第25話先代魔王

 実は現在の魔王は二代目で、引き継ぎがあったそうだ。


 聖剣クィンルゥを携えた、現地勇者つまりはファーリア内で解決していたらしい。

「待って下さい!それじゃ話終わってるじゃないですか!」

_何と私が来る前に話終わってました。遅刻勇者!?

 二代目がいると言っただろ?


 カナちゃん落ち着いて、と末っ子が勇者カナの頭を撫でていた。

_それでいいのか勇者カナ。

「私は視ての通りもう何万年も生きている。

その私には当然イヴも蓄積していた」

 ウェイさんがまっすぐアリエスさんを見たまま「ストレスのことです」私、勇者カナに教えた。

「あまりに大きくなりすぎたイヴを体から剥がすため、私は一本の剣を打ちそこに瘴気しょうきを移した。

それがアヤが元世で出逢った魔剣グリスグロッサムだ」

_あぁ、私のそばにいつもいてくれたんですね。アリエス様は。

「私が彼を元素世界に移したのは、ファーリアよりも彼にとっては元素世界の方が過酷な世界だったからだ」

 本体をこちらで封印して、彼の分身を元素世界に置いていた。

「その魔剣を今は黒江が持っている」

_!

 どうしてその名を!

 それに黒江ってどういう、、

「魔剣グリスグロッサムは彼に従ったようだ」

 わざわざ封印を解いてまで戦いを挑み、封印の巫女まで引き入れて、彼は一体何者なのだ?


 封印の巫女?

「先ほども言ったように、グリスグロッサムは強大な瘴気しょうきを持っている。

それを封印するには相応のソーマが必要となる。

そのために私が紅子結晶リットミール生体鉱石クウィウルを合成して打った七つの神具を配置していた」

 それをクロエが破った?まさか!

 言っちゃあなんだけど、弱いよ彼?


 おそらく巫女を手懐けてのことだろうと思う。

 巫女は人の姿を取り、よりソーマを引き出しやすい状態にしてある。

 フッと鼻を鳴らして、

 男には少し刺激が強いかもしれんがな。

 七人全てを彼が使役したとは考えにくいが、

 一人手伝った者がいるのかもしれん。


「それならまぁ何とか」

 失礼ですよカナさん。


 この段階で佇まいを指摘されてしまった。

 アヤさんの方を見ると嬉しいんだろうなぁそわそわしていた。

 クマ、いやリリアさんにあっちは指摘されていた。

「クロエには何か考えがあったんでしょうか?」


 お前達はもう知っているか?

 祭壇の立つあの山を。

「あぁあの初期ダンの?」

 ティさんそんな喋り方で!

「あれは初期ダンではない」

 い!?

 ホームタウンにくっついてたよ!?


 初代勇者が真っ二つにしたラスダンの下半分だ。

 あぁ、だから雑魚が弱いんだ。

 違う違う!勇者何してんの!?

「これから異世界勇者達で、ラスダン踏破のため、その裏山に登ってもらう」

 山多いな!ここ!しかも連峰て!

「まぁまぁカナ、少し落ち着いて」


 そうです。ここの紅茶美味しいですよ?


 ウェイさん?お茶菓子口についてますよ?

 美味しいの紅茶じゃないんじゃない?


 ん?裏山と申しました?今。

「たしかに言った。そこに邪神龍がいるからだ」

 ちょッ先にそんなんと戦ったら魔王倒せなくなるでしょ!

「大丈夫。邪神龍優しいから」

 ティさんは何を根拠にそんな、、

「彼には仲間になって貰おうと思う」

 マジで言ってんの!?



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る