。螺旋状の都市計画は京都の方形の形を碁盤目状都市計画でない理由。エネルギーの集中を電位差として中央に集める時、人が歩く道を導線として流す大地のエネルギーは実際電位差が大地に存在するとその電圧の差から電圧が低い方への気は、龍脈は流れる。その電位差が地震へ繋がる時の予知法をVAN法というが、ギリシャで行われた予知法だった。

 電位差を集中させる螺旋の都市がエネルギーを内部に溜めた時、その封印が解かれる。それを待つ存在もいた、のだ……。

 将門公の封印……。

 神田大明神と一体化した将門公。

 筑波から流れる龍脈は江戸の銀座を通り、狂科学とされる手法で解釈されるなら、日本から香港へと流れる電位差の流れは、恐らく、その共通の等高線の高さを通す電位差だろうが、利根川が分断した筑波から江戸への龍脈の迂回路へ流れたその狭い導線は、鬼怒川と利根川の合流地点だったろう。

 将門公が信仰の中心とした守谷でその鬼怒川と利根川の三角州を形成する合流地点……。

キヌ川。絹川。衣擦れの静電気は、十二単衣を纏う貴族の肉体を帯電させる。雷が伝導体としての人間に落ちやすいのは当然だ。

 五重塔より高い建物を作ってはいけない景観条例。避雷針としての祇園祭りの逆矛は、通常の伝導体としての逆で落とさせない。生命の樹の柱を根と梢で逆転させるようにだ。

 柱の向きを樹だった時の天と地を逆転させて家に使った時、その柱の上下の向きが家の内部を異空間にする時に、霊障として、電位差が逆転、また逆転と相互作用で外部空間と逆転させるなら、根本の原因が、家の木材で使う柱の向きによるかもしれない。

 縦木と横木。イエス・キリストの杭打ち刑がT字型か十字架型か、ただの杭なのか?

 横木の向きが天と地どちらに向いていたのか。

 ロンギヌスの槍の長さ。その長さで刺せる高さと右脇腹の位置。白内障を患っていたカシウスでも判断出来る距離。

 逆三角形のT字型重心としての三角形の斜辺の角度が鈍角だった場合に、その重心の位置で、自重でも掌が破れずに支えられる角度。Y字型で掌の位置が頭より高い。

 手の穢れを頭上にする事で穢れを浄化するなら、一度意識を失う事で手の穢れを祓う。手を上げて目を閉じる。

 自慰行為の手の穢れ。神棚に礼拝する早朝。また木や金属へ移す為の杖。また、動物へ穢れを移す神殿で捧げられた山羊。

 ヘブライ神殿では山羊に自分の穢れを移して荒野へ追放する。その生贄のアザゼルがサタンともされる。

 高野では誰もいない。相手がいない。雌を何頭もハーレム状態にする山羊も相手がいない荒野で性欲が抜ける。

 断食修行で電子伝達系でエネルギーを作る為の水が無い。光で目覚めるミトコンドリアのイブは、人間とその時のイブを同化させた時、自分がアダムと一体化すると考えれば、第二のアダムとされるノアや、イエスにしてみても、ミトコンドリア・イブを目覚めさせる為の断食で光を感じ、そして暗闇の岩穴で対流しない空間で二酸化炭素を吸収し、そして光合成の栄養素としての二酸化炭素を吸収するクロロフィルを目覚めさせる時、肉体は栄養と不要物の交換を自在にする変異体に変える時に、奇跡の人となった人……。その手法を学び、その通りの実践をする為の信仰心で、その方法を信じた人がそうなったなら……。

