第2話
街道筋には、所々に小さな地蔵が
『どことなく我が庵に似ておるな』
心の中で
古びた本堂には
少しばかり足を踏み入れると、一面に生い茂る
近づくとそれは水の枯れかけた古井戸であった。
その先には、およそ誰も気づかないような小さな古塚が一つ。
一瞬、その古塚に何か不思議な気配を感じたが、ただ
「申し、里の人」
慈雲は、ふと面前を
明らかに
「ここは何と申すお寺か」
慈雲の問いに、その者はぶっきらぼうに「
在原といえば、伊勢物語などにその名を残す
ふと心に浮かぶ伊勢物語の歌。
『風吹けば沖つ
「ほう。その旧跡も、今は無住の古寺となったか―――」
やがて日も暮れると、空には
慈雲は古びた本堂を今宵の宿と定めると、所々に草の生える板間の上に静かに座し、夫婦の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます