第26話邪神龍

 仲間入りは無理じゃない?

 邪神龍でしょ?

 悪いイメージしか浮かばないんだけど?

「ん?そうでもないよ?」

 私が会った時は人間の姿の結構カッコいい男の人だった。

_龍関係ねぇじゃん。


 いや、そうでもない。

 先ほども言ったが、人の姿の方がソーマの循環率が高い。

 あえて彼は人であることを選び神殿を護っている。

_なんでそこまでして人に肩入れするの?

 別に肩入れしているワケではない。

 中立なだけだ。

 ってことはこの話はマジ?

「確かめにいこうか」

 私達はアリエスさんの案内で近くの龍貴晶を調べにいくことになった。


 龍貴晶は未代の新天地の仕組みを取り入れて、そこに現代のいざこざを組み込んだものだった。

 未代の新天地とは古代アストピアの時代を描いたもので、そこには人間の姿はない。


 _昔ゲームとかでよく目にしたな。

「カナちゃん。ホームシック?」

 鋭いな。ティさんは。

 いわゆる神話とか幻獣とか言われるものが当たり前にいた時代の話を描いてある。


 壁画の内容は時代の行く末を愁いている幻獣たちと、祭壇に安置される紅子結晶リットミールが砕け散るまでの顛末など、ここに描かれている内容は現代人の知識には及びもつかないものであった。


 その絵画の仕組みを元にして、龍貴晶は組み上げられていた。

「アリエス様には到底及びませんが」

 私は「未代の新天地」の方は見たことはない。

 だから軽々しく言うことはできないが、きっと想像もつかない何かがそこにはあるのだろうことはアリエスさんのソーマを視ればわかる。

 この人は規格外だ。

 その彼女が邪神龍を頼るというのだから信じる外ないだろう。


「邪神龍様はいつからそこに?」

 いつからというのは正確ではないな。

 言葉の通り邪神龍である彼はここに発生した生き物だ。

_!?

 お前達はイヴについていかほどの知識がある?

「私は今初めてです」「私は少々習いました」

 ウェイさんが珍しく被せてきた。

 イヴとは大気中に浮かぶ魔素マナと精霊の結合してできる一部の亜種であり、それを取り込んだ生き物に悪影響を与える。と聞いております。

「少し違うな」

 イヴとは生き物自身が持つバグのようなもの。

 いわばストレスだ。

 生命活動を循環しているだけで帯びてくるものだ。

「私とアリエス様はそれを研究してきました」

 長い時間、ここに比べれば大したことはないがな。

 ここでは1000万年かかった。


 アヤがいてくれればと何度挫けたことか。

 挫けても挫けてもアンシャルの体は挫けることなく生き続けた。

 その度に私はこの体はアヤの血を分けたものだと言い聞かせた。


くすんくすん


「アリエス様はそこまで私を、、、」


 よしよしと背中を擦るクマ。


 アヤ、それにリリアももう一度力を貸して欲しい。

 私にはどう頑張っても間に合わない。

「え?だってまだこんなに」

 シッ

 カナさん失礼ですよ?

 ウェイさんに慌てて止められた。

「いいんだ。アヤに会えたことが原因だろう。

元気を取り戻したのは。

だからこそ、二人にはここから一緒にいて欲しいんだ」

「ありが「ありがとうございます!誠心誠意尽くさせて下さいお願いします!」

 ちょっとアヤ。私にも、、、

 食い気味にくるアヤさんに押しのけられたリリアさんは何か言おうとするも、

「まぁしょーがないか」

 と引き下がった。

 それよりもうすぐ着くぞ。

 霧が晴れる。


 瘴気にまみれた辺りは暗く淀んでいてその空気圧が私達を迎えるように引いていった。


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カナかなダイレクト アキヅキ @aki-2ki

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