 ばかげた事と笑われる事でも信じた人が勝った事の証明でもあると僕は思った。


 江戸の封印を解いた事で大災害となる近代史伝奇小説「帝都大戦」を書かれた荒俣先生の中でも、平将門公の怨念は根深く書かれている。

 現在の財務省の脇にある将門公の首塚。現在も活躍しているお笑いコンビの片方が

その首塚を蹴飛ばした事をテレビで告白していたが、その首塚を戦後ブルトーザーで壊そうとした駐留米軍総司令部だったが、その重機は横転し、搭乗者は亡くなっている。

 財務省。江戸幕府の金座、銀座は、関東地方が金本位制度で、関西が銀本位制度であって、その貨幣の鋳造とレート交換をしていた中心がその金座、銀座だった。

 お金に纏わる仕事に従事していた方々を管轄していたのが、藤原弾左衛門一族だった。弾左衛門一族が管理していた不浄なものとされる金銭。

 金本位制度の関東と銀本位制度の関西で、関西が天下を取っていた時代が長いから、関東の金山が枯渇せずに済んだとしたら、最終的に流れが関東の政権になったのは至極当然だったろう。

 江戸時代に伊達政宗公と家康公が奥州遣欧使節をルイス・フライ・ソテロを正使に、支倉常長(実際に支倉常長が名乗っていた名前は支倉長経の名前であって、系図上だけに見られる常長の名前。宝島社の「支倉常長異聞」の中で紹介されている説だ)を副使にした使節団が、もし奥州の地に太平洋に面した外港で貿易を行っていた場合、ノバエスパニア(メキシコ)のチワワ銀山の銀を鋳造した銀貨と金貨の交換で、江戸時代に関東の金本位制度を支えた奥州、甲斐の金山で採掘された金は海外へ流出していたろう。実際レート交換で銀貨を金貨と等価とした時のレートの差は海外へ有利だった時代だ。

 銀貨30枚を金貨1枚とするレート交換なら、金貨1枚に対しての30分の1の銀貨。収税人のマタイとイスカリオテのユダ。

 マタイ伝で、イエスの先祖にソロモン王がいるが、医師であるルカ書ではナタンとなっている。ナタンの父はダビデ王であり、ダビデの子であって預言者でもあったナタンを祖としたのが、ルカ書のイエスの系図だった。

 ソロモン王は、ダビデ王が不義密通をした女性バテ・シバが、最初の子供の死産の後で、産んだ子供だった。

 ダビデ王の不倫を父の替わりに許しを請うたのがナタンであって、ダビデ王がバテ・シバと不倫した後で戦地から呼び戻された夫のウリヤは、一晩妻と寝た後で戦地に戻され、最前線の場所で戦死した。

 その後で生まれた子供は死産となり、その後後宮に迎えられたバテ・シバが生んだ子供がソロモン王だったのだ。

 ウリヤにしてみれば、ダビデ王家を呪う当然の怨念がある。ただ愛する妻だったバテ・シバが生んだソロモン王に対しての思いが複雑でもあろうが、ソロモン王の家系を二通りの口で呪ったかもしれない……。

 武田信玄公に滅ぼされた信州諏訪一族。諏訪氏は諏訪大社の神官一族で、その当時の当主の娘が、武田信玄公に父が殺された後で妻として武田家の中で諏訪四郎勝頼公を生んだ。

 平 清盛公は源 義朝公の妻だった常盤御前を義朝亡き後に妻とした。義朝公と常盤御前の間に生まれた義経公。

 権力者は昔も今も、ライバルの美しい妻を、奸計で夫を殺し、その後で寝とっていた訳だが、その王のハーレムを壊し、一夫一婦制度を宗教基盤に置いたキリスト教が王室や家族を救ったとするなら、美人の妻に浮気をして欲しくない男性と、権力や財力を持った男性に浮気をして欲しくない妻。

 浮気相手は、本妻の子供を殺そうとし、また連れ子を虐待する男性だったり、家族関係、兄弟関係、憎しみ合う親子関係が、そのまま王家同士の憎悪→戦争へと発展した歴史。

 母親違いの子供同士を繋げる父の子の概念は、ユダヤを母系家族からキリスト教の父系家族へと変えた。

 ダビデ王のルーツであるルツとボアズ。非ユダヤ人の女性だったルツとユダヤ人のボアズの家系が、ダビデ王のルーツだった。

 母方のミトコンドリアの突然変異を受け継ぐ人間にとって、ミトコンドリア・イブを遡る母系家族を代々守ってきたヘブライ人、ユダヤ人の一族は、人類の根原種を辿る時の生命の樹となる。

 ミトコンドリア・イブと肝臓の関係は、イエスの右脇腹の肝臓がロンギヌスの槍で刺された事と、ブルータスの裏切りは想定していなかったシーザーが、こいつは裏切ると思っていたカシウス・ロンギヌスの名前を持ったカシウスが持っていたロンギヌスの槍で刺されたイエス。

 ジュリアス・シーザーと愛人クレオパトラ7世と息子シーザリオン。

 クレオパトラ7世は自殺する時に、毒蛇に自分の乳房を噛ませた。

  クレオパトラ7世の本当の夫は、プトレマイオス13世で、彼女の弟だった。

 王家の中での近親婚は突然変異を生む。

 肉体、精神のシンクロ関係は、肉体を、また脳の障害を生む。近親婚こそ愚挙だった事を忌めしめ、日本でも天の罪として同母腹の子供同士のまぐわいを禁止した。

 女性が精神のシンクロを赤い糸だと思い込むのも、愚かしい心理である事は各方面の科学が論じている。

 実際群れから離れたはぐれ狼が健全な遺伝子を他のコミュニテイーに残す事は知れている。

 同じ小さな集落の中での近接な遺伝子関係でのシンクロなど当たり前であって、その中で血を濃くする事は余計遺伝子の変異を生むなどもはや常識である時代に、今更赤い糸だの、シンクロなど言っている方がおかしいのだ。

 同調する遺伝子の部分で変異が起きるのにだ。


 眼鏡をかけ……。

「眼鏡はかけないで下さい。私、顔で決められたくないんです」

「そ、そうですか……」

 それは困った。

「あなたは、小説家を目指しているそうですね」

「はい」

「ファンタジーですか?」

「そうです」

「私も小説家を目指しているんです」

「ファンタジーですか?」


「……いえ、純文学です」


「悲撃文庫ですか……」


「敵どうしですね」


「はい」


「空雀という仏の僧侶で小説家を知っていますか?」


「はい。守谷出身の僧侶の作家ですね?」


「私、その人と会った事があるんです」


「どうでした?!」


「剃髪していない、普通の人でしたよ」


「それで私、その小説から生まれた想像国家に行ってみたんです」


「赤い右目の眼鏡レンズと青い左目の眼鏡レンズ。3D眼鏡と同じなんですね? 色が違う猫の目って……」


「……」


「左右の目の色が違う猫と目を合わせると、飼い主の目も逆転しますよ。東南アジアの霊猫と言われるのも、左右の目の色が違う猫のように、化け猫、人をおかしくする猫。精神の混乱も相手の目によるものが大きいです」


「……」


「乃白瑠さん……」


「はい」


「あの乃木希典大将は左目が見えなかったそうです。小さい頃母親と喧嘩し、母親が投げた物が乃木希典さんの目に当たって失明したんだそうです」


「霊に騙されない目。相手の目に惑わされない目。忍者の分身の術破りをして、本物を見分けた柳生十兵衛光巌さんは左目か右目を失明していたとされます。伊達政宗公の右目が失明していたと言われているけど、実際瑞巌寺の御遺骸で政宗公の眼窩には傷が無かったそうです。自分で右目を小刀でえぐったとする逸話が本当なのか、それとも別人だったのか、それとも疱瘡で右目が失明しただけなのか……」


