第4話 この決意に祝福を!
「もう大丈夫です。もう少ししたら朝。もう部屋に戻ってください。この時代の私が怪しむかもしれません」
「なぁ、めぐみん」
「やめてください!その優しい声をやめてください!帰る決意が鈍ります!お願いしますから!」
「わかった」
俺はそれだけを言うと部屋を出ようと。
「あの……この時代の私を……よろしく頼みます」
「ああ。絶対にリッチーにはしてやらない」
「……」
「……」
「ありがとう。カズマ。あなたに会えて本当によかった」
最後にめぐみんが微笑んでた気がする。気がする。
あまり見えない?あれ?なんでだろう?
「カズマ!?そこは泣くところではないですよ……うっ……ほ、ほら、カズマがそんな顔をするから、私まで……」
あーくそ!最後は未練がないように送るつもりだったんだが!
「な、なぁ、ゆんゆんに変身してたのは、変身魔法か何かか?いや、お前が爆裂魔法以外を覚えるなんて……」
「いえ、あれも神器です。実をいうと、アクアが借してくれて……」
「じゃ、じゃあさ、裸の巨乳のお姉さんとかに変身できたりするのか!?」
「……」
ひぃぃ!後ろにゴゴゴゴって文字が見えるんですけど!?
「カズマ?他に言いたいことはあります?」
「さっき抱きしめた時に思ったんだが、お前あまり成長してないな……え?めぐみん……さん?
なんで爆裂魔法の詠唱なんか?いや、マジごめんなさい。勘弁してください!」
「ぷっ……あはははははは。こんな所で本気でうったりしませんよ。何を慌ててるんですか」
いや、お前、絶対にうつつもりだっただろ!
「じゃあな、めぐみん。今日はありがとう。あっちでも頑張れよ」
雰囲気は良し!これで別れやすい。
「あ、あの……その……」
「ん?」
「えーと……そのですね……」
「何モジモジしてるんだ?トイレか?」
「違います!紅魔族はトイレなんか行かないっていつも言ってたじゃないですか!
そうじゃなくて!あれです!今晩のあれはどうでしたか?」
あれ?……ああ、あれか。
そういえばそうだった。俺達と言えばあれだったな
「今日の爆裂魔法は百点と言ったな。あれは嘘だ-----本当は----」
そりゃあもちろん。
「二百点だ。さすがめぐみんだな」
それを聞いためぐみんが、とびきりの笑顔を見せた----
* * *
暖炉の前で今日あったことを考えていると、めぐみんが二階から降りてきた。
「あれ?ゆんゆんは?」
「みんなに挨拶をするのが恥ずかしくて、もう帰ったよ」
俺が部屋を出た後、すごい光がめぐみん……いや、ゆんゆんがいた部屋からすごい光が放たれた。
すぐに部屋に戻ると、もうそこには誰もいなかった。
ったく、最後の挨拶くらい……、いや、俺たちにとってはあれが挨拶だよな。
ああ、最高の挨拶だった。
「そうですか」
そう言いながら、暖炉の前のソファーに座っていた俺の隣にめぐみんが座ってきた。
な、なんでこいつこんなにぴったり座ってるの?
「私はリッチーになりませんから」
そんな事を言ってきた。
「ゆんゆんには感謝ですね。もし『長生きできれば爆裂魔法をうてる回数も増えますよー』とか勧誘されていたら、すぐにリッチーになっていた事でしょう」
もしかして、こいつあの話聞いていたんじゃ……?
「カズマ?何かを決意したような顔をしていますが、何を決意したんですか?」
そして、俺は隣にいるめぐみんに力強く、はっきり答えた。
「魔王を倒すぞ。絶対に」
「え?はい?もちろんですが……え?」
-----俺は魔王討伐を決意したのだった-----
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