エピローグ
私は帰ってきてしまった。
この残酷な世界……いえ、元の私の未来に。
あぁ……夢のような時間だった。本当はもっと一緒にいたかった。
でも、あの別れ以上の別れを私は知らない。
『二百点だ。さすがめぐみんだな』
もう、あの別れ方を覚えてしまった以上、普通の別れ方では満足できない。
あぁ……あぁ……あぁ……やっぱりもう一度会いたい。
会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい!
アクアとはもう使わないという約束でしたが、この魔道具でもう一度過去に……
「ようやく帰ってきたか」
「え?」
私が振り向くとそこには-----
「どうしたんだ?鳩が豆鉄砲を食ったような顔してるぞ?」
え?そんな……え?そんな……
なんで彼がそこにいるの?
その男はニマニマして意地汚く言ってくる。
「もしかして、会うのが数百年ぶりだから俺の事を忘れたのか?
おいおい、紅魔族随一の魔法使いは知力が高いんじゃなかったのか?」
忘れるはずがない。だってその人はずっと私が一緒にいたかった。
忘れるはずがない。だってその人はずっと私が好きだった。
忘れるはずがない。だってその人は生きている間は私の未来を心配してくれて。
「か、カズマ? ほ、本物ですか?」
「ああ、本物のカズマだよ」
カズマがいる!ここにいる!ちゃんと生きてる!微力ながら魔力も感じる!幻影じゃない!?
「な、なんで!?」
「お前が行った過去。そこで魔王が討伐されたんだよ」
「え?そ、それはこの世界でも」
わ、わからない。魔王はこの世界でも討伐されてる。
カズマがここにいる理由がわからない。
「実を言うとさ、魔王を討伐するとエリス様から何でも願いが叶うって言われててさ」
「そ、それは聞いたことがあります。それでカズマは『この異世界で暮らしていきたい』と願ったと」
「……だが、お前が行った過去の俺は違う願いをしたんだ」
「え?
カズマが力強く、はっきりした声で。
「平行世界だろうが未来だろうが、どんな世界でもめぐみんとずっとずっと一緒にいたい」
ってな。とカズマが続ける。
「あ、あれ?めぐみん」
バカ!カズマはバカです!カズマは!
あれ?過去のカズマがバカなんでしょうか?それとも平行世界のカズマ?
ああ、よくわからなくなってきました!
「おーい、めぐみん?」
「あなたはバカです!」
「え?」
「願い事が叶うのに、なんでも叶うのに!私のために使うなんて!本当にバカ!」
「はぁ……。あのな。これは俺のためなんだよ。俺がお前と一緒にいたいからだ。
お前が俺と一緒にいたいからじゃなく、俺がお前と一緒にいたいんだよ。
だから、これからお前は俺とずっと一緒な。今後絶対に一人にしてやらないからな」
この言葉を聞いて、私は嬉しくて。
「本当に……本当に!本当に!?私はリッチーですよ。長生きですよ?」
「うーん。俺は人間かよくわからないけど、大丈夫。そういう願いなんだから」
あぁ……本当に……カズマは……カズマは。
本当にバカ------
「って、泣くなよ。嬉しいのはわかるけどさ」
「違います。あなたとずっと一緒だと思うと悲しくて……いえ、本当は嬉しいです!カズマ!本当に離しませんよ!?いいんですか!」
そして、彼は優しい声で私に言った。
「ああ。これからずっとずっと一緒だからな。めぐみん」
そして、私は涙を流しながら最高の笑顔で
「はい!」
終わり
カズマ「これからずっとずっと一緒だからな」めぐみん「はい!」 ユウ @jakutara
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