「デイスプレイの画面から電磁波が出ますけど、眼鏡は有害な紫外線を通しません。ガラスが紫外線を通さない事実と、ガラスが電磁波をカット出来る事実と、望遠鏡でバテ・シバの水浴びを覗いたダビデ王と、その望遠鏡が上下逆さまに映っていたその当時の望遠鏡。倫理が逆転するのも、天地をひっくり返したからなんでしょうかね? 天地無用とは物流用語で、上下を逆さまにしてはいけないという事ですが、天地無用でジュライ王家がジュリアスの7月で、ユリウス暦の太陽だった女性が、エジプトの太陽女王だった、クレオパトラ7世であって、陰暦と太陽暦の合体が日食を基準に作られる暦道と陰陽道だった事。そして30日と1日。31日がある月、1月、3月、5月、7月、8月、10月、12月。奇数月が31日が多く、偶数月としての偶数は陰の数字、女性の数字であって、陰が先か陽が後なのか? それとも陽が先で陰が後なのか……?」


「陰陽道では、偶数の後の奇数で、4-3なのか、4-5なのかは、減算では1か-1となるのですね。(4)-(5)の各項を2乗した時、(16)-(25)=-9。-1×3の2乗は、(-3)の2乗=9で、イマジナリー数であるiは、想像するイマジンの数。仮想した任意の数字を2乗した時に-1となる事は、隣り合った数字を2乗して減算した時の答えを根乗し、√で囲った時の数字。この場合の偶数4に対しての奇数3として4-3の次元数を下げる為の微分と、次元を上げる時の積分をする時に、乗数を一つ下げ、また上げる計算と関係ありますね」


「-1の階乗の問題だと0になる、0に一応しておく事は、5の階乗が1×2×3×4×5であるから、-1の階乗を-1×0×1とした時、0を掛ければ必ず0になります。-1 0 1 は電位差として+eの陽子と-eの電子。水素は不安定な元素で中性子が通常ないんですけど、核融合の燃料になる重水がは中性子を持つ重水素で校正された水。海の中の深層水として存在する重水が、ある切っ掛けで核融合する水へと変わった時に、地球の海は火の海になりますよ。鳴門の渦潮。薄塩のポテチはおしいですけど、鳴門の塩や赤穂の塩。三河の吉良の塩。あの赤穂浪士のもめごとも、最初はおいしい塩の作り方を吉良上野介殿が浅野長矩殿に尋ねた時に、藩の重要な産出物である赤穂の塩田の塩の秘密を教えなかった事から始まってますよね?」


「そうですね。僕の父親は、昔ゼビウスの無敵コードを友達から尋ねられた時に教えてあげなかった事を後で反省してましたよ……」


「ゼビウスって?」


「ファミコンの往年の名作ソフトで、あのナムコが作ったシューティングゲームです」


「なんにでもゲームソフトを開発する時に、絶対に死なない主人公のコードが存在します。最強で最後までプレイして、バグがあるかないかをチェックする為ですが、そのバグ取りの為のテストゲーム。そのコードは、テスト段階で隠されますが、その最強コードのキャラクターがネット上にデータで残され、そのコードの反転が最終ボスへ転化される時、天の分子と地の分母はひっくり返され、ダビデ紋としての三角形と逆三角形の分数と逆数として存在した時、30分の1と30の関係は、ユダ族の数字である30がそのスペルを数値化した時のゲマトリアで、ユダの30を分母にし、ユダの子としての分子1か、それともその逆数なのか。亜鉛の元素番号30と、亜鉛欠乏症は味覚障害を生みます。亜鉛の30と30日の月の運行がある月……」


「今年は閏年で一日ずれるけど、29日ある2月、4月、6月、11月は30日の月ですよね」


「ミクロな量子的な軌道は、電子軌道殻がそれぞれある原子と、天体軌道を分割する引力関係で、地球を公転する月が29日か30日か、31日かで角度分割するマクロな計算と、電子軌道のそれぞれの合計数で電子数と元素数のエネルギーの中和を図るミクロ的な視野での計算か……」

