猫の家に住む蜘蛛

能世あすか

第1話 猫の家

6畳1Kの単身赴任や外国人向けのマンション。

マンション?っていうよりアパートなんだけど。

初期費用が安かったのとペット可物件というだけで選んだゴミ置き場みたいなマンションだ。正社員なので審査もすぐ通った。元カレとの同棲生活に嫌気がさして逃げるように契約したマンションに住んで5年目になる。


同居人は白猫のソルト。

真っ白でふわふわして、いかに人間が浅はかだということをいつも教えてくれる最高の家主。自分に正直な彼はいつも素敵。私は彼の為に家賃を払っている。彼のいないこの部屋は意味がない。


殆どこの部屋に他人が来ることはない。

私は定期的に外界との連絡をシャットアウトするのだが、それを心配した友人が引き戻すために来るか極稀にセックスするためだけに入れるだけ。

ソルトが懐くのは友人だけ。私がこころを許した人だけだ。


だからリピートはない。私と彼だけの空間。


なんとなく仕事に行って一喜一憂し、家に帰って彼を愛でながら酒とネットに溺れる。

5年間そうして生きてきた。




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猫の家に住む蜘蛛 能世あすか @asuka-nose

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