すべてが管理され、安心で満たされた都市の物語。そこで生まれ、旅立とうとする者と留まる者との会話を通じて、「安心」と「幸福」がかならずしもイコールで結ばれない、だれもが知っているけれどもわすれがちな事を思い出させてくれる。そして不確定な未来(それはすなわち「不安」でもある)を生きようとする者に相応しいのは「祈り」。たぶん、そういうことなのだろうと、思う。