 小雪さんの横で、僕は顎に手を当て俯いた。

 ある二人組の歌手の歌で、「俯き歩くその癖は 今もあの日のままだね」と言う歌詞がある。

 冴元大臣の娘さんがおられる。

 そして百合城小雪さんと言う女性が僕の想定横にいる。

 二人の声が似ている。

 小雪さんが座っていた席は、大江戸ノベルズ学院の教室で、僕の左横だった。

 今僕の右に、大臣の娘さんがいる……。

 

 翼を広げた小雪さんと、折れた翼を持つ堕天使。平和の鳩と、食べられる鶏。ヘブライの過ぎ越しの祭りで、ヘブライ神殿が壊された後過ぎ越しの祭りを行っていないユダヤ人は、一年の春分の日を過ぎ越す時に、鶏を捧げて、それを皆で食べる。

 鶏の鶏冠。人間の脳の天辺には松果体も存在し、額の第三の目と同じように、光を感知する部分がある。弥勒菩薩の肉髻とは、頭の天辺の盛り上がりで、その部分の脳が増殖した証拠だろう。

 赤い光を感知するクロロフィルaは植物の葉緑素。ミトコンドリアも植物性細胞として外界に存在し、動物細胞に吸収された。

 食虫植物は、自分に動物細胞を取り込む。生きた植物は、その中に意識体を閉じ込める。癌細胞を取り出し食虫植物に捕食させ、その植物が合成したアミノ酸を使って個別な癌抑制剤を作製できる可能性についての論議は、機能昼間から明日まで生でダラダラ討論テレビでやっていた。出演者に猫耳バニーガールがお茶を運んできていたが、ドイツ人が嫌いなほうじ茶の成分は、少し赤く茶色がかったお茶で、紅茶やウーロン茶のように少し発酵させたお茶だ。緑茶と違うが、ドイツ語でクレブスとは癌を意味し、蟹を意味する。クレブス回路を持つ電子伝達系を持つのがあのミトコンドリアだ。キャンサーも英語で癌と蟹を意味する。赤い色素を持つアスタキサンチンは、癌抑制に繋がると言う……。


 赤い色と青い色の眼鏡。青+赤で紫となった狂気のセクシャル・バイオレットなんだろうか……。

 僕は眼鏡を掛ける。掛けた。掛けた。ピントが合う。……えっ!


「乃白瑠さん」

 弾んだ声。ニッコリ微笑む彼女の姿に僕は唖然とした。


「小雪さん!」

 

 そう、そこに居たのは、紛れも無く僕が好きな相手、百合城小雪さんだったんだ!


「小雪さん!」


「あなたが、ファンタジー文庫を潰そうとしている冴元香梨亜教育大臣の娘さん?」


「そう。月泣文庫の所持者は、私」


「じゃぁ、あの小説『愛の箱舟』から生まれた想像国家の住人になって、月の為に泣いているのかい?」


「そう。私は、あの小説のヒロインの役を演じているの」


「じゃあ、主人公の事好きなんだ……」


「そう。世界の為に孔雀の明皇あみになった主人公、以前はちょっとHでね。破戒僧だけど、仁義に厚い、修行して阿羅漢になろうとしている。そういう男の人が好きなの。あなたに心から命を掛けられる親友はいる?」


「親友ですか……」


「アブラハムは神の友人。阿羅漢はアブラハムの漢訳よ。あなたがいじめられっ子だったって事は知っているわ。そんな中でも、心を打ち明けられる友達はいる?」


「いや、まだいない……」


「じゃぁ、空雀さんと友達になってあげて」


「どうして?」


「その人が今、あなたを主人公にした小説を書いているからよ!」


「えっ?!」


「あなたを主人公、陰ながら英雄にしてくれているのよ! 今、読者が読んでいるこの小説でね!」


「まさか、この世界の上にいるのが空雀さんなのか! その空雀さんが書いている小説から作られた世界?!」


「私は、そこから来た。この小説に実際のヒロインとしてまた選ばれた。主人公が恋する憧れの人として……。そうでしょ。空雀さん?」


 登場人物と作者が会話している?


「ああ……。そうだよ」


「私のモデルは誰なの?」


「僕が想いを寄せている永遠の女性だ」


「悔しいけど、私、あなたがまだ好き。現実世界に帰りたい!」


「駄目だよ! 絶対行かせない!」


「乃白瑠君?!」


「僕だって、僕だって、僕だって!」


「僕だって、何?!」


「僕だって、小雪さんさんの事が……!」


「好きって言いたいの?! じゃぁ、何で楓さんと!」


「そ、それは!」


「何?!」


「小雪さんを誤解させて、二人の仲を裂こうという作者の事が好きなの?! 小雪さんは!」

 登場人物の反乱だった。


「空雀さんの事を悪く言わないで!」


「でも、これを書いている作者も自己弁護にしか過ぎないよ!」


「小説家は、時には神にも悪魔にもなり得るのよ! 子供みたいな事を言わないで!」


「そんなスタンスは僕は拒絶するよ! 僕は登場人物皆を幸せにしたい!」


「だから、新人賞を取れないのよ!」


「!」

 その一言は禁句だった。


「空雀さんとやら! 小説家! 僕達をいじめて楽しいですか?!」


「そんな事は無い! もっと成長してくれ、乃白瑠君。皆、登場人物の心理的成長が見たいんだ! 他人への怒りは他人へ自我を抑制させる事になる。犯罪抑制因子を植え付ける事は自分の怒りの制御から始まる。松果体が生み出すセトロニンが前頭葉を発達させ、前頭葉の発達は人類を高等知能化させた。時差惚けを治療するセロトニン。睡眠不足、睡眠障害は人間を怒りやすくする。前頭葉の未発達が怒りを制御出来ない存在となってしまうからだ。だから時差補正がある! 重力を補正する天と地を光が繋げる時、電離層を境界にして大気圏の高さと大地の最終点を相対性の座標で繋げる時に、天の世界と地上の世界が反転するかしないかは、光があるか、光がないか。地球の表と裏の世界が同一時空で存在しながらベクトルを反対にする時、お互いの土地に住む人間同士の結びつきは、混血種として内部に時差を抱える存在となってしまうのだ。そして新婚旅行でもな・・・・・・」


「僕は、殺人や麻薬、病気や事故で登場人物が死ぬなんて『悲撃文庫』は、純文学は書きたくないんだ!」


「平和な昼間の裏は犯罪が横行する闇よ!」


「皆が幸せに大団円になる小説が書きたいんだ! 小雪さんはファンタジー文庫の敵なんだね!」


「敵……?」


「全ての人が幸せなんて時間は一瞬だってないのよ! 皆が寝ている時間なんて……」


「寝ている時間に苦しみが忘れられる……」


「空雀さん!」


「もういい!」

 僕はその場を走って逃げた。


「逃げるな! 戦え! 自分の運命と! 自分に才能がないとわかったら、諦めるその勇気も必要なんだぞ!」


 わかってる! そんな事はわかってるよ!

「何の為に、この小説を一人称で書いてると思ってるんだ! 神の視点で描きたくは無かったからだぞ! 馬鹿野郎! いじめられて逃げるな!」


「お兄ちゃん! 何処行くの!」


「あっ! 乃白瑠さん!」

(乃白瑠さん、泣いてる?!)


 当分、乃白瑠さん話せないだろうから、私、愛王楓が記す事にします。

 乃白瑠さんは、泣いてました。何があったかは私は知りません。

「あれ、乃白瑠は?」

「あ、お母様」

「お見合い失敗したのかしら?」

「……」

「ところで楓さん。あなた乃白瑠が好きなのにごめんなさいね」

 やっぱり見透かされていた!

「え、は、はい……」

「乃白瑠の為にあなたにも幾つか協力して貰いたい事があるの」

「何です?!」


 物語のロゴスベクトルが、乃白瑠さんから私に変わりました……。

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